神様の仰せのままに

幽零

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無神機関編

21話

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ーさぁ、始めようか。神殺しだー








「待っていたぞ谷透、見事御前試合に勝利したか…」

久々に見た三ツ谷の神、盾岩は相変わらず岩石のような顔だった。

「あぁ…ってなんで知ってんだ?」

「神社間の連絡は巫女同士が取っている」

「へぇ」

腰裏に下げた封神剣を気にしながら、谷透は答える。

「みなご苦労であった。とにかく休むが良い」


盾岩の言葉に連れられるように、三ツ谷の面々はお堂の中へと入る。



「……紅葉、主とは話すことがある」

「……なんじゃあ?珍しいのう?」

「ニヶ宮からも連絡が来ている、事態は少々切迫しているかも知れん…」

「……ほう」



盾岩の部屋に移動した紅葉は、いつもと違い神妙な顔をする盾岩に違和感を覚える。

「どうした盾岩、妾達が一ノ門に行っていた時に何かあったのか?」

「ぬ……そうだな、順々に話すとしよう」

岩石のような顔を動かしながら、言葉を刻む。

「お前達が一ノ門に行ってそれほど経っていない頃だ。まぁ、一ノ門では御前試合や「シキヨ」と呼ばれる穢れた神も現れたとかで、大変だっと聞いている」

「まったくじゃな。まぁ、谷透はその経験もあってか、封神剣の力を多少引き出せるようになったようじゃ」

「……そうか……谷透が刃紗羅様の遺物を……何か…感慨深いな」

盾岩はポツリとつぶやいた後、あぁ、違う違うと首を振って続ける。

「ぬ、話がそれてしまったな。お前達が一ノ門に行ってそれほど経ってもいない頃、二ヶ宮の周辺地域で穢れた神が倒されていたらしい」

「ん?なんじゃ盾岩。奴らめが倒されてなんの問題があるんじゃ?」

「……

その言葉を聞いて、紅葉は察したような顔をする。

「……倒されていたのは一体か?」

紅葉の問いに盾岩は首を横に振る。

「いいや……5体だ」

「……妙じゃ、多すぎやしないか?」

「あぁ…だが、事実だ。二ヶ宮の槍丈ソウジョウも出ていたし、破狩などの主力のメンツも神主を守るために出ていただろう。一ノ門では御前試合を行なっていたという理由から、二ヶ宮も一旦我に報告するという形をとったらしい」

「ふぅむ……神社でないヤツラの仕業となると……あの連中か?」

紅葉の問いに盾岩は首を縦に振って答える。

「あぁ……『無神機関ムシンキカン』。神社以外で穢れた神を討伐できる組織など、無神機関を除いて他にはないだろう」

「……回りくどいのは好かぬ故、結論から聞こう盾岩」

「……二ヶ宮は、我らに対して『穢祓い』谷透 修哉を派遣するように要請してきた」

「まぁ、そうなるじゃろうなぁ…」

「『御前試合』に勝利したという報告が来た途端だ。我がこちらの人間を一人同行させる条件も何とかつけられた」

「一ノ門ほどでもないが…一応序列的には二ヶ宮も三ツ谷より上じゃからのう……」

「もう一人の『穢祓い』は遠征しているそうだ…だからこちらに谷透を遣すように連絡してきたのだろう」

「……まぁ、とりあえず「はい」以外は答えられんしな。ただせめて一日以上は谷透に休息させてやってくれ」

「当然、そのつもりだ」


盾岩は力強く首を縦に振って答えた。




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