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ダノンの街へ
15 海の市場と、楽しむ蓮次
しおりを挟むヨハンの案内で辿り着いた市場で、蓮次が楽しそうに魚を眺めている。
市場に到着して購入した魚介類は、あっという間に奏の無限収納にしまい込まれていく。
「お、こいつもいいねえ。この、身の張り。ぎゅうと締まった尾びれ。この赤身は、刺身にしても焼きにしても、極上にうめえだろうよ。お、こっちゃ白身だな。練りもんにしても、汁もんにしてもうまそうだ。おっちゃん、これも貰うぜ」
「いい眼してるねえ、兄さん!毎度ありー!」
「蓮次、買い込みすぎ!それに私には、只の凶悪な魚にしか見えないんだけど!このトゲ……このむき出しの歯……ううう、普通のお魚が見たいよう……」
凶悪な見た目をした魚達を見て、文句をつける奏。
「れ、蓮さんが言うなら……きっと美味しいのよ!見た目のハードル高いけど!」
「これ全部、ピラニアの亜種じゃないの?料理する前にレイド戦並みのバトルが発生したりしない?」
身体を寄せ合って、プルプルと震えている京とエル。
「馬鹿言っちゃあいけねえ。うまそうなの一目見りゃわかんだろ?これは赤身の魚で、ようく脂がのってやがる。刺身にすりゃ、口の中でふわりと行くぜ?んで、こいつあ、白身だな。骨太でいい出汁が取れそうだ」
並んでいる魚を、蓮次が次々と楽しげに説明する。
「蓮次、やっぱりいい眼をしてるな!ま、あんだけ美味い飯を作れるお前達だ。簡単な事なんだろうな。何にせよ、沖が時化てて戻りが遅い船がいてよかったな!」
ガハハハッ!と高笑いするヨハンに、恨みがましい眼で文句を言う三人。
「切られてもいない、異世界の魚のことなんかわかるわけないでしょ!」
「私、ここの市場で一人で買い物してきてって言われたら自信がないわ……」
「そこで売ってるピラニアモドキの為に、今から剣を出しておいてもいいかな……」
蓮次が、そんな三人を見ながらふわりと笑う。
「さ、炊き出しと店開きの準備は万端だ。早起きしてよ、小手調べといこうかい」
「領主様やガルディさん、孤児院から許可が出たしね!」
「うふふ、子供たちの喜ぶ顔が早く見たいわね」
「ええっと……必要なものは……前回より人数は少なめだから……」
明日の炊き出しに向けて、『祭囃子』の面々は楽しげに笑う。
京は一人、備品や食材、調理器具などのチェックを怠らない。
「後でお前さんらにも海鮮のうまいもんたんまり食わしてやっからよ」
「やったー!!!」
「ううう、蓮さんが来てから私2キロも太ったのにぃ!でも美味しすぎるのよう……」
「うわ!楽しみですね!あ!焼き魚といえば、焼き串あったかなあ……」
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