終わらない夜と幽霊彼女

幽零

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訪問?(3)

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「とりあえず、場所が分かったら連絡すれば良いんですね?」

「あぁ、その神社に妙な奴がいると思うが、絶対に構うな」

「あ、あぁ…はい……」


北河さんがここまで強調して言うのだ。除霊初心者の俺程度ではどうにもならないものがいるのだろう。


「わかりました。あ、報酬の件ですが北河さんなのでタダで……」

っと東が言いかけると、北河はコートの懐から分厚い封筒を取り出し、机に放り投げるように置いた。

「んえ?」

「俺はお前のでは無く、として来ている。俺が依頼料を払うのは当然だ」

北河はそういうと、顎をしゃくる仕草をして東に封筒を取るように促す。恐る恐る東が手をとって封筒を開くと、中には短編小説と同じくらい分厚い札束が入っていた。


「ッッ!?!?き、北河さん!これはいくらなんでも……」

「この件に見合った依頼料だ。300万ある」

「さッッ!?……ビャッ!?!?」


額を聞いて、絶句した。


「本来は俺が探すべきなのだろうが、向こうに俺が探しているとバレたら厄介な事この上ない。すぐに逃げられるだろう。だからアイツと面識のないお前に依頼する。……言っておくが、南雲に出会ったら逃げる事だけ考えろ、最悪死ぬぞ」

「わ、わかりました………」

北河さんの最後の一言に薄ら寒さを感じながら、とりあえず依頼を受諾する。



一連のやり取りが落ち着き、北河さんと他愛もない話をしていると肉体に戻った由々が欠伸をしながら現れた。

「むにゃ~、厳彦おはようだにゃ~」

半分寝ながら現れた由々に、北河が話しかける。


「……久しいな娘。邪魔している」


北河さんのハスキーな声が響いた瞬間、由々は目を見開いて目にも止まらぬ速さで厳彦の後ろに隠れる。


「……お、おはようございます……だにゃ~……」

「……随分怖がられたものだな」


北河は特に怒っているつもりは無いのだが、その常に眉間にシワのよっている不機嫌そうな顔のせいでどう頑張っても怒っているようにしか見えなくなる。だが、由々が北河を怖がっている理由はそれとは別で……


(まぁ、出会い方が出会い方だったし……軽いトラウマにもなるか…)



「……俺はそろそろ失礼する」

「あ、帰るんですか?」

「……依頼があってな」

「あ、お気を付けて!」


北河ほどの人物なら特に『気を付ける』必要もないのだろうが、一応言っておく。


「あぁ……」


北河は扉を開けて事務所から出ていった。



「さて、由々仕事だ」

「んにゃ?どんな仕事かにゃ~?」

「場所探しだ」

「場所~?」

「あぁ、行くぞ」

「ほいほ~い、じゃーあー」

っというといきなり由々がソファーに倒れる。すると体から白く透けている物体が抜け出した。


「んじゃレッツらごー」

「はいはい」



東はコートと帽子をかぶり、外に出る。これからその『南雲文行』が潜伏している小さい神社を探す訳だが、その前に。





……北河さんとの出会いについて、語ろうと思う。









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