お題箱 集作

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お題箱消化②

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 「もうずっと前から消えてしまいたかった」

 学校の屋上で、俺は親友マブダチとも言える目の前の男に向かってそう言い放った。
 本当は”ずっと前から”だなんて嘘だ。今だって、奴が「そうか」と冷たく言い放たない限りは死ぬ気は無い。
 しかし、目の前のソイツは今までに無いくらい青ざめた顔をしている。何時いつもは冗談だろと言ってどついてくる勢いだと言うのに。
 なんというか、(心配してるコイツに対しては失礼だけども)滑稽こっけいだ。いつにも増して滑稽だ。気を抜くとうっかり吹き出してしまいそうな程に。
 そうこう考えていたら奴が口を開いた。

 『ずっと前からって、いつ頃からなんだ?何故僕に言わなかった。いつも隣に居ただろう。…もしかして、僕がお前に何かしたのか?無意識にお前を追い詰めていたのなら謝るし、これからは課題だって見せる。先生に怒られに行くのもちゃんと一緒に行くし、帰りだって、負けたら逃げずにおごるし、それから…』




______堪らず俺は吹き出した。

 目の前のコイツは目を白黒させているがどうにも解釈かいしゃく見当違けんとうちがいで笑わずには居られなかった。同時に”いや、そんな些細ささいな事で死なねぇよ”とツッコミたかったが笑い転げてそれどころじゃ無かった。

 俺が落ち着いた後、流石さすが可哀想かわいそうだと思い本当は死ぬ気は無かった事、それからそんな些細な事では死なない事を簡潔かんけつに、いつも通り笑って言った。
 言い終わった時のソイツの顔は怒気どきを含んでいてお前は般若はんにゃかと言わんばかりだったが、どうやら安堵あんどが勝ったようだ。(正直ここで怒って突き落とされたら、とか思ってしまった事はだまっておこう)


 屋上から離れ校舎を出て、校門をくぐる手前、数歩前を歩くソイツが足を止め、こちらを振り返った。一瞬ドキッとして心臓が飛びねたが、いつもは見ないやわらかい顔をして、


 『お前の事だ。そうぐには死なないだろ?』

 たった一言。その一言だけだったが、何故か自信ありげにそう言われて、ちょっとだけ腹が立ったから脇腹をつついてやった。
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