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5 走馬灯ってヤツか?

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 真っ暗な空間の中で立ち昇る無数の金色の光の粒。その美しさに呆けていたゾーマが我に返り、呟く。

『あー、しくった。熊公、何度もぶっ叩きやがって……』





『お? 走馬燈ってやつか?』

 目の前に浮かび上がった映像に、顎の無精ひげを撫でたゾーマが懐かしげに、心の底から愛おしげに微笑んだ。





『みんなわっけえ! おやっさんに拾われた頃か! ……酒とツマミと煙草ねえか?』


『うお! 亡国の王女って触れ込みでうち奴隷商に売られてきて……俺、こんなツラでマリサ見てたのか!』


『マリサとのデートをおやっさんに見つかってボッコボコに……うわ』


『……ここ飛ばせ! 「毎日、お前の作ったしゅーぷスープ……?!」プロポーズで噛むなよ! くっそ……美味しいトコ俺と代われよ!』


『……リシア、コルト。お前らが生まれた時、どんだけ嬉しかったか。毎日が幸せだった。本当に幸せだった』


『こんなの見せんじゃねえ! ……見せねえでくれ! おやっさん!! 後ろだ!魔も……マリサ!リシア!コルト!』


『や……』


『……あ』


『……うわあああああああああああああああ!! あああああああああああああああああ!! 俺にこんなもの、見せないでくれえ! 頼むよ! 俺がクズだった! わかったから!! ああああああああああ!!』


『あああああああ!! マリサ、リシア、コルト!! 何でだよ! 何で俺じゃねえんだよ! 神様よお、こいつらが何した! 誰かの悪口なんか言った事もねえ、優しくて温けえ俺の命より大事な家族だったんだぞ!』


『何で、だよ………………ひ、いいいいいいいいい。ひ、いいいいいいいいいいいいいい………………』

『ひい……』


『……』


『……』


『………………………………俺、じゃ、ねえか』


『俺のせいじゃねえかよ!!』


『魔物が増え始めた時に、避難させてりゃあ! 「私達はいつも一緒よ?」……あの言葉が嬉しくて俺が受け入れたばっかりに! 甘えて! 俺らは大丈夫だろって! お前らの傍にいてやらなかった、守れなかった!』


『……』


『……』


『……』


『まだ迎えこねえのかよ。もう、よ。わかったよ……』


『……親を亡くしたガキ共を、人様には言えねえような事をしまくって商会、金持ち、子のいねえ親んちとかにぶっこんで……。こんなんでテメエの罪が消えるか、クソが! クソがぁ!』


『……本当に、クソ野郎だった。ほとほと……身に沁みたよ』


『早く、地の底に落としてくれ……』


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