40 / 382
第一章 始まり
《side チビ》 爆発
しおりを挟む
《side チビ》
目が覚めると俺は森にいた。
そう、一人で。
おかしなことにどこを見渡してもそばに弥斗が居ない。
「弥斗.....?」
やっぱりおかしい。だって俺は確かに触れたんだ弥斗に。弥斗に好きって伝えて、それで弥斗も俺の事を好きって言ってくれた。
俺達は両想いなんだ。キスだってしたし.....。
なのにそばに居ない。
もしかして夢だったのだろうか?俺があまりにも弥斗を求めすぎて都合のいい夢を見たんだろうか?
だって、弥斗があんなこと言うはずねぇから。
だって、弥斗がこれは夢だって言ってたから。
「.....ふざけんなよ俺!あれが夢なわけねぇ!!」
頭を振り、ギュッと自分の体を抱きしめるようにそう叫ぶ。
俺はあの唇の柔らかさを覚えている。
俺はあの気持ちよさそうな眼差しを覚えている。
俺はあの優しい声を覚えている。
俺はあの熱さを覚えている。
何より、優しく頭を撫でられた感触を覚えている。
絶対に夢じゃない。ところどころ記憶が抜けてぼんやりしているがあの熱は確かなものだ。
弥斗は死んでない。生きてる。生きてるんだ。
(夢じゃねぇ)
確信した俺は噛み締める。
それを知れただけでも俺はまだ生きていけると。頑張れると。
弥斗がここに居ないのは俺が気絶して引き止めれなかったからだ。俺は自分がまだまだ力不足なんだと痛感した。
.......だから弥斗がそばに居ないことに愚痴愚痴言うのは我慢しよう。
(俺だって成長するんだ)
「.....それにしても弥斗はどこかおかしかったな」
......よくよく思い出してみれば珍しくワンピースなんか着て、裸足だった。こんな森を裸足で歩くなんてよっぽどのことがない限り有り得ない状況なはず。
(もしかしたらその状況のせいで俺から離れなきゃいけなかったとか?.....それは俺の願望だな)
保留だ。
「.......」
ダメだ。一度そんな考えが思い浮かぶと脳裏にこびりついたように離れなくなる。
弥斗は俺の事を思って居なくなったのだと。
「~っ、早く強くならねぇと」
そうだ。早く早く強くなる。
じゃねぇと取られちまう。
(だって、弥斗に知らない匂い.....が......)
俺ははたと気づく。
弥斗に抱きついたとき知らない匂いがした。その匂いが気持ち悪くて、嫌いで、苛立たしくて。それで俺は弥斗が欲しくなったんだ。
あと、首元につけられた赤い痣みたいなやつを見つけてイラついて剥がそうともした。
段々と記憶が鮮明に見えるようになってくる。霞みがかったようにぼんやりとした記憶が。
(あ?......弥斗のうなじに凸凹した感触あったよな?)
首に手を回したときのことを思い出すと、自身の手に感触が蘇る。それは確かに凸凹していた。
うなじに凸凹の痕なんてそんなの.....
「番みてぇじゃん.....、!?」
俺は自分が言った言葉に全身が鳥肌立った。咄嗟に歯を噛み締め、喉から出てきそうだった気持ちを抑える。
番?つがい???
弥斗は噛まれたのか??
もう伴侶が出来たのか?
(俺以外に?)
視界が赤くなった。怒りに支配されそうだ。
(番はダメだ!!!!)
そう思っても、俺にはどうすることもできない。
「....まさかもう手遅れなのか?」
そう気づいた瞬間、感情が爆発する。
すると俺を中心に熱風が巻き起こり青い火柱が立つ。青い視界の中、俺は右手を見るといつの間にか始動した魂写棒がそこにはあった。
周りはパチパチと音を立て炭になっていくのに俺は青い炎の中にいながら熱さもなんにも感じない。
そして俺はただ吐き捨てた。
「弥斗に噛み付いた奴殺す」
森は青い炎に包まれる。
目が覚めると俺は森にいた。
そう、一人で。
おかしなことにどこを見渡してもそばに弥斗が居ない。
「弥斗.....?」
やっぱりおかしい。だって俺は確かに触れたんだ弥斗に。弥斗に好きって伝えて、それで弥斗も俺の事を好きって言ってくれた。
俺達は両想いなんだ。キスだってしたし.....。
なのにそばに居ない。
もしかして夢だったのだろうか?俺があまりにも弥斗を求めすぎて都合のいい夢を見たんだろうか?
だって、弥斗があんなこと言うはずねぇから。
だって、弥斗がこれは夢だって言ってたから。
「.....ふざけんなよ俺!あれが夢なわけねぇ!!」
頭を振り、ギュッと自分の体を抱きしめるようにそう叫ぶ。
俺はあの唇の柔らかさを覚えている。
俺はあの気持ちよさそうな眼差しを覚えている。
俺はあの優しい声を覚えている。
俺はあの熱さを覚えている。
何より、優しく頭を撫でられた感触を覚えている。
絶対に夢じゃない。ところどころ記憶が抜けてぼんやりしているがあの熱は確かなものだ。
弥斗は死んでない。生きてる。生きてるんだ。
(夢じゃねぇ)
確信した俺は噛み締める。
それを知れただけでも俺はまだ生きていけると。頑張れると。
弥斗がここに居ないのは俺が気絶して引き止めれなかったからだ。俺は自分がまだまだ力不足なんだと痛感した。
.......だから弥斗がそばに居ないことに愚痴愚痴言うのは我慢しよう。
(俺だって成長するんだ)
「.....それにしても弥斗はどこかおかしかったな」
......よくよく思い出してみれば珍しくワンピースなんか着て、裸足だった。こんな森を裸足で歩くなんてよっぽどのことがない限り有り得ない状況なはず。
(もしかしたらその状況のせいで俺から離れなきゃいけなかったとか?.....それは俺の願望だな)
保留だ。
「.......」
ダメだ。一度そんな考えが思い浮かぶと脳裏にこびりついたように離れなくなる。
弥斗は俺の事を思って居なくなったのだと。
「~っ、早く強くならねぇと」
そうだ。早く早く強くなる。
じゃねぇと取られちまう。
(だって、弥斗に知らない匂い.....が......)
俺ははたと気づく。
弥斗に抱きついたとき知らない匂いがした。その匂いが気持ち悪くて、嫌いで、苛立たしくて。それで俺は弥斗が欲しくなったんだ。
あと、首元につけられた赤い痣みたいなやつを見つけてイラついて剥がそうともした。
段々と記憶が鮮明に見えるようになってくる。霞みがかったようにぼんやりとした記憶が。
(あ?......弥斗のうなじに凸凹した感触あったよな?)
首に手を回したときのことを思い出すと、自身の手に感触が蘇る。それは確かに凸凹していた。
うなじに凸凹の痕なんてそんなの.....
「番みてぇじゃん.....、!?」
俺は自分が言った言葉に全身が鳥肌立った。咄嗟に歯を噛み締め、喉から出てきそうだった気持ちを抑える。
番?つがい???
弥斗は噛まれたのか??
もう伴侶が出来たのか?
(俺以外に?)
視界が赤くなった。怒りに支配されそうだ。
(番はダメだ!!!!)
そう思っても、俺にはどうすることもできない。
「....まさかもう手遅れなのか?」
そう気づいた瞬間、感情が爆発する。
すると俺を中心に熱風が巻き起こり青い火柱が立つ。青い視界の中、俺は右手を見るといつの間にか始動した魂写棒がそこにはあった。
周りはパチパチと音を立て炭になっていくのに俺は青い炎の中にいながら熱さもなんにも感じない。
そして俺はただ吐き捨てた。
「弥斗に噛み付いた奴殺す」
森は青い炎に包まれる。
53
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました
ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。
「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」
ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m
・洸sideも投稿させて頂く予定です

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

嫌われ者の僕
みるきぃ
BL
学園イチの嫌われ者で、イジメにあっている佐藤あおい。気が弱くてネガティブな性格な上、容姿は瓶底眼鏡で地味。しかし本当の素顔は、幼なじみで人気者の新條ゆうが知っていて誰にも見せつけないようにしていた。学園生活で、あおいの健気な優しさに皆、惹かれていき…⁈学園イチの嫌われ者が総愛される話。嫌われからの愛されです。ヤンデレ注意。
※他サイトで書いていたものを修正してこちらで書いてます。改行多めで読みにくいかもです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる