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5月 体育祭編

体育祭にて 2

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 再びグラウンドに戻ってきた涼香りょうか涼音すずね

「どうして戻らないのよ」

 三年生と二年生の待機場所は離れているのだが、なぜか涼音は二年生の待機場所に戻らず、三年生の待機場所にやってきていた。

「いや、だって目立ちますもん」
「涼音は可愛いからどこにいても目立つと思うわよ」
「そういう意味じゃないんですけど……」
「照れなくてもいいのよ」
「はいはい。次の競技はなんなんですかねー」

 顔を覗き込んでくる涼香を鬱陶しそうに手で払いながら、涼音はプログラム表を確認する。

 今現在やっている百メートル走も終盤に差し掛かり、そろそろ次の競技の出場者は入場門付近に集まらなければならない。

「二人三脚ですね。先輩、そろそろ行ったほうがいいんじゃないんですか?」
「そうね、二人三脚で向いましょうか」
「誰と行くんですか?」
「もちろん涼音よ」
「だと思いました。嫌です、一人で行ってください」
「もう、意地悪ね」

 肩をすくめた涼香は入場門へと向かうのだった。
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