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一章「ラビリンスゲーム」
戦力増加
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「で、なんで瑠璃垣さんもついてきてるんですか?」
確かにアイテム探しに行け…って言われたと伝えられたけど……
「君が適当に仕事してないか見張るためよォ?君の事だからボーッとして見逃しちゃうんじゃないかって私は心配でねェ?」
「じゃあ自分で行けばいいじゃないですか」
「あらァ?私に指図できるのは私だけよォ?それに、なんのためにクズ達をあの部屋に入れてあげてると思ってるのかしらァん?ほらァ、言うじゃなァい?『働かざるものなんたらァ』って」
「『食うべからず』ですよ。でもその理論で行くと、瑠璃垣さんも働いてない人に入ると思いますけど」
「私は例外よォ、当然でしょ?」
瑠璃垣は何を言ってるんだコイツはといった表情で見てきた。
この人とは最初の部屋から一緒だった。指示を出してくれるのは、何かを決めるのが苦手な俺にとっては助かる。まぁ、偉そうなだけに見えるけど、指示は割と的確……だと思う。
『君さ、この扉開けられないかしらァん?』
『はい?いや、確かに【部屋から出ろ】って書かれてましたけど…それって普通は鍵とか探すんじゃないですか?』
『良いのよォ開ければ、で?君は開けられるのかしらァ?』
『あのですね、鉄の扉なんて普通の人には開けられる訳ないじゃないですか』
『……ま、そうよねぇ…仕方ないけど私も鍵を探すしか…』
『まぁ、開けれますけど』
ベキベキバキッと音を立てて鉄の扉が歪み、外れた。
『……君、何者かしらァ?』
『………化け物』
「今思えば君と最初に組めてラッキィだったわァ」
「…そうですか」
あの後、私が君だけは助けてあげるとか何だとか言われて結局今まで一緒にいる。
……この力を見て、化け物と言ってこない人はこの人が最初だったなぁ…
昔の事を思い出していると、ヒタヒタと曲がり角の奥から足音が聞こえてくる。
「夜透ィ?出番よォ~?」
「…ハイハイ」
前に出る。通常の狂人なら俺が掴めば簡単に殺せる。しかし、確か『12番』…だったっけ?その人から聞くに『鬼』のようなお面をかぶった狂人がいるらしい。なんでも巨体で武器も持ってるらしい。……ゲームで言うところの『面倒な道中モンスター』って感じだろうな。
とにかく、『鬼』なら多少苦労するだろうし、少し慎重に行くか。
角を曲がり、息を潜める。すると2人の人影が浮かんできた。
「して?貴女は何故そのような判断を?」
「なぁに大した事じゃないよ。その方が楽だったって思っただけさァ……ん?」
見ると若いのに白髪の女性と、なんか変なお面をつけた黒い和服の男が出てきた。
「ぬ?貴方は生存者であるか?」
「見たところそうみたいだけどー…君みたいな若い子もいるんだねぇ~?」
……女性の方はともかく、男の方は何やらでっかい『針』のようなものを持っている。…なんか物騒だ。
「あらァん?生存者かしらァ?」
中々俺が帰ってこなかったからか、痺れを切らした瑠璃垣さんがひょっこり出てきた。
「おや?私と同い年ぐらいの人までいるとはね?……にしても随分露出の高い服だな…」
「ふむ、貴女もそう思われるか…私もそう思うのだが…」
「へぇ~。お面の君さ、強いね?」
「ぬ?」
瑠璃垣さんは言われてる事を毛ほども気にせず不気味なお面の男を見るなり、言葉を発した。
「見たところあなた…大分殺してる見たいねぇ~?その手に持ってる……馬鹿みたいに大きい針にも血が染み込んでるのがわかるわァん…一体何人殺したのかしらァ?」
聞かれたお面の男はテキパキと答え始めた。
「ふむ、まずこれはただの針ではなく、『処刑針』である。して、2つ目の問に答えると、私は記憶がない。目が覚めたらこの人がそばいた。故に、殺した数は覚えていない」
(なんか変な喋り方だなぁ…武士?)
「ふぅ~ん……ねぇ、貴方たちさぁ?私たちと組まないかしらァん?」
瑠璃垣さんが組まないか?と人に言うのは始めた聞いた。それほどの人物だと評価したのだろうか?
「へぇ~悪くない誘いだね?でも組んで私達になんのメリットがあるんだい?ぶっちゃけ、君らはこの侍に敵わないよ?」
「侍では無い、翡翠である」
どうやら、お面の男は翡翠と言うらしい…名前か?苗字か?……分からん……
「そうねぇ…メリットは私たちが拠点に使ってる部屋を特別待遇で使わせてあげるわァん。それに、私たちが従えてる『部下』も使って良いわよォん?」
『部下』というのは瑠璃垣さんに番号で呼ばれている実質奴隷扱いの彼らだろう…
「へぇ~随分な好待遇じゃないかい」
すると女性は鋭い目付きになる。瑠璃垣さんが蛇のような目つきなら、こっちはなんだろう…フクロウみたいな目つきだ…虎視眈々と隙を狙っているような感じがする…この人もかなり曲者なのでは……?
「それで?君たちと組むとして、私らは何をすればいいんだい?」
「そうねェん……とりあえず、そこの侍みたいな人には私の護衛と警備に当たってもらおうかしらァん?あ、あなたは好きにしていいわよォ~?」
「……侍では無い、翡翠だ」
(あ、俺の仕事減る…ラッキー)
白髪の女性は少し悩むと隣の男と話し始める。確か…翡翠だっけ?
「どうする翡翠?私は構わないけどさ?」
「うむ、私は貴女がいいならそれに従おう。何せ私は記憶がないからな」
「そうかい、じゃ決まりだね」
白髪の女性はくるりとこちらに向き直ると瑠璃垣さんの目をまっすぐ見る。
「と、言うわけだ、乗った!」
「賢い選択だわァん」
瑠璃垣さんは満足そうに笑う。久々にあんな顔をみた。
(……あれ?人数増えるなら俺とかあの人たちの仕事逆に増えるんじゃない?)
「と、言う訳だ、宜しくなァ!私は銀咲だ、銀咲 鋭子(ギンザキ エイコ)」
「……翡翠(ヒスイ)だ」
「歓迎するわァん」
…とりあえず、仲間も仕事も増えるようだ。
確かにアイテム探しに行け…って言われたと伝えられたけど……
「君が適当に仕事してないか見張るためよォ?君の事だからボーッとして見逃しちゃうんじゃないかって私は心配でねェ?」
「じゃあ自分で行けばいいじゃないですか」
「あらァ?私に指図できるのは私だけよォ?それに、なんのためにクズ達をあの部屋に入れてあげてると思ってるのかしらァん?ほらァ、言うじゃなァい?『働かざるものなんたらァ』って」
「『食うべからず』ですよ。でもその理論で行くと、瑠璃垣さんも働いてない人に入ると思いますけど」
「私は例外よォ、当然でしょ?」
瑠璃垣は何を言ってるんだコイツはといった表情で見てきた。
この人とは最初の部屋から一緒だった。指示を出してくれるのは、何かを決めるのが苦手な俺にとっては助かる。まぁ、偉そうなだけに見えるけど、指示は割と的確……だと思う。
『君さ、この扉開けられないかしらァん?』
『はい?いや、確かに【部屋から出ろ】って書かれてましたけど…それって普通は鍵とか探すんじゃないですか?』
『良いのよォ開ければ、で?君は開けられるのかしらァ?』
『あのですね、鉄の扉なんて普通の人には開けられる訳ないじゃないですか』
『……ま、そうよねぇ…仕方ないけど私も鍵を探すしか…』
『まぁ、開けれますけど』
ベキベキバキッと音を立てて鉄の扉が歪み、外れた。
『……君、何者かしらァ?』
『………化け物』
「今思えば君と最初に組めてラッキィだったわァ」
「…そうですか」
あの後、私が君だけは助けてあげるとか何だとか言われて結局今まで一緒にいる。
……この力を見て、化け物と言ってこない人はこの人が最初だったなぁ…
昔の事を思い出していると、ヒタヒタと曲がり角の奥から足音が聞こえてくる。
「夜透ィ?出番よォ~?」
「…ハイハイ」
前に出る。通常の狂人なら俺が掴めば簡単に殺せる。しかし、確か『12番』…だったっけ?その人から聞くに『鬼』のようなお面をかぶった狂人がいるらしい。なんでも巨体で武器も持ってるらしい。……ゲームで言うところの『面倒な道中モンスター』って感じだろうな。
とにかく、『鬼』なら多少苦労するだろうし、少し慎重に行くか。
角を曲がり、息を潜める。すると2人の人影が浮かんできた。
「して?貴女は何故そのような判断を?」
「なぁに大した事じゃないよ。その方が楽だったって思っただけさァ……ん?」
見ると若いのに白髪の女性と、なんか変なお面をつけた黒い和服の男が出てきた。
「ぬ?貴方は生存者であるか?」
「見たところそうみたいだけどー…君みたいな若い子もいるんだねぇ~?」
……女性の方はともかく、男の方は何やらでっかい『針』のようなものを持っている。…なんか物騒だ。
「あらァん?生存者かしらァ?」
中々俺が帰ってこなかったからか、痺れを切らした瑠璃垣さんがひょっこり出てきた。
「おや?私と同い年ぐらいの人までいるとはね?……にしても随分露出の高い服だな…」
「ふむ、貴女もそう思われるか…私もそう思うのだが…」
「へぇ~。お面の君さ、強いね?」
「ぬ?」
瑠璃垣さんは言われてる事を毛ほども気にせず不気味なお面の男を見るなり、言葉を発した。
「見たところあなた…大分殺してる見たいねぇ~?その手に持ってる……馬鹿みたいに大きい針にも血が染み込んでるのがわかるわァん…一体何人殺したのかしらァ?」
聞かれたお面の男はテキパキと答え始めた。
「ふむ、まずこれはただの針ではなく、『処刑針』である。して、2つ目の問に答えると、私は記憶がない。目が覚めたらこの人がそばいた。故に、殺した数は覚えていない」
(なんか変な喋り方だなぁ…武士?)
「ふぅ~ん……ねぇ、貴方たちさぁ?私たちと組まないかしらァん?」
瑠璃垣さんが組まないか?と人に言うのは始めた聞いた。それほどの人物だと評価したのだろうか?
「へぇ~悪くない誘いだね?でも組んで私達になんのメリットがあるんだい?ぶっちゃけ、君らはこの侍に敵わないよ?」
「侍では無い、翡翠である」
どうやら、お面の男は翡翠と言うらしい…名前か?苗字か?……分からん……
「そうねぇ…メリットは私たちが拠点に使ってる部屋を特別待遇で使わせてあげるわァん。それに、私たちが従えてる『部下』も使って良いわよォん?」
『部下』というのは瑠璃垣さんに番号で呼ばれている実質奴隷扱いの彼らだろう…
「へぇ~随分な好待遇じゃないかい」
すると女性は鋭い目付きになる。瑠璃垣さんが蛇のような目つきなら、こっちはなんだろう…フクロウみたいな目つきだ…虎視眈々と隙を狙っているような感じがする…この人もかなり曲者なのでは……?
「それで?君たちと組むとして、私らは何をすればいいんだい?」
「そうねェん……とりあえず、そこの侍みたいな人には私の護衛と警備に当たってもらおうかしらァん?あ、あなたは好きにしていいわよォ~?」
「……侍では無い、翡翠だ」
(あ、俺の仕事減る…ラッキー)
白髪の女性は少し悩むと隣の男と話し始める。確か…翡翠だっけ?
「どうする翡翠?私は構わないけどさ?」
「うむ、私は貴女がいいならそれに従おう。何せ私は記憶がないからな」
「そうかい、じゃ決まりだね」
白髪の女性はくるりとこちらに向き直ると瑠璃垣さんの目をまっすぐ見る。
「と、言うわけだ、乗った!」
「賢い選択だわァん」
瑠璃垣さんは満足そうに笑う。久々にあんな顔をみた。
(……あれ?人数増えるなら俺とかあの人たちの仕事逆に増えるんじゃない?)
「と、言う訳だ、宜しくなァ!私は銀咲だ、銀咲 鋭子(ギンザキ エイコ)」
「……翡翠(ヒスイ)だ」
「歓迎するわァん」
…とりあえず、仲間も仕事も増えるようだ。
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