455 / 520
夏休みのお出かけ編 3
ベッドの上にて 8
しおりを挟む
その日の夜、早々にベッドに飛び込んだ涼香に涼音が聞く。
「なにかあったんですか?」
涼音が帰って来た時から少し様子が違った。勉強でよっぽど疲れているからだと思ったのだが、なにやら違う気がするのだ。
「……お母さんとね、進路のことを話していたのよ」
仰向けになった涼香がそう言った。
「決めたんですか?」
「ええ、若菜の目指していてる学校へ行くわ」
「よかったです」
これで一安心だ。涼音も寝ようと、ベッドに入ろうとする。
「理由、聞きたい?」
「空けてください」
「聞きたいと言いなさい‼」
「邪魔ですね」
どうして進路をそこに決めたのか、その理由を聞いてほしい涼香は頑なに動こうとしない。
「じゃあ帰りますね」
「反抗期⁉」
「ああもう! なんでですか‼」
よくぞ聞いてくれたわね、と起き上がる涼香。涼音の入るスペースを空けてベッドに座らせる。
涼香の隣に座った涼音は、心底面倒そうな目を向ける。
「あんなに引っ張ったのに大した理由じゃないのは分かってるんですよ」
「私にとっては一番大切な理由なのよ」
進路の話になると、いつもと雰囲気が変わってしまっていた。この前なんて、涼音に怒鳴ってしまったのだ。涼音達は大したことないと言っているが、涼香にとっては本当に大切なことだったのだ。
「私だけの進路では無かったのよ。私としたことが、失念していたわ……‼」
拳を握りしめる涼香。
「あたしはあの大学に進学する予定でしたからね」
「どうして言うのよ!」
「いや、言おうと思ってたんですけどね。先輩がその先は言わせない――って言ったせいですね」
それを聞いて、髪を払う涼香であった。
「なにかあったんですか?」
涼音が帰って来た時から少し様子が違った。勉強でよっぽど疲れているからだと思ったのだが、なにやら違う気がするのだ。
「……お母さんとね、進路のことを話していたのよ」
仰向けになった涼香がそう言った。
「決めたんですか?」
「ええ、若菜の目指していてる学校へ行くわ」
「よかったです」
これで一安心だ。涼音も寝ようと、ベッドに入ろうとする。
「理由、聞きたい?」
「空けてください」
「聞きたいと言いなさい‼」
「邪魔ですね」
どうして進路をそこに決めたのか、その理由を聞いてほしい涼香は頑なに動こうとしない。
「じゃあ帰りますね」
「反抗期⁉」
「ああもう! なんでですか‼」
よくぞ聞いてくれたわね、と起き上がる涼香。涼音の入るスペースを空けてベッドに座らせる。
涼香の隣に座った涼音は、心底面倒そうな目を向ける。
「あんなに引っ張ったのに大した理由じゃないのは分かってるんですよ」
「私にとっては一番大切な理由なのよ」
進路の話になると、いつもと雰囲気が変わってしまっていた。この前なんて、涼音に怒鳴ってしまったのだ。涼音達は大したことないと言っているが、涼香にとっては本当に大切なことだったのだ。
「私だけの進路では無かったのよ。私としたことが、失念していたわ……‼」
拳を握りしめる涼香。
「あたしはあの大学に進学する予定でしたからね」
「どうして言うのよ!」
「いや、言おうと思ってたんですけどね。先輩がその先は言わせない――って言ったせいですね」
それを聞いて、髪を払う涼香であった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
感情とおっぱいは大きい方が好みです ~爆乳のあの娘に特大の愛を~
楠富 つかさ
青春
落語研究会に所属する私、武藤和珠音は寮のルームメイトに片想い中。ルームメイトはおっぱいが大きい。優しくてボディタッチにも寛容……だからこそ分からなくなる。付き合っていない私たちは、どこまで触れ合っていんだろう、と。私は思っているよ、一線超えたいって。まだ君は気づいていないみたいだけど。
世界観共有日常系百合小説、星花女子プロジェクト11弾スタート!
※表紙はAIイラストです。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる