31 / 61
ダノンの街へ
31 一人になんか、誰がさせてやるもんか!!
しおりを挟む
からり、と笑う蓮次が横の三人を見た。
「てえ訳だ。おめさん達は好きにしていいぜ?」
「ふざけんなぁ!何で一人で決めてんのよっ!」
「蓮さん。何で一人なの?私達は、必要ない?」
「そうですよ。僕達は解散した覚えはないよ?」
奏が怒髪天を突き、エルは俯いて、ぼそり、と呟いて拳を握り締め、京は目を座らせて、一歩も引かない、という気構えで蓮次を見据える。
「聞き分けのねえ事言いなさんな。俺あ、イワナガの姫さんとサクヤの姫さんに頼まれて、おめさん達の代わりに来てんだ。いつでも帰れるってのに、何を駄々こねてんだ?ガキじゃあるめえし」
肩を竦める蓮次に三人がゆらりと立ち上がる。
「……蓮次は、どうすんのよ」
「俺あ、あっちでぽっくりお陀仏だ。帰ったところで、うらめしやあに、ひゅうどろどろはごめんだ。ま、親兄弟もいねえし気楽にさせてくんな」
「だからそれが嫌だって言ってんのよっ!」
奏が、叫ぶ。
「んあ?」
「一人になんか、誰がさせてやるもんか!!」
泣きながら、叫んだ。
京とエルも蓮次を見下ろして睨みつける。
ひとりぼっちにさせない。
それは、奏の想い。
そして、京とエルの想い。
●
蓮次が異世界に来たのは奏達と事情が違った。
同じ長屋に住む少女、おせんを旗本の三男坊の問答無用の切捨御免から守り、打ち倒した棒手振の蓮次。
だが、その意趣返しによってその少女を人質に取られ。
長屋に程近い藪の中で、家来や浪人達との大立ち回りの末に、騒ぎを聞いて駆けつけた近隣の旗本や御家人と守り抜いたおせんの前で蓮次は目を閉じた。
そして。
「てえ訳だ。おめさん達は好きにしていいぜ?」
「ふざけんなぁ!何で一人で決めてんのよっ!」
「蓮さん。何で一人なの?私達は、必要ない?」
「そうですよ。僕達は解散した覚えはないよ?」
奏が怒髪天を突き、エルは俯いて、ぼそり、と呟いて拳を握り締め、京は目を座らせて、一歩も引かない、という気構えで蓮次を見据える。
「聞き分けのねえ事言いなさんな。俺あ、イワナガの姫さんとサクヤの姫さんに頼まれて、おめさん達の代わりに来てんだ。いつでも帰れるってのに、何を駄々こねてんだ?ガキじゃあるめえし」
肩を竦める蓮次に三人がゆらりと立ち上がる。
「……蓮次は、どうすんのよ」
「俺あ、あっちでぽっくりお陀仏だ。帰ったところで、うらめしやあに、ひゅうどろどろはごめんだ。ま、親兄弟もいねえし気楽にさせてくんな」
「だからそれが嫌だって言ってんのよっ!」
奏が、叫ぶ。
「んあ?」
「一人になんか、誰がさせてやるもんか!!」
泣きながら、叫んだ。
京とエルも蓮次を見下ろして睨みつける。
ひとりぼっちにさせない。
それは、奏の想い。
そして、京とエルの想い。
●
蓮次が異世界に来たのは奏達と事情が違った。
同じ長屋に住む少女、おせんを旗本の三男坊の問答無用の切捨御免から守り、打ち倒した棒手振の蓮次。
だが、その意趣返しによってその少女を人質に取られ。
長屋に程近い藪の中で、家来や浪人達との大立ち回りの末に、騒ぎを聞いて駆けつけた近隣の旗本や御家人と守り抜いたおせんの前で蓮次は目を閉じた。
そして。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました
mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。
なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。
不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇
感想、ご指摘もありがとうございます。
なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。
読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。
お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。
装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
ゆとりある生活を異世界で
コロ
ファンタジー
とある世界の皇国
公爵家の長男坊は
少しばかりの異能を持っていて、それを不思議に思いながらも健やかに成長していた…
それなりに頑張って生きていた俺は48歳
なかなか楽しい人生だと満喫していたら
交通事故でアッサリ逝ってもた…orz
そんな俺を何気に興味を持って見ていた神様の一柱が
『楽しませてくれた礼をあげるよ』
とボーナスとして異世界でもう一つの人生を歩ませてくれる事に…
それもチートまでくれて♪
ありがたやありがたや
チート?強力なのがあります→使うとは言ってない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
身体の状態(主に目)と相談しながら書くので遅筆になると思います
宜しくお付き合い下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる