5 / 15
5 走馬灯ってヤツか?
しおりを挟む
真っ暗な空間の中で立ち昇る無数の金色の光の粒。その美しさに呆けていたゾーマが我に返り、呟く。
『あー、しくった。熊公、何度もぶっ叩きやがって……』
●
『お? 走馬燈ってやつか?』
目の前に浮かび上がった映像に、顎の無精ひげを撫でたゾーマが懐かしげに、心の底から愛おしげに微笑んだ。
●
『みんな若え! おやっさんに拾われた頃か! ……酒とツマミと煙草ねえか?』
『うお! 亡国の王女って触れ込みでうちに売られてきて……俺、こんなツラでマリサ見てたのか!』
『マリサとのデートをおやっさんに見つかってボッコボコに……うわ』
『……ここ飛ばせ! 「毎日、お前の作ったしゅーぷ……?!」プロポーズで噛むなよ! くっそ……美味しいトコ俺と代われよ!』
『……リシア、コルト。お前らが生まれた時、どんだけ嬉しかったか。毎日が幸せだった。本当に幸せだった』
『こんなの見せんじゃねえ! ……見せねえでくれ! おやっさん!! 後ろだ!魔も……マリサ!リシア!コルト!』
『や……』
『……あ』
『……うわあああああああああああああああ!! あああああああああああああああああ!! 俺にこんなもの、見せないでくれえ! 頼むよ! 俺がクズだった! わかったから!! ああああああああああ!!』
『あああああああ!! マリサ、リシア、コルト!! 何でだよ! 何で俺じゃねえんだよ! 神様よお、こいつらが何した! 誰かの悪口なんか言った事もねえ、優しくて温けえ俺の命より大事な家族だったんだぞ!』
『何で、だよ………………ひ、いいいいいいいいい。ひ、いいいいいいいいいいいいいい………………』
『ひい……』
『……』
『……』
『………………………………俺、じゃ、ねえか』
『俺のせいじゃねえかよ!!』
『魔物が増え始めた時に、避難させてりゃあ! 「私達はいつも一緒よ?」……あの言葉が嬉しくて俺が受け入れたばっかりに! 甘えて! 俺らは大丈夫だろって! お前らの傍にいてやらなかった、守れなかった!』
『……』
『……』
『……』
『まだ迎えこねえのかよ。もう、よ。わかったよ……』
『……親を亡くしたガキ共を、人様には言えねえような事をしまくって商会、金持ち、子のいねえ親んちとかにぶっこんで……。こんなんでテメエの罪が消えるか、クソが! クソがぁ!』
『……本当に、クソ野郎だった。ほとほと……身に沁みたよ』
『早く、地の底に落としてくれ……』
『あー、しくった。熊公、何度もぶっ叩きやがって……』
●
『お? 走馬燈ってやつか?』
目の前に浮かび上がった映像に、顎の無精ひげを撫でたゾーマが懐かしげに、心の底から愛おしげに微笑んだ。
●
『みんな若え! おやっさんに拾われた頃か! ……酒とツマミと煙草ねえか?』
『うお! 亡国の王女って触れ込みでうちに売られてきて……俺、こんなツラでマリサ見てたのか!』
『マリサとのデートをおやっさんに見つかってボッコボコに……うわ』
『……ここ飛ばせ! 「毎日、お前の作ったしゅーぷ……?!」プロポーズで噛むなよ! くっそ……美味しいトコ俺と代われよ!』
『……リシア、コルト。お前らが生まれた時、どんだけ嬉しかったか。毎日が幸せだった。本当に幸せだった』
『こんなの見せんじゃねえ! ……見せねえでくれ! おやっさん!! 後ろだ!魔も……マリサ!リシア!コルト!』
『や……』
『……あ』
『……うわあああああああああああああああ!! あああああああああああああああああ!! 俺にこんなもの、見せないでくれえ! 頼むよ! 俺がクズだった! わかったから!! ああああああああああ!!』
『あああああああ!! マリサ、リシア、コルト!! 何でだよ! 何で俺じゃねえんだよ! 神様よお、こいつらが何した! 誰かの悪口なんか言った事もねえ、優しくて温けえ俺の命より大事な家族だったんだぞ!』
『何で、だよ………………ひ、いいいいいいいいい。ひ、いいいいいいいいいいいいいい………………』
『ひい……』
『……』
『……』
『………………………………俺、じゃ、ねえか』
『俺のせいじゃねえかよ!!』
『魔物が増え始めた時に、避難させてりゃあ! 「私達はいつも一緒よ?」……あの言葉が嬉しくて俺が受け入れたばっかりに! 甘えて! 俺らは大丈夫だろって! お前らの傍にいてやらなかった、守れなかった!』
『……』
『……』
『……』
『まだ迎えこねえのかよ。もう、よ。わかったよ……』
『……親を亡くしたガキ共を、人様には言えねえような事をしまくって商会、金持ち、子のいねえ親んちとかにぶっこんで……。こんなんでテメエの罪が消えるか、クソが! クソがぁ!』
『……本当に、クソ野郎だった。ほとほと……身に沁みたよ』
『早く、地の底に落としてくれ……』
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~
すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》
猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。
不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。
何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。
ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。
人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。
そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。
男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。
そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。
(
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?
大好き丸
ファンタジー
天上魔界「イイルクオン」
世界は大きく分けて二つの勢力が存在する。
”人類”と”魔族”
生存圏を争って日夜争いを続けている。
しかしそんな中、戦争に背を向け、ただひたすらに宝を追い求める男がいた。
トレジャーハンターその名はラルフ。
夢とロマンを求め、日夜、洞窟や遺跡に潜る。
そこで出会った未知との遭遇はラルフの人生の大きな転換期となり世界が動く
欺瞞、裏切り、秩序の崩壊、
世界の均衡が崩れた時、終焉を迎える。
夜明けの続唱歌
hidden
ファンタジー
炎に包まれた故郷。
背を灼かれるように、男は歩き続けていた。
辺境では賊徒が跋扈し、都では覇権や領土の奪い合いが繰り返されていた。
怯えながら、それでも慎ましく生きようとする民。
彼らに追い打ちをかけるように、不浄な土地に姿を現す、不吉な妖魔の影。
戦火の絶えない人の世。
闘いに身を投じる者が見据える彼方に、夜明けの空はあるのだろうか。
>Website
『夜明けの続唱歌』https://hidden1212.wixsite.com/moon-phase
>投稿先
『小説家になろう』https://ncode.syosetu.com/n7405fz/
『カクヨム』https://kakuyomu.jp/works/1177354054893903735
『アルファポリス』https://www.alphapolis.co.jp/novel/42558793/886340020
サイコミステリー
色部耀
ファンタジー
超能力遺伝子サイコゲノムを持つ人が集められた全寮制の高校「国立特殊能力支援校」
主人公の真壁鏡平(まかべきょうへい)はサイコゲノムを持つがまだ自身の超能力を特定できていない「未確定能力者」だった。
そんな彼の下に依頼が飛び込んでくる。
「何を探すか教えてくれない探し物」
鏡平はその探し物を……
ロードバックッ! 勇者アレクの英雄譚
TADA
ファンタジー
剣と魔法のファンタジー、バトル物です。
タイヴァス王国の人々は、魔と呼び忌み嫌うニビ族との戦いに疲弊していた。
戦争を集結させるため、剣聖アレクとその仲間たち、王女シルヴァ、聖女エミリア、そしてエミリアの従士リューリの四名が旅立つ。
たどり着いた敵本拠地を目前にしても一行には緊張した風もなく、お気楽な話し合いから力押しを選択し、敵城を見事崩壊させる。
そして怒りに燃える魔王との激闘の末、見事勝利したアレクは、なぜか1年後にポンコツ勇者と罵られていた。
栄光からの転落。苦悩からの復活。これは再起する勇者と仲間の物語。
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる