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ダノンの街へ
17 美味しいご飯の為に!頑張っちゃいますよー!
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町に滞在する間の拠点として、ヨハンに程良い宿屋を教えてもらおうと尋ねた蓮次達。
が。
「水臭いこと言うな!俺のところに好きなだけ泊まっていけよ!」
という、ヨハンのたっての願いによって、ヨハンの商会兼自宅に滞在することとなった。
ヨハンの商会の二階は商談でこの町に訪れた来客や従者が宿泊できるようになっており、三階がヨハンの自宅となっている。
泊まらせてもらう礼代わりに蓮次達がヨハン夫婦とその子供達に料理の腕を振るい、噂を聞きつけて押しかけてきたアスト一家や『白夜』のメンバーも交えて、楽しい夜を過ごしたのであった。
●
翌朝。
ダノンの町の孤児院の敷地内では、大勢の子供達が列をなして炊き出しが始まるのを今か今かと待っていた。
そこには、獣耳や尻尾を持つ様々な種族の子供達もかなり混じっていた。一緒になって分け隔てなく騒ぐ姿を見て四人はほっこりとする。
お気に入りの器や孤児院で貸し出された器を手に持って、子供達はわいわいきゃあきゃあ、うわーん、などと泣いて笑ってはしゃいでの大騒ぎである。
そんな中。
包丁を片手に仕込みをしている蓮次の傍へと、ざっと人数を数えてきた京がやってきた。
「町がしっかりしてるからか、思ったより並んでないね。ただ町の子や大人もいるかな?体調が悪かったり食欲がない子達は、別メニュー出して煎じた薬を飲ませてきた。人数は前回と同じくらい、150人と少しだね」
「おお、そうけえ。ま、ガキの食う量なんか高が知れてるしよ。ついでに腹ぁ空かした奴ら、片っ端から並ばせちまっても構わねえぜ?」
「かまわないぜっ!です」
「構わないですー!」
蓮次の言葉を、配膳の手伝いに来たラステラとケルンが真似をする。
「おう、おめさん達すまねえな。顔馴染みがいりゃ、ガキ共も安心だろ」
「任せてくださーい!ものすっごい働きますよ、私達!美味しいご飯のために!美味しいご飯のために!」
「僕達の顔見知りの子供達や友達も多いので、蓮次さんや皆さんの料理で驚く顔を見るのが楽しみです!」
満面の笑みでガッツポーズをする二人。
手が空いたら食事に混ざる気満々である。
「じゃあ、奏ちゃんとエルは蓮さんと一緒に料理。僕とラステラちゃんとケルン君は孤児院の人達と一緒に列整理や案内だね。よろしくね」
「「京さん、よろしくお願いします!」」
元気よく頭を下げる二人に微笑む京。
「おう、頼んだぜ」
「京。頑張って作るから、二人に負けないよう頑張りなさいよ!」
「忙しくなったら私達もお手伝いに行くからねー」
手を振って三人を見送るエルと奏。
そして。
小皿を片手に汁物の味見をした蓮次が言った。
「ま、こんなもんけえ」
焼き魚、煮物、炒め物といった料理の数々が寸胴や鉄板、焼き台の上で湯気と共にいい匂いを放つ。
広場では腹を空かした子供や付き添いの大人達が、今か今かと待ち構えていた。
が。
「水臭いこと言うな!俺のところに好きなだけ泊まっていけよ!」
という、ヨハンのたっての願いによって、ヨハンの商会兼自宅に滞在することとなった。
ヨハンの商会の二階は商談でこの町に訪れた来客や従者が宿泊できるようになっており、三階がヨハンの自宅となっている。
泊まらせてもらう礼代わりに蓮次達がヨハン夫婦とその子供達に料理の腕を振るい、噂を聞きつけて押しかけてきたアスト一家や『白夜』のメンバーも交えて、楽しい夜を過ごしたのであった。
●
翌朝。
ダノンの町の孤児院の敷地内では、大勢の子供達が列をなして炊き出しが始まるのを今か今かと待っていた。
そこには、獣耳や尻尾を持つ様々な種族の子供達もかなり混じっていた。一緒になって分け隔てなく騒ぐ姿を見て四人はほっこりとする。
お気に入りの器や孤児院で貸し出された器を手に持って、子供達はわいわいきゃあきゃあ、うわーん、などと泣いて笑ってはしゃいでの大騒ぎである。
そんな中。
包丁を片手に仕込みをしている蓮次の傍へと、ざっと人数を数えてきた京がやってきた。
「町がしっかりしてるからか、思ったより並んでないね。ただ町の子や大人もいるかな?体調が悪かったり食欲がない子達は、別メニュー出して煎じた薬を飲ませてきた。人数は前回と同じくらい、150人と少しだね」
「おお、そうけえ。ま、ガキの食う量なんか高が知れてるしよ。ついでに腹ぁ空かした奴ら、片っ端から並ばせちまっても構わねえぜ?」
「かまわないぜっ!です」
「構わないですー!」
蓮次の言葉を、配膳の手伝いに来たラステラとケルンが真似をする。
「おう、おめさん達すまねえな。顔馴染みがいりゃ、ガキ共も安心だろ」
「任せてくださーい!ものすっごい働きますよ、私達!美味しいご飯のために!美味しいご飯のために!」
「僕達の顔見知りの子供達や友達も多いので、蓮次さんや皆さんの料理で驚く顔を見るのが楽しみです!」
満面の笑みでガッツポーズをする二人。
手が空いたら食事に混ざる気満々である。
「じゃあ、奏ちゃんとエルは蓮さんと一緒に料理。僕とラステラちゃんとケルン君は孤児院の人達と一緒に列整理や案内だね。よろしくね」
「「京さん、よろしくお願いします!」」
元気よく頭を下げる二人に微笑む京。
「おう、頼んだぜ」
「京。頑張って作るから、二人に負けないよう頑張りなさいよ!」
「忙しくなったら私達もお手伝いに行くからねー」
手を振って三人を見送るエルと奏。
そして。
小皿を片手に汁物の味見をした蓮次が言った。
「ま、こんなもんけえ」
焼き魚、煮物、炒め物といった料理の数々が寸胴や鉄板、焼き台の上で湯気と共にいい匂いを放つ。
広場では腹を空かした子供や付き添いの大人達が、今か今かと待ち構えていた。
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