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第一章 始まり

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カタラが普通に襲ってくる聖域外で僕と弟はイケないことをしている。そう、近親相姦はこの世界でも禁忌とされている......それなのに僕達は熱い吐息を交わしながら口付けをしていた。

僕が口を離せばツーっと糸を引く。


「やめるなっ、やと....!もっと、ちゅーしたい」


息を荒らげながらももっとと主張する弟。涙で滲んだ赤い瞳は蕩けていて、理性などもうないように感じられた。いや、僕に会った時からもう既に弟は正気ではなかったんだ。

だから僕はこうして禁忌に踏み込める。


「はっ....!ごめんねチビちゃん....。はんっ、ジュル....!」

「!!....む~ぅ!?、んぐっ、ふぅ....」


僕は弟が求めるままに口付けをした。息もできないほど深く。これでも僕はシュウさんに窒息させられるほど深いキスをされたことがある。そう、僕がこんなことをしているのはそれを弟にして気絶させようと思ったからだ。
まさかあの経験がここで生きるとは思わなかったけど、弟を再起不能にするにはこうするしかない。

不安なのは僕より肉厚で長い舌を持つシュウさんが相手だったから効果があって、僕がやる側となるとできないんじゃないかという。それにあの時、僕はすごい暴れたから......。シュウさんのように弟を抑えつけれる力がない僕は弟の行動次第で終わる。


しかし弟は予想外の行動に出た。


「!?っ」


ガチっと歯がぶつかりあい、重くなる身体。
弟は僕の首と下半身に腕と足を回してきたのだ。弱っている僕は地面に腕をつき弟の上に倒れるのをなんとか防ぐが、ここは森だ。地面に転がる小石や何かのでっぱりで地面についた腕が痛い。

ガチッ、ガツ.....と歯がぶつかりながらも弟は懸命に僕に舌を絡めさせてくる。苦しいのか赤い瞳に涙を滲ませており、その姿に胸がキュンとなる。


(我が弟ながら可愛いなぁ....だけど、だけど性器を擦り付けてくるのは可愛くないっ)


足を巻き付けられ、何処にそんな力があるんだと言いたくなるほど腰を密着させられる。弟は今下半身だけ浮いている状態だ。だから、重い!!

それに、押し付けられている小さな昂りにこの子がそういう意味で僕を好きなんだと理解してしまう!!
いや、待つんだ僕。その考えは早計かもしれない.....


(そうだ。生理現象だ。キスで気持ちよくなって勃ってしまったんだ。決して恋愛感情からくるものでは無い!!)


そう思わなければ僕達の関係は普通の兄弟ではなくなってしまう。
それだけは何としても気づきたくない。

ジュルジュルと弟の舌に吸い付き、甘噛みしながらそんなことを考える。


「はぐっ、.....や、とっ!ま''っ.....!」


苦しくなったのかついに弟が僕から離れようと手を離そうとしたため、逆にがっちりと僕は弟を抱きしめた。
顔を背かせようとする弟の頭を抱え込むように腕で逃げ場を無くす。

わかる、わかるよ.....息しづらいよね。


「~~~っ......!.....ぅ!や....とっ」

「ん.....ふぅ」

「ぁ.........」


暴れていた弟の身体からカクンと力が抜けた。
僕は反応がなくなった弟からぷはっと口を離し、べちょべちょの口元を拭う。見ると弟も僕と同じように口元がべちょべちょだったので罪悪感もあって、綺麗に拭った。


「はぁ....チビちゃん君は夢を見たんだ。これは夢なんだ。現実では僕は死んでいるからこんなこと有り得ないってわかるだろう?僕がチビちゃんにキスするわけないってわかっているだろう?」


弟を大木に凭れさせ頭を撫でると、サラサラとした髪が指の間から流れていく。僕と弟はあまり似てないと思ったけど髪質は似てるかもしれないなぁ.....。


「チビちゃん.....弥斗を卒業しなきゃダメだよ。.......さようなら」


名残惜しいけど行かなくては。撫でていた手を下ろし、立ち上がる。少し時間があったから頭も冷えて、興奮していた憎い自分の身体も元に戻った。

(快楽に弱いこの身体が憎い。何より弟とのキスで反応したアソコに絶望した。.....もう僕、変態じゃん)

ちょっと落ち込んだが、伸びをして気分を変える。このまま暗い気分で行っても悪いことが起きるだけだ、気持ちを切り替えなきゃ。

ザワザワと木々が揺れる中、僕はある方向を向く。


「チビちゃんのことよろしくね!!」


ニコリと笑いそう叫んだ。
実は、弟は一人でここに来ていなかったのだ。弟自身は気づいていなかったみたいだが、ずっと後をつけられていたらしい。僕は弟と会った時に影子の揺らぎを二人分感じ取ってそれを知った。

......僕と弟のやり取りを覗き見するとは後をついてきた人も変態なのかな?

まぁいいや。弟と関わりある人だと思うし、任せても大丈夫だろう。


「.....行くか」


僕はフラフラとしながら森の奥へと進んで行った。











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