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番外編 夏休みのそれぞれ編
若菜と紗里 私のせい 4
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寝室というには本が多い部屋で紗里は崩れ落ちた。
自分の選択に頭が追いつかない。なんとか冷静に振舞っていたが、なぜ自分でもそうしたのかが解らない。
(若菜を招いてしまったわ……‼)
眼鏡を外し、手で顔を覆う。
(実家でも緊張しているのに、どうしてマンションに呼んだのよ! 私の馬鹿‼)
いつもの調子で何気なくを装って家に招いたが、内心焦りまくりの紗里である。麦茶を入れた時だって手が震えてかなり零していたのだ。
(今は夕方よ⁉ 夜まで少ししかないじゃない! どうするの? 勉強は教えるけれどその後は? まさか泊まってもらう? でも着替えが無いわ! どうすれば‼)
百五十七センチメートルの若菜と、百六十六センチメートルの紗里では差があり、紗里の服を若菜が着るとぶかぶかだろう。
それに、自分とは違い体格が運動部らしくしっかりとしている若菜に入るかどうか……。
(こんな時のためになにか用意していなかったかしら……)
過去問のことを忘れ、まだ泊まると決まっていない若菜の着替えを考える紗里である。
麦茶を飲み干した頃、正気に戻った若菜はまたもや震える。今回はどうしたのか。
(緊張……する……)
正気を保った状態での緊張。嫌な汗がじっとり滲んでくる。不安定な身体を持ち上げて、いつも通り部屋の隅で丸くなって部屋を観察する。
実家の紗里の部屋とあまり変わらず、最低限の生活家具と、本が隙間なく詰められた本棚が並ぶ。
落ち着いて見れば、ある程度慣れている紗里の部屋と変わらない。それが一つ、若菜の緊張を取り除く。
そして余裕ができて現在時刻のことが頭に浮かんだ。
(…………………………………………夕方だ)
夕方なのだ。勉強をするのはいいのだが、いつもは昼過ぎに来て夕方に帰るという流れなのだ。本来この時間、若菜は勉強を終えて帰っているのだ。
(え、どうしよう……帰らないと……)
緊張で上手く立ち上がることができない若菜は、床を這うようにして玄関を目指す。
「どうしたの? もしかして気分が悪いの?」
「ひぇっ……紗里ちゃん……」
猫の如く飛び上がった若菜が振り向くと、服を抱えた紗里がいた。
「いやいや、もう夕方だし、いつも通り帰ろうかと……」
いつものように、涼し気な顔をしている紗里が時計を見る。
「ああ、いつもならそうね。でも、今日ぐらいは泊まってくれても大丈夫よ。着替えもあったし」
緊張しているのは自分だけなのか。
「せっかく勉強をする気になっているんでしょう? それに、泊まった方が勉強時間は増えるわよ」
「そうだけど……」
そうなのだが、ただ単に緊張のせいで頷けないでいる若菜。決して紗里と一緒だから緊張しているという訳ではない。
これが旅行だったら喜んで泊まっている。問題なのは、人の住む家だということなのだ。
そんな若菜の気持ちを察したのか、紗里が若菜の額を指で軽く突いて微笑みかける。
「私の家ぐらい慣れておきなさい」
自分の選択に頭が追いつかない。なんとか冷静に振舞っていたが、なぜ自分でもそうしたのかが解らない。
(若菜を招いてしまったわ……‼)
眼鏡を外し、手で顔を覆う。
(実家でも緊張しているのに、どうしてマンションに呼んだのよ! 私の馬鹿‼)
いつもの調子で何気なくを装って家に招いたが、内心焦りまくりの紗里である。麦茶を入れた時だって手が震えてかなり零していたのだ。
(今は夕方よ⁉ 夜まで少ししかないじゃない! どうするの? 勉強は教えるけれどその後は? まさか泊まってもらう? でも着替えが無いわ! どうすれば‼)
百五十七センチメートルの若菜と、百六十六センチメートルの紗里では差があり、紗里の服を若菜が着るとぶかぶかだろう。
それに、自分とは違い体格が運動部らしくしっかりとしている若菜に入るかどうか……。
(こんな時のためになにか用意していなかったかしら……)
過去問のことを忘れ、まだ泊まると決まっていない若菜の着替えを考える紗里である。
麦茶を飲み干した頃、正気に戻った若菜はまたもや震える。今回はどうしたのか。
(緊張……する……)
正気を保った状態での緊張。嫌な汗がじっとり滲んでくる。不安定な身体を持ち上げて、いつも通り部屋の隅で丸くなって部屋を観察する。
実家の紗里の部屋とあまり変わらず、最低限の生活家具と、本が隙間なく詰められた本棚が並ぶ。
落ち着いて見れば、ある程度慣れている紗里の部屋と変わらない。それが一つ、若菜の緊張を取り除く。
そして余裕ができて現在時刻のことが頭に浮かんだ。
(…………………………………………夕方だ)
夕方なのだ。勉強をするのはいいのだが、いつもは昼過ぎに来て夕方に帰るという流れなのだ。本来この時間、若菜は勉強を終えて帰っているのだ。
(え、どうしよう……帰らないと……)
緊張で上手く立ち上がることができない若菜は、床を這うようにして玄関を目指す。
「どうしたの? もしかして気分が悪いの?」
「ひぇっ……紗里ちゃん……」
猫の如く飛び上がった若菜が振り向くと、服を抱えた紗里がいた。
「いやいや、もう夕方だし、いつも通り帰ろうかと……」
いつものように、涼し気な顔をしている紗里が時計を見る。
「ああ、いつもならそうね。でも、今日ぐらいは泊まってくれても大丈夫よ。着替えもあったし」
緊張しているのは自分だけなのか。
「せっかく勉強をする気になっているんでしょう? それに、泊まった方が勉強時間は増えるわよ」
「そうだけど……」
そうなのだが、ただ単に緊張のせいで頷けないでいる若菜。決して紗里と一緒だから緊張しているという訳ではない。
これが旅行だったら喜んで泊まっている。問題なのは、人の住む家だということなのだ。
そんな若菜の気持ちを察したのか、紗里が若菜の額を指で軽く突いて微笑みかける。
「私の家ぐらい慣れておきなさい」
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