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一章「ラビリンスゲーム」
中立勢力
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迷宮のある一角、狂人に囲まれた2人がいた。
「いや~どうするんスかこれ~、生きて帰れるッスかね~」
ひとりがこういうと、もう1人は冷静に言った。
「まぁ、何とかなると思うが……なんで俺の武器は鉄パイプなんだろうな…」
「いや、ウチなんかシャベルッスよ~?しかも何故か全部鉄で出来てるからめちゃ重いし~」
「とりあえず、文句を言う前にこいつらを片付けるか、コイツらどうにかしないと蒼桐(アオギリ)さんとこ戻れないし…戦闘中寝ないでくれよ……流石に剣道はやってたとはいえ、もう昔の話だからな?緑川(ミドリカワ)…」
緑川と呼ばれた華奢な少女は瞼を擦りながら欠伸まじりの声で返事をした。
「おいっス~寝ないよう気を付けるッス~…まぁ、もし寝ちゃったらこいつらの相手は任せるッスよ~?黒須(クロス)さん」
黒須と呼ばれた男は鉄パイプを竹刀のように構えると、その時が来ない事を願うばかりだ… と、ボヤいた。
狂人達はジリジリと距離を詰め、機会を伺っている。
「コイツら理性ないのになんで統率取れてるんスかね~?バラバラで来れば楽なのに」
「まぁ、確かに」
そういった途端狂人達が一斉に飛びかかった。
「うわっ!なんだよ!理性が無いって言われてコイツら怒ったんじゃないのか!?」
「え~ウチのせいにしないで下さいっス~、理性何のはホントでしょう~?」
「いやそうだけど!!!!」
間抜けな会話とは裏腹に緑川と黒須は狂人を確実に仕留めている。しかし…
「あ~………黒須さん~…後は頼むっス~ふわぁぁ……スピー…」
緑川は突然シャベルを地面に突き刺し、それに両腕を乗せるとグースカと寝始めた。
「ウォォォォイ!あれだけ寝るなよって言ったのに!」
「スピーー…」
「あぁ!もう!つかどんだけコイツらいるんだよ!鉄パイプ振り回し飽きたぞ!」
雑魚とはいえ、流石に数が多すぎる。体力がもたねぇ…ッ!
緑川を庇いながら、何とか立ち回っていたが、そろそろ体力が限界に達し始めた。この迷宮、狂人達が群がっている場所は本当に多勢に無勢だ…
「クソっ!」
黒須は鉄パイプを投げ、前方の狂人に当てる。命中した狂人はガクンと姿勢が低くなった。
(今だッ!)
黒須は寝てしまった緑川を抱え、シャベルを引き抜くと低くなった狂人の上を飛び越え、全力で逃げ始めた。
「はぁ…はぁ……」
「ん~…あ、黒須さんおはよーっス~……ってあれ?狂人達は?」
緑川が起きたらしい。今回は短い方だったな…
「逃げたんだよ!お前のその『体質』何とかならないのかよ!」
「いやー生まれつき見たいで~、申し訳ないッス~」
肩に担がれた緑川は起きたばかりだと言うのにまだ眠そうに瞼を擦っていた。
「あ、そうそう。黒須さん」
「ん?どうした?」
緑川は肩に担がれた状態で後ろを振り向きながら指を指した。
「このペースだと追いつかれるっスよ~」
走りながら後ろを振り向いてみると、先程の狂人達がダッシュで向かって来てるのが見えた。
「いぃ!?」
緑川が『追いつかれる』と言った。コイツがそういったなら必ずそうなる。
「ウチらここまでッスかね~?」
「何とか蒼桐さんの所まで逃げれればッ!」
あの人ならこの数相手でも圧勝できる。
「いや、無理っスよ~その前に追いつかれてフルボッコ。ゲームオーバーッス」
「不吉な事言うんじゃねぇ!てかお前いい加減自分で走れ!」
「いや、この方が絶対速いッスよ~?ウチ体力ないんで」
「あぁ!そうかよ!」
体重の軽い緑川とはいえ、流石に全力疾走を続けていては足がもつれる。
「あ、誰かいるっス~」
緑川が前方を指さすと、そこには何やらデッカイ鉄の塊を担いだ高校生くらいの男と、その仲間らしい何人かが立っていた。
「あんたら逃げろ!狂人が追ってきてるんだ!!!!」
そう叫ぶと、高校生は俺の奥を見た。その瞬間目付きが変わり、仲間に一言言うと、鉄の塊を握りしめ、勢いよくこちらに向かってきた。
その高校生はすれ違いざまにこんな事を言った。
「とりあえず、助けます。事情は後で」
言葉を返す前に高校生は狂人の群れに向かって行ってしまった。
「お、おい!君!」
「大丈夫ですよ~」
向かっていく高校生を止めようと叫ぶと横にいた女性がおっとり話しかけてきた。
「見ていてください。あの子絶対負けないので」
笑いながら話す。あの数相手に勝てる?
振り向くと、狂人達を化け物のようにぶっ飛ばす先程の高校生が見えた。
「な、何者……」
「僕も最初は目を疑いましたよ」
隣を見るとにこやかな青年が立っていた。
「ほら、見てください?もう終わりますよ」
言われた通り見ると、7人ぐらいはいたはずの狂人が1人残らずダウンしていた。
高校生は返り血を浴びながら、こちらを向いて一言。
「終わりました」
赤毛の高校生は何事もなかったかのように鉄の塊を肩に乗せて戻ってきた。
「おかえり~ってうわぁ…凄い血だね…」
「今回はかなり数が多かったので、配慮して戦えませんでした…」
ズガンッ!と鉄塊を地面に突き刺すと、こちらを向いた。
「で、あなた方は?」
高校生とは思えない鋭い目付きに一瞬気遅れしてしまう。
「あ、あぁ…助かった、ありがとう。俺は黒須、こいつは緑川。実は食料を探しに隠れてた部屋から出てたんだが、その途中で奴らに見つかって襲われていたんだ」
「おいっス~緑川ッス~、いやぁ、赤毛君強いッスね~」
「緑川、お前お礼ぐらい言え…」
そういうと、赤毛の高校生は尋ねてきた。
「ま、事情はわかりました。あなた方はこれからどうするつもりですか」
「俺たちはある部屋にずっと隠れてるんだ。その部屋に俺たちのリーダーがまだいる。だからこれから戻るんだ」
事情を聞くと、蒼桐と言う彼らのリーダー格の男が黒須達が隠れてた部屋にいるらしい。
「あの、ひとつ良いですか?」
「ん?なんだい?」
赤毛の高校生は、何か聞きたげに話しかけてきた。
「黒須さん達のリーダーの蒼桐さんって方に会わせてくれませんか?」
「良いけど…どうしてだい?」
「情報の共有をしたいんです。聞いたところ冷静な人のようですし。それに、僕らも少し
休憩したいと思っていたので」
部屋があれば助かるんですが…と赤毛の高校生は遠慮気味に言った。
「うーん、まぁ、分かった。あの人も俺たちの恩人だといえば分かってくれるはずだから」
「あの人結構警戒心強いっスからねぇ~」
「そんなに警戒心が強い人なのかい?」
緑川の言葉に紺道さんが反応する。
「そうっスね~、まぁ黒須さんの言ってた通り、ウチらの恩人だーって言えば会ってくれるとは思うッス~」
「そうか、それなら大丈夫かな…」
紺道さんは若干不安そうな顔をしながら頷いた。
「じゃあ、俺たちの部屋に案内するよ。着いてきて」
黒須はそういうと、ポケットから何と地図を出した。
「え?ジン君、この人『地図』持ってるよ!」
「え!?黒須さん達は『地図持ち』だったんですか!」
「あ、そうだけど、ギミック部屋をクリアしたのは俺じゃなくて蒼桐さんだよ」
……ギミックの内容が同じとは限らないが、性格の悪い運営のギミックに成功したとなると相当強い人なのだろう。
「あ、名前を聞いても良いかな?」
「紅谷です。血生臭くて申し訳ないですが、着替えもないのでこのまま行きますね」
むしろ君がその状態で平気そうなのが驚きなんだけど…っというのは言わないでおく。
紅谷一行は蒼桐と言う人物に会うため、黒須達に着いて行く事にした。
「いや~どうするんスかこれ~、生きて帰れるッスかね~」
ひとりがこういうと、もう1人は冷静に言った。
「まぁ、何とかなると思うが……なんで俺の武器は鉄パイプなんだろうな…」
「いや、ウチなんかシャベルッスよ~?しかも何故か全部鉄で出来てるからめちゃ重いし~」
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黒須と呼ばれた男は鉄パイプを竹刀のように構えると、その時が来ない事を願うばかりだ… と、ボヤいた。
狂人達はジリジリと距離を詰め、機会を伺っている。
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「まぁ、確かに」
そういった途端狂人達が一斉に飛びかかった。
「うわっ!なんだよ!理性が無いって言われてコイツら怒ったんじゃないのか!?」
「え~ウチのせいにしないで下さいっス~、理性何のはホントでしょう~?」
「いやそうだけど!!!!」
間抜けな会話とは裏腹に緑川と黒須は狂人を確実に仕留めている。しかし…
「あ~………黒須さん~…後は頼むっス~ふわぁぁ……スピー…」
緑川は突然シャベルを地面に突き刺し、それに両腕を乗せるとグースカと寝始めた。
「ウォォォォイ!あれだけ寝るなよって言ったのに!」
「スピーー…」
「あぁ!もう!つかどんだけコイツらいるんだよ!鉄パイプ振り回し飽きたぞ!」
雑魚とはいえ、流石に数が多すぎる。体力がもたねぇ…ッ!
緑川を庇いながら、何とか立ち回っていたが、そろそろ体力が限界に達し始めた。この迷宮、狂人達が群がっている場所は本当に多勢に無勢だ…
「クソっ!」
黒須は鉄パイプを投げ、前方の狂人に当てる。命中した狂人はガクンと姿勢が低くなった。
(今だッ!)
黒須は寝てしまった緑川を抱え、シャベルを引き抜くと低くなった狂人の上を飛び越え、全力で逃げ始めた。
「はぁ…はぁ……」
「ん~…あ、黒須さんおはよーっス~……ってあれ?狂人達は?」
緑川が起きたらしい。今回は短い方だったな…
「逃げたんだよ!お前のその『体質』何とかならないのかよ!」
「いやー生まれつき見たいで~、申し訳ないッス~」
肩に担がれた緑川は起きたばかりだと言うのにまだ眠そうに瞼を擦っていた。
「あ、そうそう。黒須さん」
「ん?どうした?」
緑川は肩に担がれた状態で後ろを振り向きながら指を指した。
「このペースだと追いつかれるっスよ~」
走りながら後ろを振り向いてみると、先程の狂人達がダッシュで向かって来てるのが見えた。
「いぃ!?」
緑川が『追いつかれる』と言った。コイツがそういったなら必ずそうなる。
「ウチらここまでッスかね~?」
「何とか蒼桐さんの所まで逃げれればッ!」
あの人ならこの数相手でも圧勝できる。
「いや、無理っスよ~その前に追いつかれてフルボッコ。ゲームオーバーッス」
「不吉な事言うんじゃねぇ!てかお前いい加減自分で走れ!」
「いや、この方が絶対速いッスよ~?ウチ体力ないんで」
「あぁ!そうかよ!」
体重の軽い緑川とはいえ、流石に全力疾走を続けていては足がもつれる。
「あ、誰かいるっス~」
緑川が前方を指さすと、そこには何やらデッカイ鉄の塊を担いだ高校生くらいの男と、その仲間らしい何人かが立っていた。
「あんたら逃げろ!狂人が追ってきてるんだ!!!!」
そう叫ぶと、高校生は俺の奥を見た。その瞬間目付きが変わり、仲間に一言言うと、鉄の塊を握りしめ、勢いよくこちらに向かってきた。
その高校生はすれ違いざまにこんな事を言った。
「とりあえず、助けます。事情は後で」
言葉を返す前に高校生は狂人の群れに向かって行ってしまった。
「お、おい!君!」
「大丈夫ですよ~」
向かっていく高校生を止めようと叫ぶと横にいた女性がおっとり話しかけてきた。
「見ていてください。あの子絶対負けないので」
笑いながら話す。あの数相手に勝てる?
振り向くと、狂人達を化け物のようにぶっ飛ばす先程の高校生が見えた。
「な、何者……」
「僕も最初は目を疑いましたよ」
隣を見るとにこやかな青年が立っていた。
「ほら、見てください?もう終わりますよ」
言われた通り見ると、7人ぐらいはいたはずの狂人が1人残らずダウンしていた。
高校生は返り血を浴びながら、こちらを向いて一言。
「終わりました」
赤毛の高校生は何事もなかったかのように鉄の塊を肩に乗せて戻ってきた。
「おかえり~ってうわぁ…凄い血だね…」
「今回はかなり数が多かったので、配慮して戦えませんでした…」
ズガンッ!と鉄塊を地面に突き刺すと、こちらを向いた。
「で、あなた方は?」
高校生とは思えない鋭い目付きに一瞬気遅れしてしまう。
「あ、あぁ…助かった、ありがとう。俺は黒須、こいつは緑川。実は食料を探しに隠れてた部屋から出てたんだが、その途中で奴らに見つかって襲われていたんだ」
「おいっス~緑川ッス~、いやぁ、赤毛君強いッスね~」
「緑川、お前お礼ぐらい言え…」
そういうと、赤毛の高校生は尋ねてきた。
「ま、事情はわかりました。あなた方はこれからどうするつもりですか」
「俺たちはある部屋にずっと隠れてるんだ。その部屋に俺たちのリーダーがまだいる。だからこれから戻るんだ」
事情を聞くと、蒼桐と言う彼らのリーダー格の男が黒須達が隠れてた部屋にいるらしい。
「あの、ひとつ良いですか?」
「ん?なんだい?」
赤毛の高校生は、何か聞きたげに話しかけてきた。
「黒須さん達のリーダーの蒼桐さんって方に会わせてくれませんか?」
「良いけど…どうしてだい?」
「情報の共有をしたいんです。聞いたところ冷静な人のようですし。それに、僕らも少し
休憩したいと思っていたので」
部屋があれば助かるんですが…と赤毛の高校生は遠慮気味に言った。
「うーん、まぁ、分かった。あの人も俺たちの恩人だといえば分かってくれるはずだから」
「あの人結構警戒心強いっスからねぇ~」
「そんなに警戒心が強い人なのかい?」
緑川の言葉に紺道さんが反応する。
「そうっスね~、まぁ黒須さんの言ってた通り、ウチらの恩人だーって言えば会ってくれるとは思うッス~」
「そうか、それなら大丈夫かな…」
紺道さんは若干不安そうな顔をしながら頷いた。
「じゃあ、俺たちの部屋に案内するよ。着いてきて」
黒須はそういうと、ポケットから何と地図を出した。
「え?ジン君、この人『地図』持ってるよ!」
「え!?黒須さん達は『地図持ち』だったんですか!」
「あ、そうだけど、ギミック部屋をクリアしたのは俺じゃなくて蒼桐さんだよ」
……ギミックの内容が同じとは限らないが、性格の悪い運営のギミックに成功したとなると相当強い人なのだろう。
「あ、名前を聞いても良いかな?」
「紅谷です。血生臭くて申し訳ないですが、着替えもないのでこのまま行きますね」
むしろ君がその状態で平気そうなのが驚きなんだけど…っというのは言わないでおく。
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