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ダノンの街へ
26 ほい、お疲れさんっと
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ちゅ。
ちゅ。
ちゅっ。
ちろーり。
視線を外さずに二人を見下ろして、口元に掲げた黒の砲身をついばみ、長く紅い舌を這わせたエル。
「このガキ!ぶっ殺してやる!」
「テメエ!ヒイヒイ泣かせて、ぐっちゃぐっちゃにしてやんよ!」
挑発に堪え切れなくなったコルドンとワルキンが立ち上がり、大剣を抜いた。
土くれを撃って戻したエルを挟み、ジリジリと距離を詰め始める。
「へえ……さすが、B級って感じだな」
「……」
「抜かせ!すぐに地べたを舐めさせて、こいつら全員たたっ斬った後にとことん嬲って殺してやんよ!」
(陽動か。ま、させねえよ)
エルは180度開脚の要領で腰を落とし、前屈をした。
「なあ?!」
後ろに回ったワルキンが体当たりを仕掛けた瞬間のことだ。
エルを一瞬見失ったワルキンは足を取られ、よろめく。
同時にエルは、右手の白のグリップエンドを膝横に叩き込んでいる。
「ぐあ?!いってえ!」
「どけよ、馬鹿野郎!!」
大剣を振り下ろす途中だったコルドンが必死に腕を押しとどめる。
が。
「ぎゃあ!」
「ほい、お疲れさんっと」
ドンッ!ドンッ!
ドンッ!
エルが肩の後ろを斬られたワルキンを蹴り飛ばし、二種類の魔法弾を叩き込んだ。
一つは拘束の魔法弾。
もう一つは回復魔法弾である。
ワルキンは地面にうつぶせに倒れた後、藻搔いている。
エンゲラにも拘束弾を撃ったエルは、白と黒をくるくる、と宙に投げ上げた。
くいくい、と指でコルドンを呼ぶ。
「こいよ」
「……っこの、ガキあぁ!!」
エルの手に二丁拳銃が収まったのと、コルドンが斬りかかったのは同時だった。
●
対峙する二人から、少し離れた場所では。
「ままー!ままー!」
「お母っ……お姉ちゃん、ぶっ飛ばせー!」
「エルお姉さん…………!!」
ミュウ、ロブル、エランが手に汗を握りしめ。
「エルさーん!いけいけー!」
「エルさんカッコいいー!」
「コテンパンにのしちゃえー!」
ラステラやケルン、子供や大人たちが想いを込めてエルを応援している。
そこに。
京と奏の傍に、一段落ついた蓮次がやってきた。
ちゅ。
ちゅっ。
ちろーり。
視線を外さずに二人を見下ろして、口元に掲げた黒の砲身をついばみ、長く紅い舌を這わせたエル。
「このガキ!ぶっ殺してやる!」
「テメエ!ヒイヒイ泣かせて、ぐっちゃぐっちゃにしてやんよ!」
挑発に堪え切れなくなったコルドンとワルキンが立ち上がり、大剣を抜いた。
土くれを撃って戻したエルを挟み、ジリジリと距離を詰め始める。
「へえ……さすが、B級って感じだな」
「……」
「抜かせ!すぐに地べたを舐めさせて、こいつら全員たたっ斬った後にとことん嬲って殺してやんよ!」
(陽動か。ま、させねえよ)
エルは180度開脚の要領で腰を落とし、前屈をした。
「なあ?!」
後ろに回ったワルキンが体当たりを仕掛けた瞬間のことだ。
エルを一瞬見失ったワルキンは足を取られ、よろめく。
同時にエルは、右手の白のグリップエンドを膝横に叩き込んでいる。
「ぐあ?!いってえ!」
「どけよ、馬鹿野郎!!」
大剣を振り下ろす途中だったコルドンが必死に腕を押しとどめる。
が。
「ぎゃあ!」
「ほい、お疲れさんっと」
ドンッ!ドンッ!
ドンッ!
エルが肩の後ろを斬られたワルキンを蹴り飛ばし、二種類の魔法弾を叩き込んだ。
一つは拘束の魔法弾。
もう一つは回復魔法弾である。
ワルキンは地面にうつぶせに倒れた後、藻搔いている。
エンゲラにも拘束弾を撃ったエルは、白と黒をくるくる、と宙に投げ上げた。
くいくい、と指でコルドンを呼ぶ。
「こいよ」
「……っこの、ガキあぁ!!」
エルの手に二丁拳銃が収まったのと、コルドンが斬りかかったのは同時だった。
●
対峙する二人から、少し離れた場所では。
「ままー!ままー!」
「お母っ……お姉ちゃん、ぶっ飛ばせー!」
「エルお姉さん…………!!」
ミュウ、ロブル、エランが手に汗を握りしめ。
「エルさーん!いけいけー!」
「エルさんカッコいいー!」
「コテンパンにのしちゃえー!」
ラステラやケルン、子供や大人たちが想いを込めてエルを応援している。
そこに。
京と奏の傍に、一段落ついた蓮次がやってきた。
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