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第二章 帝都のある日
8 友達の逆鱗(下)
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「えーっと……」
アスランは呆然として、変わり果てたリュウの姿を見た。
それは、ドラゴンの鱗と尻尾、角を持つ人間であった。身長は2m以上。体重はどれぐらいかわからないが、全身に生えた青い鱗の強度を考えれば、相当な重量と思われる。
顔だけは凜々しく美しいままで、リュウは深い湖のような蒼の瞳を、アスランの方に向けた。身長差があるのだから、自然と見下ろす形になる。
「べたな事を言ってもいいか?」
「なんだ?」
「よくも雪鈴シュエリンをいじめてくれたな」
そんなシンプルな会話で、アスランは事情を悟った。アスランは、雪鈴シュエリンをむげに扱った事で、リュウの地雷を踏んでしまったらしい。否、これは、”リュウの逆鱗に触れた”と言ったところか。
一口に、青龍人ドラコと言っても色々ある。
彼らの寿命は、通常、200~500年。中には700年を越えて生き続ける青龍人ドラコもいる。
そして、彼らの特徴は、年を取れば取るほど、魔力が高まり、様々な奇跡を行い、人間離れした存在になるということだ。
彼らは、元々、カイ・ラーの海に沈没した大陸”ミヌー”で生まれた進化人類の末と言われている。
究極の生命体にも例えられるドラゴンの遺伝子が混じっていると言う流伝もある。
実際に、修行を重ね、高位の魔法を使いこなせるようになった青龍人ドラコは、ドラゴンと人間の掛け合わせのような容姿に変身する。現在のリュウのように。
何故そんなことが起こるのかは、他の人種であるアスランは知らない。だが、この竜人ともいえる変身なら、まだいい方で、実際には--本当に、修行を積んで魔法を自由自在に操れるようになった青龍人ドラコは、本当のドラゴンに変身すると言われていた。恐竜よりも恐ろしく、威厳に満ちた姿を持ち、森羅万象全ての魔法を操り、並外れた怪力を誇るドラゴン。
それそのものに変身し、自由気ままに振る舞うのだという。
アスランは一瞬、芝生に倒れて動かない雪鈴シュエリンの方を見た。リュウが、雪鈴シュエリンの事を親戚の娘だと言っていたのは、どういう意味だろうか。アスランは、青龍人ドラコが仔竜を親戚の娘と言うのはてっきりそれらしい冗談だと思っていたが、考えてみれば、リュウは、嘘や冗談を言うような性格ではない。
もしかして本当に--血のつながった、親戚の娘さんなんだろうか。それを、アスランは、雷電入れた刃で斬り捨ててしまったのか。
アスランの知っているリュウは、そもそも、テラ大陸ではなく、シャン大陸にある高山地帯の秘境の村の出身である。
彼自身はおよそ100年前にその秘境に生まれ、世間から閉ざされている故に極貧の村で一生を終える事が多い、家族や親族を支えるために、世界中を飛び回って冒険し、冒険譚とともに少なからぬ金子を仕送りしていた。神聖バハムート帝国の魔大戦には通りすがりで参加したようなもので、実際に、バハムート帝国は、魔族の侵略に対抗するには背に腹はかえられず、冒険者の事を高額で雇ってくれたのである。
魔大戦は何しろ、人間の常識が通用しなかった。
魔族は人間じゃないんだから当たり前なのだが。
魔族にとっては、人間は美味な食糧であり、人間に知性があるとか文化があるとか言われたところで、異なる生態系と文明を持つ人間達が世界中にはびこるのも鬱陶しいし都合が悪い。効率よく食糧にするために、魔族同士が示し合わせて攻撃を仕掛けてきたのが魔大戦である。
真の意味で”食うか食われるか”、その非常識な大混戦の中では、生まれがどうとか育ちがどうとか言っていられず、実力だけが生き残る術であった。
実力重視の戦いの中でめきめきと頭角を現したのがリュウや甲キノエ、志ユキ達であり、アスランは貴族の中では珍しいタイプで彼らとも平気で一緒に数々の作戦をこなしたのである。
こんな意味のない戦争を褒める訳にもいかないが、こういう非常時には身分差など何の意味もなさない。神聖バハムート帝国は、実力と結果重視で作戦の出来を評価したため、リュウはSSSランク冒険者として、帝城に出入り出来るほどの評価を得た。
そういうわけで、魔大戦で巡り会ったリュウとアスランは、身分や種族を越えて、数々の作戦をともに戦い、実によい友人であったし、対等のライバルであった。
だから、アスランが遠慮なく、”親戚の娘さん”を斬りつければ、リュウの方だって遠慮なく、竜人変身までして怒ってくれるわけである。
「いじめた訳じゃない。これは勝負だ!」
とにかく、アスランは、当たり前の事を答えた。
リュウは無表情であった。無表情のまま、スピアを構え直すと、アスランの方に、その鱗まみれの腕をふるって突きかかった。
一発だった。
一発で、リュウの突きのあまりのパワーとスピードに耐えきれず、金属製のスピアが真っ二つに折れて吹っ飛んだ。
そこから先の事は、アスランはあまり思い出したくない。
とにかく、大戦中でもあり得なかった苦戦だったと思う。
リュウは、スピアの折れた柄を放り出したかと思うと、その巨躯から剛腕をふるい、アスランに殴りかかってきたのだ。
殴られなければ蹴られる。
蹴られなければ殴られる。
その巨躯を生かした長いリーチと、パワーは、全くもって理不尽なほど凄まじかった。しかも、先ほどよりもよほどスピードがあって正確性が高い。
恐らく、アスランとて、魔力の盾がなければ瞬殺されていたことだろう。
それほどに変身したリュウは強く、たちまちアスランを追い詰めた。
アスランは魔力の盾を巧みに操って、何とかリュウの攻撃をしのぐのだが、だんだん演習場のコートの隅、魔力障壁の方へと押し切られて行った。
魔力障壁を背中にしてしまえば、もう逃げられる場所などなくなる。
そうなったら、もうひたすら、リュウの殴る蹴るの連続攻撃で盾が削りきられ、なすがままのタコ殴りになってしまうだろう。
「くっ……」
思わずアスランはうめき声を漏らした。
彼は今、演習場の魔力障壁に対して、わずか1メートルの距離を取って背中にする格好だった。一発でもリュウの拳が当たれば、魔力障壁に激突し、そのまま煮るなり焼くなり好きにされてしまうだろう。
「アスラン、雪鈴シュエリンの痛み、味わってもらうぞ」
リュウは、両手の指を組み合わせて、幅広の拳を作り、高々と振り上げた。長身の彼から両手の拳で頭を直撃されれば、アスランの盾は今度こそ削り取られ、彼自身が壁まで吹っ飛んでしまうかもしれない。
アスランはバックラーを構えたまま無言だった。これ以上、盾に魔力を注ぎ込む事は出来ない。彼の魔力だって限界があるのだ。
「反省しろ!」
リュウは、アスランに自らの組み合わせた拳を打ち下ろした。
その刹那、アスランの頭上に、ミトラの十字が飛んだ。
アスランが、ミトラの加護を呼んだのだ。無言のまま、心の中で強く。
光り輝く黄金の十字が、アスランの頭上に閃いたのは一瞬の出来事。
だが、リュウをひるませ、行動をためらわせるには十分だった。
リュウの動きが止まる。
そのとき、アスランは、ブロードソードに光の魔力を通した。ミトラ十二神の主神ミトラ。太陽神の輝きのほんのごく一部を、自らの刃に注入する。
剣の刃は、白熱の輝きをまとい、リュウへと大きく鮮やかな弧を描いた。
それは、円形の斬撃。
まずはリュウの胸を中心に、円く斬りつけられる。
さらにそこに、まずは平行の一撃が横に入る。
続いて、リュウの脳天から腰にかけての垂直の一撃。
黄金の光の波の魔力を放ちながら、アスランは、リュウへと光の加護を受けた反撃を行った。
その光と熱の刃を受け、リュウは、防御を取ることすら出来ず棒立ちになる。そのまま、アスランがさらに抜き身の刃を袈裟懸けに入れると、その場に膝を突いて倒れた。
勝利したのは、アスランだった。
20分後。
アスランとリュウ、それに雪鈴は、冒険者ギルドのシャワールームにいた。
板でさえぎっただけの個室の頭上にシャワーヘッドがあるタイプで、清潔ではあるがプライバシーにはあまり配慮されていない。
隣で、リュウが雪鈴の汚れた体を洗いながら叱る声がよく響く。雪鈴は傷にしみるのか、ピイピイとよく鳴くが、だからこそ丁寧に傷口を消毒したいのだろう。リュウは苦労している様子だ。
アスランはアスランで、手傷こそ負っていないが、疲労が大きい上に汗だくだったため、思い切り熱いお湯と思い切り冷たい水を、2~3回繰り返して浴び、石けんで体をよく洗ってからシャワールームを出た。
脱衣所で着替えていると、体にバスタオルを巻き、甘える雪鈴を両腕に抱いたリュウが出てきた。
「喉が渇いているだろう。何かおごってやろう」
アスランは、脱衣所の脇にある、絞りたてのフルーツジュースが並んでいるケースを見ながらリュウに言った。
「ピ!」
ところが、雪鈴の方が、アスランを見てそんなふうに文句を言った。ピ! では何のことかわからないが、どうやら勝負内容について異議申し立てをしたいらしい。
「すまんな、勝負とあっては、俺も簡単に譲るわけにはいかないんだ」
アスランは雪鈴シュエリンの鼻先をくすぐりながらそう言った。
「かわりに、好きな果物を買ってやろう。何がいい。それともジュースがいいか?」
冒険者ギルドの脱衣所の脇は、地元の出店になっている。冒険者達が持ち寄ったものもあるが、近隣の農家が直接、果物や野菜を持ってきて、肉食に偏りがちな冒険者達に売っていくのだ。最初は余った野菜の無人販売が多かったそうだが、やはりバイタルには気を配る冒険者達には人気を博したのだ。
いつの間にやらそこに農家の若者や主婦のバイトが立ち並ぶようになり、果物を搾って果汁100%と称するジュースを販売したり、その日とれたモンスターの肉を焼いて売ったりと、なかなか品揃えも豊富になっている。
冒険者ギルドが、朝からひっきりなしに人通りが絶えないのはそういう理由があるらしい。
「ピ? ……ピィ~、キュルルッ」
人語をある程度理解出来るらしく、雪鈴は、アスランをあっさり許したようだった。
「雪鈴、そういうことはよしなさい。俺が買ってやるから、アスランにねだるんじゃない」
リュウは優しく相棒に言い聞かせた。
「気持ちはありがたいが、アスラン。そこまで気を遣うことはないぞ。雪鈴がわがままになってしまう」
「そうか?」
アスランもそこはあっさりしたものだった。
出店に行くと、リュウは腹を空かせている雪鈴に、リンゴとミカンを一個ずつ買ってやり、手ずから口に持って行って食べさせてやった。
アスランの方は、メロンジュースを選んで、バイトから購入した。
二人は出店の前のベンチに並んで座り、一息ついた。シャクシャクと雪鈴が果物を食べる音だけが聞こえる、リラックスした時間。
午前中の冒険者ギルドは、受付所が最大の混み合いである。皆、競って自分に合ったいい仕事を取りに来るのだ。あるいは、先日の仕事の報告。
体を鍛えに来る者は大体午後か夕方が多い。
早朝から演習場を利用したのはこの日はアスラン達だけで、出店にも、バイトが一人で品物の数を数え直しているだけで、他に人影は見えなかった。また、そうした時間帯だから、英雄である彼らがのんびりする事が出来るとも言える。
「ありがとうな、リュウ。体がなまってしかたなかったんだが、おかげで、カンを取り戻せたようだ」
「そう言ってくれると俺も嬉しい」
リュウは、後には引いていないようだった。果物を食べ終えた雪鈴シュエリンが、彼の細長い指を甘噛みするのに任せて、くつろいでいる様子である。
「今回はいきなり俺の方にターゲットが来たが、お前達の方には何もないだろうな」
不意に、声をひそめて、アスランはリュウにそう尋ねた。
リュウは、出店のバイトの方を振り返った。バイトはちょうど、倉庫の方に品物を取りに向かったところだった。
誰もいない。
「俺たちはなんともない。志ユキは昨日から、新しい任務について昼間はシュルナウを離れているが、変わった事があったら俺か甲キノエに言うはずだ。甲キノエの方は、王宮でお姫様達の警護の方に気を尖らせている。向こうは、何があっても国の中枢が守ってくれるだろうが、やはり気になるようだな」
リュウは、仲間達の様子を簡潔に教えてくれた。
「なるほど。今は出方をうかがうしかないか……」
アスランは、軽く拳を握りしめながら言った。
「貴族のルートを使えば、簡単に陰謀など暴けるものだと思っていたが」
庶民出身のリュウは、雪鈴をあやしながら不思議そうに言った。
「そんなうまい話はない」
アスランは肩をすくめた。
「貴族ユンカーで警備が固い事を想像されやすい、俺を、祝宴で狙うような輩だぞ。どんな奴だと思う?」
「……すると?」
青い目の目立つストイックな顔に緊張を走らせ、リュウはそこから先の言葉を控えた。大体見当がついたらしい。
「だろうな」
アスランはリュウが何も言わなくても肯定した。
相手は、おそらく貴族だ。
当然ながら、貴族同士の根回し運動を後から開始しても、すぐには尻尾を出さないだろう。
「……」
アスランが、どういう立場なのか色々と想像を巡らして、リュウは沈黙した。
「俺の事なら大丈夫だ、心配するな」
「だが、お前は、警備が固いと言っても、親元から離れて久しいだろう。ジグマリンゲン侯爵領は、随分と北だ」
「親父や兄貴にはもう知らせてある。向こうからも色々運動してくれるはずだ、そう気にするな」
アスランはジグマリンゲン侯爵の次男で、事情があってシュルナウに出てきているのだ。親の監視がない立場であるため、魔大戦中は気ままな冒険者と協力する事が多かった。貴族の中では変わり種といえば変わり種である。
「ああ」
本人がそう判断するならそうなのだろうと、リュウはうなずいた。
それから、顎に手を当てながらアスランの方を振り返った。
「アスラン、そういえば、エリザベート嬢はどうしている?」
「エリザベート?」
アスランは首をかしげた。
エリザベートと言う名の若い娘は、アスランの知っているだけでも、5人はいる。バハムート帝国では最もベタな名前の一つだし、彼はよく女にモテるからだ。
「鯉料理を水槽に放り込んだエリザベート嬢だ」
リュウは半ばあきれてそう言った。
「ああ、エリーゼのことか。それなら、昨日、会ってきた。まあまあ元気そうだったが……」
「彼女の警備の方は大丈夫なのか?」
「……!」
アスランの暗殺計画を、偶然とは言え、阻止したのはエリーゼである。彼女も侯爵令嬢なので、厳重な警備は固められているはずだ。
昨日、彼女の自宅を訪問した際も、同じ侯爵家としてそれほどおかしい点は見当たらなかったし、奥の部屋でひっそりとピアノを弾いていたエリーゼの様子からいっても、まず出しゃばりのおてんばということはないだろう。
……そう、思うのだが。
「心配と言えば、心配だな」
アスランはそう言った。
色素の薄い少女の、いかにも深窓の令嬢然とした様子には、文句はない。恐らく養父母の言いつけを守って、警備を固めた部屋から出るなと言われたら出ないだろう。そう思いたい。アンハルト侯爵夫妻だって馬鹿ではない、自分の家も賊のターゲットを取ったことぐらいわかっているだろうから、十分に手は打っているはずだ。
だが。そう、思うのだが。
普通の深窓の令嬢は、新年の祝宴に、廊下から会場まで靴も履かずにダッシュで走って、騎士からグラスや皿を奪い取って、水槽の中に放り込まない。
全然、お転婆やじゃじゃ馬には見えないし、実際にそういうタイプではないのだろうが、あの行動力はなんなのか。
「大人しそうな娘に限って、思い込みで意外な行動をすることがあるが、そういうことをするお嬢様なのかもしれないな」
リュウはアスランの表情を読みながらそう言った。
「……。ちょっと、行ってみてくるか」
日頃から冷静で、仲間内の知恵袋的な存在のリュウに、そう言われると、アスランもむしょうにエリーゼの事が気になり始めた。
そういうわけで、彼の方が突発的に、この日もアンハルト侯爵家を訪れようと思った訳である。
アスランは呆然として、変わり果てたリュウの姿を見た。
それは、ドラゴンの鱗と尻尾、角を持つ人間であった。身長は2m以上。体重はどれぐらいかわからないが、全身に生えた青い鱗の強度を考えれば、相当な重量と思われる。
顔だけは凜々しく美しいままで、リュウは深い湖のような蒼の瞳を、アスランの方に向けた。身長差があるのだから、自然と見下ろす形になる。
「べたな事を言ってもいいか?」
「なんだ?」
「よくも雪鈴シュエリンをいじめてくれたな」
そんなシンプルな会話で、アスランは事情を悟った。アスランは、雪鈴シュエリンをむげに扱った事で、リュウの地雷を踏んでしまったらしい。否、これは、”リュウの逆鱗に触れた”と言ったところか。
一口に、青龍人ドラコと言っても色々ある。
彼らの寿命は、通常、200~500年。中には700年を越えて生き続ける青龍人ドラコもいる。
そして、彼らの特徴は、年を取れば取るほど、魔力が高まり、様々な奇跡を行い、人間離れした存在になるということだ。
彼らは、元々、カイ・ラーの海に沈没した大陸”ミヌー”で生まれた進化人類の末と言われている。
究極の生命体にも例えられるドラゴンの遺伝子が混じっていると言う流伝もある。
実際に、修行を重ね、高位の魔法を使いこなせるようになった青龍人ドラコは、ドラゴンと人間の掛け合わせのような容姿に変身する。現在のリュウのように。
何故そんなことが起こるのかは、他の人種であるアスランは知らない。だが、この竜人ともいえる変身なら、まだいい方で、実際には--本当に、修行を積んで魔法を自由自在に操れるようになった青龍人ドラコは、本当のドラゴンに変身すると言われていた。恐竜よりも恐ろしく、威厳に満ちた姿を持ち、森羅万象全ての魔法を操り、並外れた怪力を誇るドラゴン。
それそのものに変身し、自由気ままに振る舞うのだという。
アスランは一瞬、芝生に倒れて動かない雪鈴シュエリンの方を見た。リュウが、雪鈴シュエリンの事を親戚の娘だと言っていたのは、どういう意味だろうか。アスランは、青龍人ドラコが仔竜を親戚の娘と言うのはてっきりそれらしい冗談だと思っていたが、考えてみれば、リュウは、嘘や冗談を言うような性格ではない。
もしかして本当に--血のつながった、親戚の娘さんなんだろうか。それを、アスランは、雷電入れた刃で斬り捨ててしまったのか。
アスランの知っているリュウは、そもそも、テラ大陸ではなく、シャン大陸にある高山地帯の秘境の村の出身である。
彼自身はおよそ100年前にその秘境に生まれ、世間から閉ざされている故に極貧の村で一生を終える事が多い、家族や親族を支えるために、世界中を飛び回って冒険し、冒険譚とともに少なからぬ金子を仕送りしていた。神聖バハムート帝国の魔大戦には通りすがりで参加したようなもので、実際に、バハムート帝国は、魔族の侵略に対抗するには背に腹はかえられず、冒険者の事を高額で雇ってくれたのである。
魔大戦は何しろ、人間の常識が通用しなかった。
魔族は人間じゃないんだから当たり前なのだが。
魔族にとっては、人間は美味な食糧であり、人間に知性があるとか文化があるとか言われたところで、異なる生態系と文明を持つ人間達が世界中にはびこるのも鬱陶しいし都合が悪い。効率よく食糧にするために、魔族同士が示し合わせて攻撃を仕掛けてきたのが魔大戦である。
真の意味で”食うか食われるか”、その非常識な大混戦の中では、生まれがどうとか育ちがどうとか言っていられず、実力だけが生き残る術であった。
実力重視の戦いの中でめきめきと頭角を現したのがリュウや甲キノエ、志ユキ達であり、アスランは貴族の中では珍しいタイプで彼らとも平気で一緒に数々の作戦をこなしたのである。
こんな意味のない戦争を褒める訳にもいかないが、こういう非常時には身分差など何の意味もなさない。神聖バハムート帝国は、実力と結果重視で作戦の出来を評価したため、リュウはSSSランク冒険者として、帝城に出入り出来るほどの評価を得た。
そういうわけで、魔大戦で巡り会ったリュウとアスランは、身分や種族を越えて、数々の作戦をともに戦い、実によい友人であったし、対等のライバルであった。
だから、アスランが遠慮なく、”親戚の娘さん”を斬りつければ、リュウの方だって遠慮なく、竜人変身までして怒ってくれるわけである。
「いじめた訳じゃない。これは勝負だ!」
とにかく、アスランは、当たり前の事を答えた。
リュウは無表情であった。無表情のまま、スピアを構え直すと、アスランの方に、その鱗まみれの腕をふるって突きかかった。
一発だった。
一発で、リュウの突きのあまりのパワーとスピードに耐えきれず、金属製のスピアが真っ二つに折れて吹っ飛んだ。
そこから先の事は、アスランはあまり思い出したくない。
とにかく、大戦中でもあり得なかった苦戦だったと思う。
リュウは、スピアの折れた柄を放り出したかと思うと、その巨躯から剛腕をふるい、アスランに殴りかかってきたのだ。
殴られなければ蹴られる。
蹴られなければ殴られる。
その巨躯を生かした長いリーチと、パワーは、全くもって理不尽なほど凄まじかった。しかも、先ほどよりもよほどスピードがあって正確性が高い。
恐らく、アスランとて、魔力の盾がなければ瞬殺されていたことだろう。
それほどに変身したリュウは強く、たちまちアスランを追い詰めた。
アスランは魔力の盾を巧みに操って、何とかリュウの攻撃をしのぐのだが、だんだん演習場のコートの隅、魔力障壁の方へと押し切られて行った。
魔力障壁を背中にしてしまえば、もう逃げられる場所などなくなる。
そうなったら、もうひたすら、リュウの殴る蹴るの連続攻撃で盾が削りきられ、なすがままのタコ殴りになってしまうだろう。
「くっ……」
思わずアスランはうめき声を漏らした。
彼は今、演習場の魔力障壁に対して、わずか1メートルの距離を取って背中にする格好だった。一発でもリュウの拳が当たれば、魔力障壁に激突し、そのまま煮るなり焼くなり好きにされてしまうだろう。
「アスラン、雪鈴シュエリンの痛み、味わってもらうぞ」
リュウは、両手の指を組み合わせて、幅広の拳を作り、高々と振り上げた。長身の彼から両手の拳で頭を直撃されれば、アスランの盾は今度こそ削り取られ、彼自身が壁まで吹っ飛んでしまうかもしれない。
アスランはバックラーを構えたまま無言だった。これ以上、盾に魔力を注ぎ込む事は出来ない。彼の魔力だって限界があるのだ。
「反省しろ!」
リュウは、アスランに自らの組み合わせた拳を打ち下ろした。
その刹那、アスランの頭上に、ミトラの十字が飛んだ。
アスランが、ミトラの加護を呼んだのだ。無言のまま、心の中で強く。
光り輝く黄金の十字が、アスランの頭上に閃いたのは一瞬の出来事。
だが、リュウをひるませ、行動をためらわせるには十分だった。
リュウの動きが止まる。
そのとき、アスランは、ブロードソードに光の魔力を通した。ミトラ十二神の主神ミトラ。太陽神の輝きのほんのごく一部を、自らの刃に注入する。
剣の刃は、白熱の輝きをまとい、リュウへと大きく鮮やかな弧を描いた。
それは、円形の斬撃。
まずはリュウの胸を中心に、円く斬りつけられる。
さらにそこに、まずは平行の一撃が横に入る。
続いて、リュウの脳天から腰にかけての垂直の一撃。
黄金の光の波の魔力を放ちながら、アスランは、リュウへと光の加護を受けた反撃を行った。
その光と熱の刃を受け、リュウは、防御を取ることすら出来ず棒立ちになる。そのまま、アスランがさらに抜き身の刃を袈裟懸けに入れると、その場に膝を突いて倒れた。
勝利したのは、アスランだった。
20分後。
アスランとリュウ、それに雪鈴は、冒険者ギルドのシャワールームにいた。
板でさえぎっただけの個室の頭上にシャワーヘッドがあるタイプで、清潔ではあるがプライバシーにはあまり配慮されていない。
隣で、リュウが雪鈴の汚れた体を洗いながら叱る声がよく響く。雪鈴は傷にしみるのか、ピイピイとよく鳴くが、だからこそ丁寧に傷口を消毒したいのだろう。リュウは苦労している様子だ。
アスランはアスランで、手傷こそ負っていないが、疲労が大きい上に汗だくだったため、思い切り熱いお湯と思い切り冷たい水を、2~3回繰り返して浴び、石けんで体をよく洗ってからシャワールームを出た。
脱衣所で着替えていると、体にバスタオルを巻き、甘える雪鈴を両腕に抱いたリュウが出てきた。
「喉が渇いているだろう。何かおごってやろう」
アスランは、脱衣所の脇にある、絞りたてのフルーツジュースが並んでいるケースを見ながらリュウに言った。
「ピ!」
ところが、雪鈴の方が、アスランを見てそんなふうに文句を言った。ピ! では何のことかわからないが、どうやら勝負内容について異議申し立てをしたいらしい。
「すまんな、勝負とあっては、俺も簡単に譲るわけにはいかないんだ」
アスランは雪鈴シュエリンの鼻先をくすぐりながらそう言った。
「かわりに、好きな果物を買ってやろう。何がいい。それともジュースがいいか?」
冒険者ギルドの脱衣所の脇は、地元の出店になっている。冒険者達が持ち寄ったものもあるが、近隣の農家が直接、果物や野菜を持ってきて、肉食に偏りがちな冒険者達に売っていくのだ。最初は余った野菜の無人販売が多かったそうだが、やはりバイタルには気を配る冒険者達には人気を博したのだ。
いつの間にやらそこに農家の若者や主婦のバイトが立ち並ぶようになり、果物を搾って果汁100%と称するジュースを販売したり、その日とれたモンスターの肉を焼いて売ったりと、なかなか品揃えも豊富になっている。
冒険者ギルドが、朝からひっきりなしに人通りが絶えないのはそういう理由があるらしい。
「ピ? ……ピィ~、キュルルッ」
人語をある程度理解出来るらしく、雪鈴は、アスランをあっさり許したようだった。
「雪鈴、そういうことはよしなさい。俺が買ってやるから、アスランにねだるんじゃない」
リュウは優しく相棒に言い聞かせた。
「気持ちはありがたいが、アスラン。そこまで気を遣うことはないぞ。雪鈴がわがままになってしまう」
「そうか?」
アスランもそこはあっさりしたものだった。
出店に行くと、リュウは腹を空かせている雪鈴に、リンゴとミカンを一個ずつ買ってやり、手ずから口に持って行って食べさせてやった。
アスランの方は、メロンジュースを選んで、バイトから購入した。
二人は出店の前のベンチに並んで座り、一息ついた。シャクシャクと雪鈴が果物を食べる音だけが聞こえる、リラックスした時間。
午前中の冒険者ギルドは、受付所が最大の混み合いである。皆、競って自分に合ったいい仕事を取りに来るのだ。あるいは、先日の仕事の報告。
体を鍛えに来る者は大体午後か夕方が多い。
早朝から演習場を利用したのはこの日はアスラン達だけで、出店にも、バイトが一人で品物の数を数え直しているだけで、他に人影は見えなかった。また、そうした時間帯だから、英雄である彼らがのんびりする事が出来るとも言える。
「ありがとうな、リュウ。体がなまってしかたなかったんだが、おかげで、カンを取り戻せたようだ」
「そう言ってくれると俺も嬉しい」
リュウは、後には引いていないようだった。果物を食べ終えた雪鈴シュエリンが、彼の細長い指を甘噛みするのに任せて、くつろいでいる様子である。
「今回はいきなり俺の方にターゲットが来たが、お前達の方には何もないだろうな」
不意に、声をひそめて、アスランはリュウにそう尋ねた。
リュウは、出店のバイトの方を振り返った。バイトはちょうど、倉庫の方に品物を取りに向かったところだった。
誰もいない。
「俺たちはなんともない。志ユキは昨日から、新しい任務について昼間はシュルナウを離れているが、変わった事があったら俺か甲キノエに言うはずだ。甲キノエの方は、王宮でお姫様達の警護の方に気を尖らせている。向こうは、何があっても国の中枢が守ってくれるだろうが、やはり気になるようだな」
リュウは、仲間達の様子を簡潔に教えてくれた。
「なるほど。今は出方をうかがうしかないか……」
アスランは、軽く拳を握りしめながら言った。
「貴族のルートを使えば、簡単に陰謀など暴けるものだと思っていたが」
庶民出身のリュウは、雪鈴をあやしながら不思議そうに言った。
「そんなうまい話はない」
アスランは肩をすくめた。
「貴族ユンカーで警備が固い事を想像されやすい、俺を、祝宴で狙うような輩だぞ。どんな奴だと思う?」
「……すると?」
青い目の目立つストイックな顔に緊張を走らせ、リュウはそこから先の言葉を控えた。大体見当がついたらしい。
「だろうな」
アスランはリュウが何も言わなくても肯定した。
相手は、おそらく貴族だ。
当然ながら、貴族同士の根回し運動を後から開始しても、すぐには尻尾を出さないだろう。
「……」
アスランが、どういう立場なのか色々と想像を巡らして、リュウは沈黙した。
「俺の事なら大丈夫だ、心配するな」
「だが、お前は、警備が固いと言っても、親元から離れて久しいだろう。ジグマリンゲン侯爵領は、随分と北だ」
「親父や兄貴にはもう知らせてある。向こうからも色々運動してくれるはずだ、そう気にするな」
アスランはジグマリンゲン侯爵の次男で、事情があってシュルナウに出てきているのだ。親の監視がない立場であるため、魔大戦中は気ままな冒険者と協力する事が多かった。貴族の中では変わり種といえば変わり種である。
「ああ」
本人がそう判断するならそうなのだろうと、リュウはうなずいた。
それから、顎に手を当てながらアスランの方を振り返った。
「アスラン、そういえば、エリザベート嬢はどうしている?」
「エリザベート?」
アスランは首をかしげた。
エリザベートと言う名の若い娘は、アスランの知っているだけでも、5人はいる。バハムート帝国では最もベタな名前の一つだし、彼はよく女にモテるからだ。
「鯉料理を水槽に放り込んだエリザベート嬢だ」
リュウは半ばあきれてそう言った。
「ああ、エリーゼのことか。それなら、昨日、会ってきた。まあまあ元気そうだったが……」
「彼女の警備の方は大丈夫なのか?」
「……!」
アスランの暗殺計画を、偶然とは言え、阻止したのはエリーゼである。彼女も侯爵令嬢なので、厳重な警備は固められているはずだ。
昨日、彼女の自宅を訪問した際も、同じ侯爵家としてそれほどおかしい点は見当たらなかったし、奥の部屋でひっそりとピアノを弾いていたエリーゼの様子からいっても、まず出しゃばりのおてんばということはないだろう。
……そう、思うのだが。
「心配と言えば、心配だな」
アスランはそう言った。
色素の薄い少女の、いかにも深窓の令嬢然とした様子には、文句はない。恐らく養父母の言いつけを守って、警備を固めた部屋から出るなと言われたら出ないだろう。そう思いたい。アンハルト侯爵夫妻だって馬鹿ではない、自分の家も賊のターゲットを取ったことぐらいわかっているだろうから、十分に手は打っているはずだ。
だが。そう、思うのだが。
普通の深窓の令嬢は、新年の祝宴に、廊下から会場まで靴も履かずにダッシュで走って、騎士からグラスや皿を奪い取って、水槽の中に放り込まない。
全然、お転婆やじゃじゃ馬には見えないし、実際にそういうタイプではないのだろうが、あの行動力はなんなのか。
「大人しそうな娘に限って、思い込みで意外な行動をすることがあるが、そういうことをするお嬢様なのかもしれないな」
リュウはアスランの表情を読みながらそう言った。
「……。ちょっと、行ってみてくるか」
日頃から冷静で、仲間内の知恵袋的な存在のリュウに、そう言われると、アスランもむしょうにエリーゼの事が気になり始めた。
そういうわけで、彼の方が突発的に、この日もアンハルト侯爵家を訪れようと思った訳である。
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