前世で愛されなかった悪役令息は愛されたい

みたらし@低浮上

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過去編

6.味方なんていない

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「っっっっっっっっっっっっこんの、クソ息子がッ…!!!!!!!!」
「…っ~。」

 腹に何回も衝撃を加えられる。
 …ボコッ、グッ…
 なんで、な゙んでだよ゙母さんっ。。。なんで父さんの言うことだけ信じるんだよっ…
 ボコッ…バン…

「あんたがっ!!あんたさえいなけりゃ、こんなことにはならなかったのよっっっ!!!」

 そう言い、母さんは小走りで台所に行き、包丁を両手で握りしめこちらに走ってきた。
 命の危機を感じた俺は、本能のままに財布と教科書、スマホくらいしか入ってなかった学校の鞄だけ持ち、玄関から飛び出していた。


 着の身着のまま飛び出したはいい物の、どこにも行く宛がなく学校の近所にある公園のベンチにぽつんと1人座っていた。
 今日はもう、家に帰ることができないのはもう明白だった。
 父さんに裏切られ、母さんに殴られ、殺されかけられた衝撃で回ってなかった頭が家から離れることで良くも悪くも回ったらしい。
 俺の目からはとめどなく涙が流れていた。

 なんで俺だけがこんな辛い目にあわなきゃいけないんだろう。なにかしたのだろうか。
 そう考えても結論は一向に出ない。むしろ、理由があったほうが良かったのかもしれない。
 辛い、かなしい、しんどい、苦しいよ、母さん…

 ずっと泣いていて泣きつかれてしまったのだろうか、次に俺が目を覚ましたのは顔に昼頃の眩しい光があたってからだった。

 どれだけ辛いことがあっても太陽は昇る。この日だけは太陽が特別怨めしく思った。

 とりあえず学校の鞄だけは一緒に持ってきてたため、学校に行ける用意は揃っている。
 公園の水道で顔と手足をさっと流し、学校へ向かった。そろそろ学校が3時間目に差し掛かろうとしていた。
 ドロリとした気持ち悪い生暖かさが体にまとわりついていた。


 学校につき、おはようございますと言いながら席に着こうとすると、クラスの皆からの軽蔑と興味の混じったような視線を向けられた。
 そして自分の机を見て思わず息を呑んだ。
 自分の机は『ホモ』『おっさんの肉便器乙』『尻軽』『ドM』『女装癖』『発情野郎』などと真っ黒な字で書かれていた。

 …っ。誰がやったんだ…まだ、昨日の出来事なのに、、、、もう…

 その後も仲良くしてた友達からは近づかないでくれと言わんばかりの表情を向けられたり、トイレに行って教室に帰ってきたら体操着をゴミ箱に捨てられていたり、あからさまないじめを受けた。
 先生も何も言わないようだった。

 …結局家にも学校にも、どこにも居場所なんてないんだ。
 そう思いながら授業を耐えた。

 家に帰るのも憂鬱だが、生憎帰る方面が同じ生徒たちもいたし言い訳するような気力ももう残っていなかった。
 家に帰って母さんがいたらきっと殴られるだろうな。

 その予想通り、家に帰るとまた昨日のように罵詈雑言を浴びさせられながら殴られ続けていた。
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