異世界花火 ~よう、楽しんでるかい~

マクスウェルの仔猫

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開戦

55 蓮次の本気はヤバいの!

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 あーっはっはっは!

 動きを止め、ファルナスを啞然と見やる士官達。

(終わりだな。今の言葉で、欲に塗れて従ってきた者共も愛想を尽かすであろう)

「おら! 早く竜にまた行かせろよ!鈍くせえな!」

(準備不足で仕掛けた戦、番の竜さえ手も足も出ぬ相手、士気の低下。儂はファルナス様に付き合うとしても、今や皆の意志に進退を任せても……構うまいの)

 高笑いをするファルナスに、グレブ帝国終焉の足音に。ため息を付いたマルイエは艦長に密かに囁いた。

 艦長はその言葉に瞠目する。

” 旗艦は退艦準備、他艦は各々おのおのの判断にて。犬死に、すべからず。だが従う者は続け ”



「化身様方、てえしたもんだ。俺もうかうかしてらんねえな。わりいが、ちいと下がっててくんねえか」

 皆の活躍により二匹の竜が逃げ去った後で、蓮次が遥か前方の海上を見据えたままに奏達に告げる。

「みんな、急いで下がって! 蓮次の本気はヤバいの!」
「ほらほら下がって~! この子達がいる場所まで、結界の内側からは絶対出ちゃダメよ~?」

 奏、エル、京が慌ててゼペスやガルディが、こっそりと見にきていた町の人間や子供達に注意を促していく。

 全員が慌てて砂浜の後方へと下がっていく。

 群衆の前方で、ガルディと警備隊、アストやラステラ、エルデと獣達が並んだ。

 結界の外に群衆が出ないように、である。

「危ないですよー!そうだ、玄武さん。結界強化をお願いできますか?」
『もちろんじゃとも、京。青龍と朱雀も呼ばぬとなあ。奴らが巻き込まれぬようにせなんだら、後が厄介』



 玄武の結界の外、雨吹き荒ぶ大風の中。

 肩越しに、皆が距離を開けたのを確認して前を向いた蓮次は、まるで世間話でもするかの様にまだ見えぬ敵の船団へと語りかけた。

「なあ、グレブの御大将さんよ。やれ誰が善だ、悪だと四の五の言うつもりはねえよ」

 蓮次の声が、じわりじわり、と低くなっていく。

「だがな」

 じわり。

手前てめえ等が思う程によ、命ってのは軽くねえんだ。欲しけりゃ俺から、獲ってみな」

 ドオンッ!!!

 蓮次の身体から噴き出し始めた白い光が、一筋の柱となって黒雲を突き抜けた。

 じわり。

「穫れるもんなら、な」

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