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6月

涼香の部屋にて 8

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 ある日のこと。

「最近調子が悪いわ」

 涼音すずねに膝枕をされた涼香りょうかが呟く。

「どうしたんですか?」

 涼香の前髪をサラサラと手から零れさせながら涼音が聞き返す。

「やる気が出ないの」
「いつも通りじゃないですか?」
「即答しないでよ……」

 消えりそうな声で答える涼香。確かに調子が悪そうだった。

「疲れているんですかね?」

 涼香のことだから風邪とかでは無いだろう。

「だと思うわ」

 涼香が目を閉じる。今にも眠ってしまいそうな様子だ。

「……先輩」
「どうしたの?」
「あしが……、いたくなってきました……」
「……」

 涼香が涼音の脚から転がり落ちた。

「痛いっ」

 ローテーブルの足に頭をぶつけた涼香がぶつけた個所を擦っている。涼音はその隣で寝転びながら足の痺れに耐えていた。

 二人は並んで天井を見上げる。明るいLEDの光に目を細めながら、なにをするでもなく、ただ無気力に同じ時を過ごす。

「あたしもだるくなってきました」

 足の痺れから解放された涼音が力なく呟く。涼香の調子が涼音までうつってしまったようだ。

「涼音、腕枕をしてあげるわ」

 そんな涼音に腕を差し出す涼香。ありがたく腕枕をしてもらうことにする。

 ――そして数分後。

「涼音……、うでがいたいわ……」
「……」

 涼音が涼香の腕から転がり落ちる。丁度涼香の脇腹に転がった。

「ふふっ……くすぐったいわね」

 その後も二人は、無気力に時間を過ごすのだった。
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