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7月

休み時間の三年生の教室にて 9

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 ある日のこと。

「昨日涼音すずねと一緒にお風呂に――」
「ああああああああああああ‼」

 菜々美ななみの絶叫が轟いた。

 そんなことはどうでもいい。


 ある日のこと。

 涼香りょうかは隣の席のここねに、いつもの如く涼音の話をしていた。

 ちなみに爆発した菜々美は、ここねを抱きしめながら白目をむいていた。

「お風呂に入った時にね、私の背中を流そうとしたのよ」

 序盤も序盤。語り始めで菜々美はアウトだった。

 菜々美は白目をむいているが、ここねをしっかりと抱きしめている。意識が無くても、ここね頭を撫でようと手を伸ばすと、鞭のように腕をしならせてその手を叩き落としにくるだろう。

「ぎゃあぁぁぁ! 手がああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 というか実際、クラスメイトの一人がここねの頭を撫でようとして手をやられていた。

「涼香ちゃん脇腹弱いもんねえ」

 割とよくある光景のため、ここねは特に被害者を気にしていなかった。

「そうなのよ。だから嫌だと言ったの。そうしたらなんと答えたと思う?」
「先輩の意地悪! かなあ?」
「涼音は浴槽内でくすぐると言ってきたのよ」
「ええ⁉ それで涼香ちゃんはどうしたの?」
「背中を流してもらったわよ」
「やっぱりその選択肢になるよね」
「でもその後の涼音は珍しく甘えてきて可愛かったのよ!」

 ちなみにこの間もここねの頭を撫でようと数人の生徒が手を伸ばしたが、その悉くが菜々美に阻止されていた。そのため、周囲には手を押さえて蹲る生徒達の姿があった。

 これもまた、割とよくある光景である。
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