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【煉・月光(れん・げっこう)】と、ゴートのつぶやきと、めでたしめでたし。
しおりを挟む「おやおや、なんなんだい。ちびすけが 大人になりやがった。 それにな~んか、ヤバそうな気配もするねえ。まあ、強くなったアタシのほうがすごいにきまってる。その力もいただいちまおうかねえ、あっはっは!」
…………。
『よるが大人になった? 何となく見た目も感じもちがう、よるなの? 僕らはもっとがんばれる。僕らがよるをゼッタイにまもるから!』
「ミゼがよるさまの力をうばおうとしています! ここは我らにおまかせを! ミリ姫さまもおなじように戦おうとされましたが、ミゼに……ミゼに力をうばわれたのです!」
がうがう!
くうーん!
…………よる、に、うか、ぶ……
「あらあら、魔法を唱えはじめたのかい? 何でもいいから、とっととかかってきな!」
…………月の光、絶える事無く空と大地を結ぶ
我が光、あまねく降り注ぎ、届かぬためしなし
『よる、逃げて……え?』
「上級魔法?! いや、ちがう? 唱えおわらないのに、よるさまのまわりに結界が……これは神の【祈り】なのか!」
『【祈り】?! ファルルがつかっていた、超特大の結界をよるが?! だめだ、よる! それを唱えてしまったら、気持ちがこもりすぎて、しばらくうごけなくなってしまうよ!』
「あはは! いいねえ、頑張るねえ! ほら、待っててあげるからさあ!」
子らよ、眩い命よ
苦しい時も悲しい時も
月はその命を照らしましょう
「何だって?! 同時詠唱……そんなことができるわけない!」
『同時に別の属性の魔法を?! 僕、こんなの見たことないぞ!』
「太陽の赤色と、月の銀色が……あわさってひろがっていく! よるさまっ!」
「……調子にのるんじゃないよ!【炎の矢・集中】……何で魔法が出ないんだい! ちきしょう、結界に押し出される! おい、黒の神! 闇の神! アンタ達の出番だよ、神の力で何とかしな!」
” 我らでどうこうできるはずがない……ああ……私の体が、消えていく…… ”
” あのお姿は、アメーリアさまとうりふたつ。ということは……いかぬ! 逃げるぞ、黒の神っ?! あああ! ”
我は月
合わされば破邪の光と為す
この光にて、この大地に輝く未来を紡がん
【煉・月光】
「何だって?! 銀色の炎がひろがって……だけど、炎の魔人ミゼさまをなめるんじゃないよ! え? 何で炎をとめられないんだい! ちい、逃げ…………ああ! 体がとけて……人間にもどっていく! 魔人の力が、あああああああ!!」
●
ああ、とてもほのぼのしてしまう。ミリ姫さまと、よるさまのやりとりに。
「よるちゃん、ズルい! そんなふうにぱっちりでくりくりしたおめめなんかしたら、ミリは『はううっ! カワいいー!』とか、なっちゃうよ! ズルい! かーわーいーいー!」
「ミリ姫さまなんか、少女マンガに出てくる主人公のお姫さまみたいにまつ毛が長くって、猫みたいな目をしてて、お姫さますぎるよ! よるも、お姫様になーりーたーいー!」
尊い。
むかし、勇者が教えてくれた言葉。あのときはその意味がわからなかったが、きっとこの気持ちのことだろう。
ミリ姫さまとよるさまの、おやさしい言葉のやりとりに、いままでのかなしさがウソのようだ。
目を覚まされたミリ姫さまが我に抱きつこうと走ってきて、このお腹に頭突きが入ってくるしんだことなど、ささいなことだ。気合いでがまんしたところなど、だれも見てないだろうし。
『おい、そこのうるうるした目のお腹頭突きマン」
このまぬけ猫、見ていたのか!
消しとばしてやるか。
【極……】
『最終奥義の魔法を出そうとしないでくれます?!』
バレたか。
むむむ、こしゃくな。
おお、勇者カズキとファルル様が来られたか。
「まさか、よるが僕らふたりの属性をうけついでて、はじまりの女神さまの力を借りて魔人を一気に全部たおしたなんて……」
「でも、よかった。よるもひぐれもみんなも無事で……あれ? ラナとキールは?」
今の月の女神さまは、アメーリアさまにおせっきょうされてますな。ファルルさまに相談せずに自分たちの力で何とかしようとして、おおさわぎになったのだから。まあ、これからはアメーリアさまも魔人が出てこないように世界のようすを見てくださるそうだし、いいきっかけになるだろう。
「よる、ごめんね? 林間学校から帰ったらお父さんと」
「お母さんときちんと話そうね」
「ううん! よるを夢のなかまで助けに来てくれたの、うれしい!」
おや?
そうそう、よるさまは夢のなかだとかんちがいされているのでした。
まあ、そのあたりも勇者カズキとファルルさまがきちんとなさるでしょう。
「よる、ミリ姫さまといっしょに林間学校に行きた……あああ! 朝になってるから林間学校にちこくしちゃうよお! あああ!」
「よるちゃんたいへん! そうだ、ミリの魔法でその『りんらんがっこ』につれてってあげる!」
「ほんとに! ミリちゃん!やーさーしーいー!」
「えへへ! ミリをたすけてくれたよるちゃんのために頑張っちゃうもん!」
『だいじょうぶですよ。頑張ってくれたのと、めいわくをかけたおわびに、カズキとファルルとお話をしたあとにゆっくり眠れるあたりの時間までもどしておきますから』
さすがアメーリアさま!
なんとすごい!
「やったあ! ありがとうございます! そうだ! さっき言ってた、みんなでお母さんのおいしいおいしいハンバーグを食べに来るの、楽しみ!」
『そうですね。ほっぺたがおちるくらいおいしいんですものね』
「え?! お母さん、そんなこと聞いてないよお?! アメーリアさま?!」
よるさま、我もおいしいものが食べたいです。
そして。
よるさまがこの世界に来てくださったおかげで、また平和がおとずれるでしょう。
またグランディアに来てくださいますか?
あなたがふたたび光をくれた、この大地に。
お待ちしておりますね。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(13件)
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爽やかなラスト、感動的ですね!
完結、おめでとうございます。
イラストの素晴らしさにも、戦慄してます。
お疲れ様でした!!(^^)!
最後まで読んでくださってありがとうございました!
かけ足になってしまいましたが、何とか終わらせることができました!(≧▽≦)
小学生向けの児童書は初めて書きましたが、とても勉強になりました(*´艸`*)
応援してくださって本当にありがとうございました!イラストはAIさんがステキなものを作ってくれたので、感謝感謝です(≧▽≦)
完結おめでとうございます!
アルファポリス、イラスト載せられるのとても良いですね。物語とぴったりでイメージが膨らみます。
ハッピーエンドよいです!
お疲れ様でした!
みちの先生、嬉しすぎるコメントありがとうございます!
アルファさんはイラストがのせられるから、絵心がない私でも助かってます(≧▽≦)
締め切りに間に合ってハッピーエンドに持っていけました!応援、温かい嬉しいコメント本当にありがとうございました!
またお祭りご一緒に楽しめたらいいですね!お疲れ様でした!(≧▽≦)人(≧▽≦)♪
完結、お疲れ様でした。
次回作まで、ゆっくりしてくださいね。
るしあん先生、こちらにもコメントありがとうございます!ヨムを9月はばっちり楽しみたいと思いますので新作を応援させてくださいね!
よる、にも立ち寄ってくださって温かい応援、本当にありがとうございました!(≧▽≦)