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ダノンの街へ

31 一人になんか、誰がさせてやるもんか!!

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 からり、と笑う蓮次が横の三人を見た。

「てえ訳だ。おめさん達は好きにしていいぜ?」
「ふざけんなぁ!何で一人で決めてんのよっ!」
「蓮さん。何で一人なの?私達は、必要ない?」
「そうですよ。僕達は解散した覚えはないよ?」

 奏が怒髪天を突き、エルは俯いて、ぼそり、と呟いて拳を握り締め、京は目を座らせて、一歩も引かない、という気構えで蓮次を見据える。

「聞き分けのねえ事言いなさんな。俺あ、イワナガの姫さんとサクヤの姫さんに頼まれて、おめさん達の代わりに来てんだ。いつでもけえれるってのに、何を駄々こねてんだ?ガキじゃあるめえし」

 肩を竦める蓮次に三人がゆらりと立ち上がる。

「……蓮次は、どうすんのよ」
「俺あ、あっちでぽっくりお陀仏だ。帰ったところで、うらめしやあに、ひゅうどろどろはごめんだ。ま、親兄弟もいねえし気楽にさせてくんな」
「だからそれが嫌だって言ってんのよっ!」

 奏が、叫ぶ。

「んあ?」
「一人になんか、誰がさせてやるもんか!!」

 泣きながら、叫んだ。

 京とエルも蓮次を見下ろして睨みつける。



 ひとりぼっちにさせない。

 それは、奏の想い。

 そして、京とエルの想い。






 蓮次が異世界に来たのは奏達と事情が違った。


 同じ長屋に住む少女、おせんを旗本の三男坊の問答無用の切捨御免から守り、打ち倒した棒手振の蓮次。

 だが、その意趣返しによってその少女を人質に取られ。

 長屋に程近い藪の中で、家来や浪人達との大立ち回りの末に、騒ぎを聞いて駆けつけた近隣の旗本や御家人と守り抜いたおせんの前で蓮次は目を閉じた。

 そして。

 


 
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