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いざ、異世界へ
決戦 VSヴァルゴ
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アンナの心の声を聞き届けることによって、ゴブリン達と戦う決意を固めた”ディエルバ王国”。
国民達が真に自由を手に奮起したあの日の翌日、先日喧嘩を吹っかけたゴブリン軍から尖兵が送られ、果たし状を叩きつけられた。
わざわざ攻め込むことを宣言すんのか?、と思ったが、どうやら奴らは、まだ俺達が恐れ慄いていると勘違いしているらしい。
アイツら的には、敢えて恐怖を与える時間を伝え、『せいぜい余生を楽しめよな』といった具合に煽るつもりだったらしいが、こちらとしては全然ノープロブレムであった。逆に、予期せぬ奇襲がないことを安堵したまであった。
とは言え、中にはガセ情報だと怪訝する者も居たが、俺の超能力<テレパシー>の前ではどんな嘘もお見通しだ。その場にいた俺は、ゴブリン軍からの尖兵が真実を告げていることを確認した。奴らは正々堂々真正面から俺らを叩き潰す気満々であった。
……とまぁこんな感じのことがあり、俺らはある程度の余裕を持って来るべき決戦に向け準備をすることができた。
国のトップであるアンナが先頭に立ち、数多くの作戦を練り、武器を手入れし、戦力の強化を図った。
そんな中、俺は――
「ふわぁー~……。退屈だぁ~……」
暇過ぎて、旅人用の宿屋で惰眠を貪っていた。
正直、俺が出る幕など皆無であった。
別に直接戦陣に立つ気は無いのだから、何をしても意味はない。
『ちょっとは手伝えよ……』とアンナから無言の圧力を受けて流石にたじろぎはしたが、この問題は部外者である俺からしてみれば興味は全く湧かない物である。
この国の問題は、この国の者達が解決してこそ意義がある。そう感じた俺はわざと手を貸さないでいた。
そんなこんなで超絶暇過ぎて寝ることしか出来なかった俺の睡眠は――
『ガァン! ガァン! ガァーン!』
というけたたましい鐘の音によって終わりを告げた。
「んあ? やっと来たかぁ……?」
俺は大きな欠伸をしながら寝ぼけ眼で外の様子を確認する。
俺の視界の先には、土埃を上げてこちらに迫ってくる一軍の姿が見えた。
「本当に時間丁度に来やがった。見た目に反して律儀なところあるなぁ、ゴブリン軍は……」
そんな悠長な感情を抱く俺。これから過酷な戦争が始まるというのに呑気なものであっただろう。
その理由としては、先程も述べた通り、俺は完全蚊帳の外の存在であるというのもあるのだが、もう一つ理由があった。
俺はこちらにやってくるゴブリン軍が突如として姿を消した光景をぼんやりと見つめていた。
その現象はまるで、身体を別の場所に瞬間移動させる俺の超能力<テレポート>を使った様であった。
だがしかし、奴らが超能力を使える筈もなく、俺も奴らを<テレポート>させる意味はない。
ゴブリン軍の姿を消したのはもっと原始的な理由。
――そう、彼らは”ディエルバ王国”の洗礼にまんまと引っ掛かったのだ。
『今だ! 弓矢隊、打てッ!』
ゴブリン達が姿を消した瞬間、<テレパシー>が遠くの声を拾う。
その声がした瞬間、中に無数の線状の何か――正確には弓が雨のように降り注ぐのが見えた。
弓が飛来した場所から悲鳴が轟く。
「うひょ~! 容赦ねぇ~」
事が起こっている場所から相当離れてはいるが、<テレパシー>を使えば何が起きているかは一目瞭然であった。
……そろそろ何が起きているのか種明かしをするとしよう。
何も考えなしに突っ込んできたゴブリン軍は、事前に”ディエルバ王国”が掘っておいた落とし穴に嵌まり、陣形を崩され、その隙に空から弓矢を放たれたとさ。
至って単純な罠であったが、『どうせ策など用意してないだろ?』と高を括っていた連中には効果覿面であっただろう。
結果的に、”人類国家”は上位種である”魔神族”に先手を打つ事ができたこととなる。
俺がのほほんとした態度を示していたのはこれが理由だ。
「――ほら、だから言ったろ? あんまり人間を舐めるなってな。……”ディエルバ王国”が用意した策は落とし穴だけではない。まだまだお前らは苦しられるんだ。せいぜい足掻けよな」
”人類族”が圧勝することを全面的に信じていた俺は、またもや退屈さから欠伸をする。
「さて、取り敢えずは安心できそうだからもう少し寝てようかな。アイツがここにたどり着くまでね」
そんな含みを込めた言葉を呟きながら、俺はもう一寝入りすることとした。
またもや深い眠りに入っていた俺の耳に、
ガシャン!
という窓が割れる音が入ってきた。
その音が何なのか、その音を出したのは誰なのか。それを知っていた俺はゆっくりと身体を起こす。
「おやおや、想定よりもお早いご到着なこって。けどまぁ、一応は褒めといてやるよ。よくぞここまで辿り着いたな、ヴァルゴ……」
そう声を掛けられた者――<ゴブリンリーダー>ヴァルゴは、冷静な言葉を返す。
「……姿が見えぬと思ってはいたが、まさか安全地帯から高みの見物を決め込んでいたとはな。良いご身分であるな」
「この国にとっちゃ俺は客人みたいなもんだ。客人が借りた部屋でゆっくりしてちゃ悪いのかよ?」
「ふん、まだ自分は無関係だとのさばっているのか。元はと言えば、サイコがことの発端であったではないか」
「そうだが、そこまでアンタを追い詰めたことに関しては俺は一切関与してないぜ?」
俺は全身を切り傷、刺し傷、火傷傷、打撲傷等々のダメージを負っているヴァルゴを見てほくそ笑んだ。
「――で、率直な感想を聞かせろ貰おうか? ……”人類族”の反逆の味はどうだった?」
俺の問いにヴァルゴは傷に手を添える。
「ふむ。素晴らしいものであったぞ。何せ我にこれほどの傷を負わせたのだからな。”人類族”はただ”他族”の脅威に震えるだけの弱小な存在ではないということがわかった」
ヴァルゴはさぞ満足気に笑ってみせた。
”人類族”に対する賞賛に嘘偽りはなかった。どうやら身を以て”人類族”の底力というものを肌で感じ取ったらしい。
だが、その心とは裏腹に――
「だがな……」
そんな否定の言葉をヴァルゴが発した瞬間、場の空気が張り詰めた。
「我の歩みを止めるにはあまりにも幼稚で稚拙で愚かしいものだった。……”人類族”の反抗は無意味以外の何物でもなかったぞ」
「そうかい。……まぁ薄々、普通のゴブリンならともかく、アンタまでは止められないだろうと思ってはいたからな。そしてある程度、”人類族”を蹂躙したお前は最後に、アンタらに無謀な啖呵を切った俺を潰して、戦争を終息させる腹積もりかい?」
「ほぉ、物分かりがいいな。……なら潔く死ぬ覚悟は出来ているのだろうな?」
俺は意を決したように立ち上がる。そして軽く手足を解す。
「おいおい、俺は自殺願望者じゃないんだぞ? 少しくらい抵抗は――」
俺が言葉全てを言い切る前に、ヴァルゴは動き出した。
彼の身長程の大きさを誇る巨大な棍棒を横薙ぎに振るうヴァルゴ。
実際に棍棒は当たらなかったが、振るわれたイカつい棍棒によって生じた風圧は、客室の壁全てを粉々に吹き飛ばした。
「うおぉおぉ!?」
正にパワーキャラの特権を遺憾なく見せつけられた形になった。
一撃で崩れゆく建物から何とか逃げおおせた俺は、物陰に隠れ息を整える。
(こりゃ、ちょいとばかし本気にならんとな。なるべくなら変身する気は無かったのだが、考えは改めないといかんらしい)
俺は目を細め、真剣な面持ちを見せる。
俺の姿を見失ったヴァルゴは、乱暴に巨根を振り回し大声を上げる。
「そうだそうだ! もっと慌てふためけ! そして本気になり、あの時の威勢をもう一度見せよ! でなければ面白くないのだからなッ!」
とんだ戦闘狂やな……。
そんな冷ややかな感情を抱く俺であったが、その実力は本物だ。
本気で戦いを楽しむ傍、本気で俺を破壊するつもりだ。
(アンタがそのつもりなら俺――いや、私も腹を括らねばならぬようだ)
私は目を一度閉じ、深呼吸をひとつする。そして物陰から姿を現した。
私を見つけたヴァルゴは嬉々として棍棒を構え直す。
「ほぉ! やっと戦う気になったか! さぁ、血沸き肉踊る死闘を始めようではないかッ!」
「その前に一つ、聞かせてはくれないか?」
「む? なんだ?」
「ここまで到達するまでに突破してきた人達はどうしている?」
「あぁ、心配はするな。殺しはしていない。ただ王女アンナを含め全員拘束をしている。貴殿の首を見せ付け、絶望を与えた後、我らの好きにさせてもらう」
「例えばどんな風にだ?」
「わざわざ言わせるつもりか? 強いて言うなれば、死んだ方がマシだと思わせることくらいはさせるだろうな」
「……そうか、それを聞けて決心がついたよ。……どうやら貴方は、私が直々に正義を執行せねばならないようだ」
私は徐に両手を上げ、右上方向に大きく構える。
その仕草を見たヴァルゴは首を傾げる。
「なんだ、その動きは?」
「気にするな、ちょっとしたお約束のようなものだ。――さぁ、行くぞ! 変身……ッ!」
私がそう宣言し、右上方向に構えた両手を左上方向に移動させた後、正面に構えた瞬間、周囲が光に包まれる。
その光が収まると、私にある変化が訪れていた。
その様子を見たヴァルゴはさらに不思議そうな顔をした。
「姿が……変わった……?」
そう、ヴァルゴの言葉通り、私は顔と全身を覆う銀白のコスチュームに身を包んだのである。
この姿は、特撮アニメ”超能戦士・サイコマン”において、主人公超能寺 才己が敵と闘う時にする姿である。
とは言え、超低予算特撮アニメであった超能戦士<サイコマン>の衣装はどこかチープで着心地はあまりよろしくはなかったのだが(ここまで再現しなくてもいいじゃないか……)、身に纏うだけでわかることがあった。
(アニメ上の設定では、普段の超能寺 才己の力を一とするなら、このスーツを着た後の彼の力は百になるという。小さい頃はその違いをあまり実感はできなかったが、今なら十分にそれを知ることが出来る。今の私は本当の意味で『最強』だ……)
溢れんばかりのチート能力に酔いしれながらも、私はヴァルゴと相対する。
「さぁ、始めよう――」
そう私が言った刹那、私はヴァルゴの懐に瞬時に<テレポート>をし、奴の顔面に百発の打撃をお見舞いした。
「ッ!?」
いきなりの出来事にヴァルゴは言葉を失った。
戦闘開始早々、脳震盪に見舞われ足元をふらつかせるヴァルゴを余所に、私はさらに百発の連撃をヴァルゴの腹に喰らわした。
「ゴブッ!?」
当然のことながら大量の吐血をするヴァルゴに私はこう言い放った。
「これで終わりではないだろう?」
「こ……小癪なぁ!」
流石は<ゴブリンリーダー>といった所か。二百発程度の軽いジャブじゃ倒れないらしい。
未だ健在(実はもうギリギリかもしれないが)のヴァルゴは半ばヤケクソ気味に、自慢の棍棒を私に振り下ろそうとしていた。
私はつい先日やった様に、ヴァルゴの棍棒を華麗に弾き返そうとした。だが、ここである誤算が生じる。
軽く触れば良かったものの、勢い余って力を入れ過ぎてしまい、あろうことか彼の棍棒を弾く拍子に粉砕してしまった。
「ぬぅ!?」
「おっとスマない。手が滑ってしまったようだ」
予想外のトラブルを起こしてしまった私は申し訳ない気持ちになり、一度攻撃の手を止め、一旦彼から離れる。
暫しの間、睨み合う私とヴァルゴ。
そんな時、ヴァルゴが息を荒くしつつ声をかけてきた。
「……貴殿、本当に何者だ? それ程の力を持っていながら何故、今まで力を隠していた。その力があれば、この世界のパワーバランスなど容易に崩せる筈であろう。一体何が目的だ?」
「確かにこの力があれば望むことはなんでも出来るのであろうな。しかし、そんな風に自由気ままに力を使うのは私の流儀に反するのだ」
「流儀……だと?」
「私はこう見えて目立つのが苦手でね。なるべくなら力を使わなくてもいい生活を送りたいと思っているのだ」
「……そう言いつつ、今の貴殿は相当目立つことをしているが?」
「別にずっと力を使わなくていいと思っている訳ではない。ある条件下でなら存分に力を行使することも厭わない」
「その条件とは?」
その言葉に私は二本の指を立てる。
「……一つ、私は常に頑張る者達の味方だ。私が力を貸す対象は、ただ私に助けを求めるのではなく、最大限の努力をし、最大限に前に進もうと邁進する『活きている』者達だ。”ディエルバ王国”の国民は正にそれであったから、今こうして彼らの代わりにお前の相手をしているのだ」
「……もう一つの条件は?」
「……そんな彼らの『活き様』を一方的に否定し、踏みにじろうとする者達が現れた時だ」
「!?」
「私は嫌いなのだよ。どんなに不器用でも、どんなに泥臭くても『活きる』ことを決めた英雄達の邪魔をする輩共がな」
私の怒りに呼応したのか、身体を巡る熱量が上がるのが肌で感じ取れた。
コツコツ、と煮え滾る感情を持って私はヴァルゴに近付く。
「この説明で十分か? <ゴブリンリーダー>ヴァルゴ……」
「うっ」
私に見つめられたヴァルゴは一歩後ろに下がる。
あろうことかそのまま逃げ出そうとするヴァルゴの肩を左手で掴む私。
すると、ヴァルゴは顔を青ざめ、叫び声を上げる。
「貴殿がこれからやろうとしているのは、世界のルールに反していることだ! もしそれを破ったらどうなるかわかっているのか!? 辛うじて存在している”人類族”の立場が完全に消えることと――」
「黙れよ……」
「ッ!?」
「アンタ、さっき言ったよな? そんなつまらんルールなぞ、俺にかかれば簡単に壊せるって。なら、やってやろうじゃねぇか。元々そのつもりだったしな」
俺は、右手を力強く握り締める。
そしてそこに、強大な力を込める。
「まさかこのセリフを高々と宣言できる時が来ようとはな! さぁ、歯を食い縛れよ、小悪党!」
右手に込められた力に熱が籠る。
そしてその右手を大きく後ろに構え、特撮アニメ”超能戦士・サイコマン”における名台詞を放つ。
「『我の拳は漢の拳! 故に全てを砕く正義の鉄拳なり! 喰らえ、……バーン・ザ・ドラゴニル・インフィニットッ!!!!!』」
そして振り上げられる俺の拳。
そこから龍の形に変貌を遂げた拳が噴出し、ヴァルゴを覆い尽くす。
「ぐ……おぉ……!? おおおおおおぉおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉお!?」
そのままヴァルゴを喰らった『ドラゴン』が天高く飛翔し、遥か上空で爆発四散をした。
花火の様な儚い散り様の裏で、一つの丸焦げの物体が落ちてきた。
その落下地点の状況を<テレパシー>で確認した俺は、全てが終わったことを確信する。
もう戦う必要はないと感じた俺は、身につけていた銀白のバトルコスチュームを解く。
そして、ゆっくりとした足取りで歩き始めるのであった。
国民達が真に自由を手に奮起したあの日の翌日、先日喧嘩を吹っかけたゴブリン軍から尖兵が送られ、果たし状を叩きつけられた。
わざわざ攻め込むことを宣言すんのか?、と思ったが、どうやら奴らは、まだ俺達が恐れ慄いていると勘違いしているらしい。
アイツら的には、敢えて恐怖を与える時間を伝え、『せいぜい余生を楽しめよな』といった具合に煽るつもりだったらしいが、こちらとしては全然ノープロブレムであった。逆に、予期せぬ奇襲がないことを安堵したまであった。
とは言え、中にはガセ情報だと怪訝する者も居たが、俺の超能力<テレパシー>の前ではどんな嘘もお見通しだ。その場にいた俺は、ゴブリン軍からの尖兵が真実を告げていることを確認した。奴らは正々堂々真正面から俺らを叩き潰す気満々であった。
……とまぁこんな感じのことがあり、俺らはある程度の余裕を持って来るべき決戦に向け準備をすることができた。
国のトップであるアンナが先頭に立ち、数多くの作戦を練り、武器を手入れし、戦力の強化を図った。
そんな中、俺は――
「ふわぁー~……。退屈だぁ~……」
暇過ぎて、旅人用の宿屋で惰眠を貪っていた。
正直、俺が出る幕など皆無であった。
別に直接戦陣に立つ気は無いのだから、何をしても意味はない。
『ちょっとは手伝えよ……』とアンナから無言の圧力を受けて流石にたじろぎはしたが、この問題は部外者である俺からしてみれば興味は全く湧かない物である。
この国の問題は、この国の者達が解決してこそ意義がある。そう感じた俺はわざと手を貸さないでいた。
そんなこんなで超絶暇過ぎて寝ることしか出来なかった俺の睡眠は――
『ガァン! ガァン! ガァーン!』
というけたたましい鐘の音によって終わりを告げた。
「んあ? やっと来たかぁ……?」
俺は大きな欠伸をしながら寝ぼけ眼で外の様子を確認する。
俺の視界の先には、土埃を上げてこちらに迫ってくる一軍の姿が見えた。
「本当に時間丁度に来やがった。見た目に反して律儀なところあるなぁ、ゴブリン軍は……」
そんな悠長な感情を抱く俺。これから過酷な戦争が始まるというのに呑気なものであっただろう。
その理由としては、先程も述べた通り、俺は完全蚊帳の外の存在であるというのもあるのだが、もう一つ理由があった。
俺はこちらにやってくるゴブリン軍が突如として姿を消した光景をぼんやりと見つめていた。
その現象はまるで、身体を別の場所に瞬間移動させる俺の超能力<テレポート>を使った様であった。
だがしかし、奴らが超能力を使える筈もなく、俺も奴らを<テレポート>させる意味はない。
ゴブリン軍の姿を消したのはもっと原始的な理由。
――そう、彼らは”ディエルバ王国”の洗礼にまんまと引っ掛かったのだ。
『今だ! 弓矢隊、打てッ!』
ゴブリン達が姿を消した瞬間、<テレパシー>が遠くの声を拾う。
その声がした瞬間、中に無数の線状の何か――正確には弓が雨のように降り注ぐのが見えた。
弓が飛来した場所から悲鳴が轟く。
「うひょ~! 容赦ねぇ~」
事が起こっている場所から相当離れてはいるが、<テレパシー>を使えば何が起きているかは一目瞭然であった。
……そろそろ何が起きているのか種明かしをするとしよう。
何も考えなしに突っ込んできたゴブリン軍は、事前に”ディエルバ王国”が掘っておいた落とし穴に嵌まり、陣形を崩され、その隙に空から弓矢を放たれたとさ。
至って単純な罠であったが、『どうせ策など用意してないだろ?』と高を括っていた連中には効果覿面であっただろう。
結果的に、”人類国家”は上位種である”魔神族”に先手を打つ事ができたこととなる。
俺がのほほんとした態度を示していたのはこれが理由だ。
「――ほら、だから言ったろ? あんまり人間を舐めるなってな。……”ディエルバ王国”が用意した策は落とし穴だけではない。まだまだお前らは苦しられるんだ。せいぜい足掻けよな」
”人類族”が圧勝することを全面的に信じていた俺は、またもや退屈さから欠伸をする。
「さて、取り敢えずは安心できそうだからもう少し寝てようかな。アイツがここにたどり着くまでね」
そんな含みを込めた言葉を呟きながら、俺はもう一寝入りすることとした。
またもや深い眠りに入っていた俺の耳に、
ガシャン!
という窓が割れる音が入ってきた。
その音が何なのか、その音を出したのは誰なのか。それを知っていた俺はゆっくりと身体を起こす。
「おやおや、想定よりもお早いご到着なこって。けどまぁ、一応は褒めといてやるよ。よくぞここまで辿り着いたな、ヴァルゴ……」
そう声を掛けられた者――<ゴブリンリーダー>ヴァルゴは、冷静な言葉を返す。
「……姿が見えぬと思ってはいたが、まさか安全地帯から高みの見物を決め込んでいたとはな。良いご身分であるな」
「この国にとっちゃ俺は客人みたいなもんだ。客人が借りた部屋でゆっくりしてちゃ悪いのかよ?」
「ふん、まだ自分は無関係だとのさばっているのか。元はと言えば、サイコがことの発端であったではないか」
「そうだが、そこまでアンタを追い詰めたことに関しては俺は一切関与してないぜ?」
俺は全身を切り傷、刺し傷、火傷傷、打撲傷等々のダメージを負っているヴァルゴを見てほくそ笑んだ。
「――で、率直な感想を聞かせろ貰おうか? ……”人類族”の反逆の味はどうだった?」
俺の問いにヴァルゴは傷に手を添える。
「ふむ。素晴らしいものであったぞ。何せ我にこれほどの傷を負わせたのだからな。”人類族”はただ”他族”の脅威に震えるだけの弱小な存在ではないということがわかった」
ヴァルゴはさぞ満足気に笑ってみせた。
”人類族”に対する賞賛に嘘偽りはなかった。どうやら身を以て”人類族”の底力というものを肌で感じ取ったらしい。
だが、その心とは裏腹に――
「だがな……」
そんな否定の言葉をヴァルゴが発した瞬間、場の空気が張り詰めた。
「我の歩みを止めるにはあまりにも幼稚で稚拙で愚かしいものだった。……”人類族”の反抗は無意味以外の何物でもなかったぞ」
「そうかい。……まぁ薄々、普通のゴブリンならともかく、アンタまでは止められないだろうと思ってはいたからな。そしてある程度、”人類族”を蹂躙したお前は最後に、アンタらに無謀な啖呵を切った俺を潰して、戦争を終息させる腹積もりかい?」
「ほぉ、物分かりがいいな。……なら潔く死ぬ覚悟は出来ているのだろうな?」
俺は意を決したように立ち上がる。そして軽く手足を解す。
「おいおい、俺は自殺願望者じゃないんだぞ? 少しくらい抵抗は――」
俺が言葉全てを言い切る前に、ヴァルゴは動き出した。
彼の身長程の大きさを誇る巨大な棍棒を横薙ぎに振るうヴァルゴ。
実際に棍棒は当たらなかったが、振るわれたイカつい棍棒によって生じた風圧は、客室の壁全てを粉々に吹き飛ばした。
「うおぉおぉ!?」
正にパワーキャラの特権を遺憾なく見せつけられた形になった。
一撃で崩れゆく建物から何とか逃げおおせた俺は、物陰に隠れ息を整える。
(こりゃ、ちょいとばかし本気にならんとな。なるべくなら変身する気は無かったのだが、考えは改めないといかんらしい)
俺は目を細め、真剣な面持ちを見せる。
俺の姿を見失ったヴァルゴは、乱暴に巨根を振り回し大声を上げる。
「そうだそうだ! もっと慌てふためけ! そして本気になり、あの時の威勢をもう一度見せよ! でなければ面白くないのだからなッ!」
とんだ戦闘狂やな……。
そんな冷ややかな感情を抱く俺であったが、その実力は本物だ。
本気で戦いを楽しむ傍、本気で俺を破壊するつもりだ。
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「む? なんだ?」
「ここまで到達するまでに突破してきた人達はどうしている?」
「あぁ、心配はするな。殺しはしていない。ただ王女アンナを含め全員拘束をしている。貴殿の首を見せ付け、絶望を与えた後、我らの好きにさせてもらう」
「例えばどんな風にだ?」
「わざわざ言わせるつもりか? 強いて言うなれば、死んだ方がマシだと思わせることくらいはさせるだろうな」
「……そうか、それを聞けて決心がついたよ。……どうやら貴方は、私が直々に正義を執行せねばならないようだ」
私は徐に両手を上げ、右上方向に大きく構える。
その仕草を見たヴァルゴは首を傾げる。
「なんだ、その動きは?」
「気にするな、ちょっとしたお約束のようなものだ。――さぁ、行くぞ! 変身……ッ!」
私がそう宣言し、右上方向に構えた両手を左上方向に移動させた後、正面に構えた瞬間、周囲が光に包まれる。
その光が収まると、私にある変化が訪れていた。
その様子を見たヴァルゴはさらに不思議そうな顔をした。
「姿が……変わった……?」
そう、ヴァルゴの言葉通り、私は顔と全身を覆う銀白のコスチュームに身を包んだのである。
この姿は、特撮アニメ”超能戦士・サイコマン”において、主人公超能寺 才己が敵と闘う時にする姿である。
とは言え、超低予算特撮アニメであった超能戦士<サイコマン>の衣装はどこかチープで着心地はあまりよろしくはなかったのだが(ここまで再現しなくてもいいじゃないか……)、身に纏うだけでわかることがあった。
(アニメ上の設定では、普段の超能寺 才己の力を一とするなら、このスーツを着た後の彼の力は百になるという。小さい頃はその違いをあまり実感はできなかったが、今なら十分にそれを知ることが出来る。今の私は本当の意味で『最強』だ……)
溢れんばかりのチート能力に酔いしれながらも、私はヴァルゴと相対する。
「さぁ、始めよう――」
そう私が言った刹那、私はヴァルゴの懐に瞬時に<テレポート>をし、奴の顔面に百発の打撃をお見舞いした。
「ッ!?」
いきなりの出来事にヴァルゴは言葉を失った。
戦闘開始早々、脳震盪に見舞われ足元をふらつかせるヴァルゴを余所に、私はさらに百発の連撃をヴァルゴの腹に喰らわした。
「ゴブッ!?」
当然のことながら大量の吐血をするヴァルゴに私はこう言い放った。
「これで終わりではないだろう?」
「こ……小癪なぁ!」
流石は<ゴブリンリーダー>といった所か。二百発程度の軽いジャブじゃ倒れないらしい。
未だ健在(実はもうギリギリかもしれないが)のヴァルゴは半ばヤケクソ気味に、自慢の棍棒を私に振り下ろそうとしていた。
私はつい先日やった様に、ヴァルゴの棍棒を華麗に弾き返そうとした。だが、ここである誤算が生じる。
軽く触れば良かったものの、勢い余って力を入れ過ぎてしまい、あろうことか彼の棍棒を弾く拍子に粉砕してしまった。
「ぬぅ!?」
「おっとスマない。手が滑ってしまったようだ」
予想外のトラブルを起こしてしまった私は申し訳ない気持ちになり、一度攻撃の手を止め、一旦彼から離れる。
暫しの間、睨み合う私とヴァルゴ。
そんな時、ヴァルゴが息を荒くしつつ声をかけてきた。
「……貴殿、本当に何者だ? それ程の力を持っていながら何故、今まで力を隠していた。その力があれば、この世界のパワーバランスなど容易に崩せる筈であろう。一体何が目的だ?」
「確かにこの力があれば望むことはなんでも出来るのであろうな。しかし、そんな風に自由気ままに力を使うのは私の流儀に反するのだ」
「流儀……だと?」
「私はこう見えて目立つのが苦手でね。なるべくなら力を使わなくてもいい生活を送りたいと思っているのだ」
「……そう言いつつ、今の貴殿は相当目立つことをしているが?」
「別にずっと力を使わなくていいと思っている訳ではない。ある条件下でなら存分に力を行使することも厭わない」
「その条件とは?」
その言葉に私は二本の指を立てる。
「……一つ、私は常に頑張る者達の味方だ。私が力を貸す対象は、ただ私に助けを求めるのではなく、最大限の努力をし、最大限に前に進もうと邁進する『活きている』者達だ。”ディエルバ王国”の国民は正にそれであったから、今こうして彼らの代わりにお前の相手をしているのだ」
「……もう一つの条件は?」
「……そんな彼らの『活き様』を一方的に否定し、踏みにじろうとする者達が現れた時だ」
「!?」
「私は嫌いなのだよ。どんなに不器用でも、どんなに泥臭くても『活きる』ことを決めた英雄達の邪魔をする輩共がな」
私の怒りに呼応したのか、身体を巡る熱量が上がるのが肌で感じ取れた。
コツコツ、と煮え滾る感情を持って私はヴァルゴに近付く。
「この説明で十分か? <ゴブリンリーダー>ヴァルゴ……」
「うっ」
私に見つめられたヴァルゴは一歩後ろに下がる。
あろうことかそのまま逃げ出そうとするヴァルゴの肩を左手で掴む私。
すると、ヴァルゴは顔を青ざめ、叫び声を上げる。
「貴殿がこれからやろうとしているのは、世界のルールに反していることだ! もしそれを破ったらどうなるかわかっているのか!? 辛うじて存在している”人類族”の立場が完全に消えることと――」
「黙れよ……」
「ッ!?」
「アンタ、さっき言ったよな? そんなつまらんルールなぞ、俺にかかれば簡単に壊せるって。なら、やってやろうじゃねぇか。元々そのつもりだったしな」
俺は、右手を力強く握り締める。
そしてそこに、強大な力を込める。
「まさかこのセリフを高々と宣言できる時が来ようとはな! さぁ、歯を食い縛れよ、小悪党!」
右手に込められた力に熱が籠る。
そしてその右手を大きく後ろに構え、特撮アニメ”超能戦士・サイコマン”における名台詞を放つ。
「『我の拳は漢の拳! 故に全てを砕く正義の鉄拳なり! 喰らえ、……バーン・ザ・ドラゴニル・インフィニットッ!!!!!』」
そして振り上げられる俺の拳。
そこから龍の形に変貌を遂げた拳が噴出し、ヴァルゴを覆い尽くす。
「ぐ……おぉ……!? おおおおおおぉおぉおぉぉぉぉぉぉぉぉお!?」
そのままヴァルゴを喰らった『ドラゴン』が天高く飛翔し、遥か上空で爆発四散をした。
花火の様な儚い散り様の裏で、一つの丸焦げの物体が落ちてきた。
その落下地点の状況を<テレパシー>で確認した俺は、全てが終わったことを確信する。
もう戦う必要はないと感じた俺は、身につけていた銀白のバトルコスチュームを解く。
そして、ゆっくりとした足取りで歩き始めるのであった。
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転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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