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第一章 きもかわマンドラの恩返し!
11 名無しと貴族と墾田永年私財の法
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クインドルガ王国には魔族がいる。
魔族のほとんどは異界と呼ばれる、人類には簡単に立ち寄れない亜空間に住んでいる事がほとんどで、その亜空間は、瘴気のこもる深山幽谷から都会の横町の神秘の陰りまで千差万別であった。
異界には人類は立ち寄れないので、魔族の生態については知られていない事の方が多い。
ピート・スチュアートのように、都会の人間社会になじんで生きている者もいれば、都会に出かけてくるがどこに住んでいるのかもわからない者もおり、そもそも裏山に産み付けられた卵のようにどこから来てどこに行くのかもわからない者もいる、そういうわけである。
ーーと、言うことで。
魔族。名無しとリヴィたちに呼ばれる彼も、人間とはかなり親しい方だが、どこに住んでいて、どうやって人間社会に関わっているかは、謎に包まれていた。
リヴィたちにも正体を教えていない彼であったが、彼女とは本当に親しく、幼少期にブライアンに呼び出されて以来、頻繁に彼女の周りに現れて優しく接していたし、畑の面倒もよく見ていた。
その名無しが王立学院の昼休み、ニッカポッカ着込んで畑道具もって現れると、そこには見慣れない青年とダグラス姉妹が畑にいて、一緒に話し込みながら草むしりをしていた。
「リヴィたん? メルたん? 着替えないでいいのか?」
学院の制服ワンピースのままの二人を見て、名無しは思わず突っ込んだ。
「あ! 名無しさん、こんにちは。はい、今着替えてきますっ」
リヴィは慌てて鞄を抱え込み、隣の植物園棟の方に走り出した。
植物園の設備の中には、係員が植物の世話をした後、 汗を流すシャワー室と更衣室があるのだ。リヴィとメルはそこを借りる事を特別に許されていた(ダグラス公爵家の威光)。
「名無しさんこんにちは! 私も着替えてきます」
メルもリヴィの後をついて、ワンピースの裾から土埃を落とすと二人連れだって大急ぎで植物園棟の方に走った。
すると取り残されるのは、名無しと見知らぬ青年である。
名無しは思わず遠慮のない目つきで、ブライアンと同い年ぐらいの青年の様子を見た。
そういうのも、リヴィとメルがいなくなったのに、大学部の制服を着込んだままの青年は、腕まくりをした格好で畑の上にかがんだまま、鼻歌歌いつつのんびりと、草むしりを続けているのである。
「…………?」
魔族は一目で、相手を貴族だと見抜いたが、貴族の青年の品の良さを持ちながら、青年は慣れた手つきで草をむしっている。名無しも、相手の手つきがプロのものであることは、長年の農作業で理解していた。よどみない仕草でせっせと雑草をむしり汗を流しながら、口元に微笑さえ浮かべている様子は、本当に土仕事が好きなんだと思わせた。
「えーっと……?」
とはいえ、この畑は、名無しがリヴィとともに手塩にかけてきたものである。どれだけ土仕事がうまくても、知らない人間に勝手な事をされちゃ困る。とりあえず、話しかけようと試みる名無し。すると、貴族の青年は名無しの方を振り返り、にっこりと、嫌みの全く感じられない笑顔を見せてくれた。
「いい畑ですねえ、おじさんは、オリヴィアさんのお手伝いさんですか?」
「……」
「近所の農家の方?」
まあ自然な発想ではあった。貴族なのに、のんびりしているこの青年は、名無しを魔族と気がつかなかったらしく、近所の百姓がリヴィの畑を見初めて、手伝いに来てくれるんだと思ったらしい。
「……誰がおじさんだ?」
かなり気は若い方の名無しは、思わずそう反駁した。
「俺の名前は名無し。ここは俺とリヴィたんが作った畑だ。お前は誰だ?」
「名無し?」
青年はびっくりしたようだった。「名前が名無し」って、それは正しい国文法なのか。しかし、名無しの方は本気でそう言っているらしい。
「名無しだ。何か文句あるか?」
ここだけの話、名無しは魔族の中でも相当な高位の存在である。学院の近所の農家のおっさんと間違えられたらたまったものではない。名無しの勢い込んだ言い方に驚いたエドワードだったが、膝の辺りから土埃を叩いて払いながら立ち上がって、真正面に立つと、まっすぐに礼をした。
「僕はエドワード・アダムズ。オリヴィアさんと今さっきここで知り合いましたが、彼女の兄のブライアンの友人です。今後とも、よろしく」
「ブライアンの友達?」
そこでようやく、名無しは合点がいった。リヴィはどういうわけか、男には滅多になつかない。公爵令嬢なのにぼんやりしていてとろくさいところがあるためか、女子の友達もそんなにいないようだ。大親友が従姉妹のメルで、彼女は男爵令嬢で地位が少し違うためか、いつもおとりまきじゃないかと陰口をたたかれる始末である。
そのリヴィが珍しく年上の男と一緒にいるので何かと思ったのだが、ブライアンの友達。なるほど、あのブラコンのリヴィ。兄の友人ならあっさりガードを解く訳か。
「なんだ、ブライアンの友達か。……あいつは、大学部で、よく勉強してるのか?」
「成績は凄くいいですよ。さすが、筆頭公爵家の嫡男です。心理学や政治学は、僕には太刀打ち出来ないですね。素晴らしい」
「へ~」
名無しは、可愛がっているリヴィの兄を誉められて、全く悪い気はしなかった。
ブライアンは自分が呼び出しておいて、名無しを避ける事の方が多いのだが、それでも、リヴィと一緒にいると寄ってきて、色々と話す機会も多かったのである。
「エドワードか。嫌みの無いいい名前だな。大学では何の勉強しているんだ?」
「あ、僕ですか? 一応、農芸化学科で、土壌や肥料の勉強を主にしているんですが、父が農地や土地の活用法とか、環境学の方も取り入れて、視野をもっとグローバルにして欲しいって。僕は土いじりの方が好きなんですけどね」
そう言って気さくに肩をすくめるエドワード。青年らしい悩みと言えば悩みで、名無しは完璧超人や見栄っ張りではなさそうな彼の性格が少しわかってきた。
「なんだ、親が、ちまちました農作業には反対で、目標はでっかく農地改革や農業改革には積極的って、そういうことか?」
「あ、はい……よくわかりますね」
「わからいでかw」
貴族、それも相当高レベルの青年となれば、そうなるだろう。名無しはあっさりしたものだった。
「草むしりの手際いいな。だけどそれは俺たちの仕事だからちょっと貸せよ。……あ、今そっちからホース引いてくるから、水まきしていくか?」
「え、いいんですか?」
「土いじり好きなんだろう」
土の上にしゃがんで、膝と腰を痛めながらする仕事は引き受けて、名無しはエドワードの方に、近くの水道から引いたホースを手渡した。
「ありがとうございます」
はにかんだように笑うエドワード。ブライアンとはまた違う謙虚さを新鮮に感じながら、名無しは、今日の作業の段取りはどうしようと考えた。どうも、エドワードは、本当にリヴィの畑を気に入っているらしいし。
そこに、リヴィとメルが農作業用のジャージと麦わら帽子に着替えて駆け寄ってきた。
「お待たせ、名無しさん、エドワードさん!」
リヴィは、畑の前に立ち止まって嬉しそうに笑っている。
「待たせましたっ、今日の作業はどうなるの?」
帽子をしきりにかぶり直して、見た目を気にしながらメルが畑の方を見つめている。
「あ、テッドが手伝ってくれるっていうから、水まきはこっちでやるけど……それで、お前等、アダムズ家って前に話に出たことなかったっけ?」
「そうだっけ?」
リヴィは名無しの言葉に首を傾げてからこう言った。
「確かに、農林水産大臣がお父様って話だから、少し話題に出たかもしれないけど……」
ぶほっ
名無しはむせた。農林水産大臣……ということは。
「お前の大好きな墾田永年私財の法の息子さんじゃないか……」
凄く嫌な予感がするらしく、名無しがそう言うと、リヴィとメルはきょとんとしている。
何が問題あるのだろう。墾田永年私財の法。
いずれ、次の自習の時間も使って、テッドはリヴィ達の畑の手伝いを楽しんで行った。リヴィ達も、男手が増える事はよいことなので喜んだ。それが後々、エライ騒ぎの元になるとも知らずに……。
魔族のほとんどは異界と呼ばれる、人類には簡単に立ち寄れない亜空間に住んでいる事がほとんどで、その亜空間は、瘴気のこもる深山幽谷から都会の横町の神秘の陰りまで千差万別であった。
異界には人類は立ち寄れないので、魔族の生態については知られていない事の方が多い。
ピート・スチュアートのように、都会の人間社会になじんで生きている者もいれば、都会に出かけてくるがどこに住んでいるのかもわからない者もおり、そもそも裏山に産み付けられた卵のようにどこから来てどこに行くのかもわからない者もいる、そういうわけである。
ーーと、言うことで。
魔族。名無しとリヴィたちに呼ばれる彼も、人間とはかなり親しい方だが、どこに住んでいて、どうやって人間社会に関わっているかは、謎に包まれていた。
リヴィたちにも正体を教えていない彼であったが、彼女とは本当に親しく、幼少期にブライアンに呼び出されて以来、頻繁に彼女の周りに現れて優しく接していたし、畑の面倒もよく見ていた。
その名無しが王立学院の昼休み、ニッカポッカ着込んで畑道具もって現れると、そこには見慣れない青年とダグラス姉妹が畑にいて、一緒に話し込みながら草むしりをしていた。
「リヴィたん? メルたん? 着替えないでいいのか?」
学院の制服ワンピースのままの二人を見て、名無しは思わず突っ込んだ。
「あ! 名無しさん、こんにちは。はい、今着替えてきますっ」
リヴィは慌てて鞄を抱え込み、隣の植物園棟の方に走り出した。
植物園の設備の中には、係員が植物の世話をした後、 汗を流すシャワー室と更衣室があるのだ。リヴィとメルはそこを借りる事を特別に許されていた(ダグラス公爵家の威光)。
「名無しさんこんにちは! 私も着替えてきます」
メルもリヴィの後をついて、ワンピースの裾から土埃を落とすと二人連れだって大急ぎで植物園棟の方に走った。
すると取り残されるのは、名無しと見知らぬ青年である。
名無しは思わず遠慮のない目つきで、ブライアンと同い年ぐらいの青年の様子を見た。
そういうのも、リヴィとメルがいなくなったのに、大学部の制服を着込んだままの青年は、腕まくりをした格好で畑の上にかがんだまま、鼻歌歌いつつのんびりと、草むしりを続けているのである。
「…………?」
魔族は一目で、相手を貴族だと見抜いたが、貴族の青年の品の良さを持ちながら、青年は慣れた手つきで草をむしっている。名無しも、相手の手つきがプロのものであることは、長年の農作業で理解していた。よどみない仕草でせっせと雑草をむしり汗を流しながら、口元に微笑さえ浮かべている様子は、本当に土仕事が好きなんだと思わせた。
「えーっと……?」
とはいえ、この畑は、名無しがリヴィとともに手塩にかけてきたものである。どれだけ土仕事がうまくても、知らない人間に勝手な事をされちゃ困る。とりあえず、話しかけようと試みる名無し。すると、貴族の青年は名無しの方を振り返り、にっこりと、嫌みの全く感じられない笑顔を見せてくれた。
「いい畑ですねえ、おじさんは、オリヴィアさんのお手伝いさんですか?」
「……」
「近所の農家の方?」
まあ自然な発想ではあった。貴族なのに、のんびりしているこの青年は、名無しを魔族と気がつかなかったらしく、近所の百姓がリヴィの畑を見初めて、手伝いに来てくれるんだと思ったらしい。
「……誰がおじさんだ?」
かなり気は若い方の名無しは、思わずそう反駁した。
「俺の名前は名無し。ここは俺とリヴィたんが作った畑だ。お前は誰だ?」
「名無し?」
青年はびっくりしたようだった。「名前が名無し」って、それは正しい国文法なのか。しかし、名無しの方は本気でそう言っているらしい。
「名無しだ。何か文句あるか?」
ここだけの話、名無しは魔族の中でも相当な高位の存在である。学院の近所の農家のおっさんと間違えられたらたまったものではない。名無しの勢い込んだ言い方に驚いたエドワードだったが、膝の辺りから土埃を叩いて払いながら立ち上がって、真正面に立つと、まっすぐに礼をした。
「僕はエドワード・アダムズ。オリヴィアさんと今さっきここで知り合いましたが、彼女の兄のブライアンの友人です。今後とも、よろしく」
「ブライアンの友達?」
そこでようやく、名無しは合点がいった。リヴィはどういうわけか、男には滅多になつかない。公爵令嬢なのにぼんやりしていてとろくさいところがあるためか、女子の友達もそんなにいないようだ。大親友が従姉妹のメルで、彼女は男爵令嬢で地位が少し違うためか、いつもおとりまきじゃないかと陰口をたたかれる始末である。
そのリヴィが珍しく年上の男と一緒にいるので何かと思ったのだが、ブライアンの友達。なるほど、あのブラコンのリヴィ。兄の友人ならあっさりガードを解く訳か。
「なんだ、ブライアンの友達か。……あいつは、大学部で、よく勉強してるのか?」
「成績は凄くいいですよ。さすが、筆頭公爵家の嫡男です。心理学や政治学は、僕には太刀打ち出来ないですね。素晴らしい」
「へ~」
名無しは、可愛がっているリヴィの兄を誉められて、全く悪い気はしなかった。
ブライアンは自分が呼び出しておいて、名無しを避ける事の方が多いのだが、それでも、リヴィと一緒にいると寄ってきて、色々と話す機会も多かったのである。
「エドワードか。嫌みの無いいい名前だな。大学では何の勉強しているんだ?」
「あ、僕ですか? 一応、農芸化学科で、土壌や肥料の勉強を主にしているんですが、父が農地や土地の活用法とか、環境学の方も取り入れて、視野をもっとグローバルにして欲しいって。僕は土いじりの方が好きなんですけどね」
そう言って気さくに肩をすくめるエドワード。青年らしい悩みと言えば悩みで、名無しは完璧超人や見栄っ張りではなさそうな彼の性格が少しわかってきた。
「なんだ、親が、ちまちました農作業には反対で、目標はでっかく農地改革や農業改革には積極的って、そういうことか?」
「あ、はい……よくわかりますね」
「わからいでかw」
貴族、それも相当高レベルの青年となれば、そうなるだろう。名無しはあっさりしたものだった。
「草むしりの手際いいな。だけどそれは俺たちの仕事だからちょっと貸せよ。……あ、今そっちからホース引いてくるから、水まきしていくか?」
「え、いいんですか?」
「土いじり好きなんだろう」
土の上にしゃがんで、膝と腰を痛めながらする仕事は引き受けて、名無しはエドワードの方に、近くの水道から引いたホースを手渡した。
「ありがとうございます」
はにかんだように笑うエドワード。ブライアンとはまた違う謙虚さを新鮮に感じながら、名無しは、今日の作業の段取りはどうしようと考えた。どうも、エドワードは、本当にリヴィの畑を気に入っているらしいし。
そこに、リヴィとメルが農作業用のジャージと麦わら帽子に着替えて駆け寄ってきた。
「お待たせ、名無しさん、エドワードさん!」
リヴィは、畑の前に立ち止まって嬉しそうに笑っている。
「待たせましたっ、今日の作業はどうなるの?」
帽子をしきりにかぶり直して、見た目を気にしながらメルが畑の方を見つめている。
「あ、テッドが手伝ってくれるっていうから、水まきはこっちでやるけど……それで、お前等、アダムズ家って前に話に出たことなかったっけ?」
「そうだっけ?」
リヴィは名無しの言葉に首を傾げてからこう言った。
「確かに、農林水産大臣がお父様って話だから、少し話題に出たかもしれないけど……」
ぶほっ
名無しはむせた。農林水産大臣……ということは。
「お前の大好きな墾田永年私財の法の息子さんじゃないか……」
凄く嫌な予感がするらしく、名無しがそう言うと、リヴィとメルはきょとんとしている。
何が問題あるのだろう。墾田永年私財の法。
いずれ、次の自習の時間も使って、テッドはリヴィ達の畑の手伝いを楽しんで行った。リヴィ達も、男手が増える事はよいことなので喜んだ。それが後々、エライ騒ぎの元になるとも知らずに……。
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