上 下
2 / 12
過去編

1.笑みの裏には

しおりを挟む
 俺の家族は優しくてちょっとぽっちゃりな父さんと厳しいけどしっかり者の母さん、高校2年でもうすぐ受験期な俺と今年中学になったばっかりの素直で可愛い遥輝の4人家族だ。

 そしてある時から地獄が始まった。

 父さんは満面の笑みを浮かべていつもより早い時間に帰ってきた。

「あなたどうしたのよ?こんな早くに帰ってきて。」
「いやぁ~朗報だよ朗報!!」
「はぁ…。もったいぶらずに早くいいなさいよ。」
「まぁまぁ。焦らなくても逃げないよ。ほら落ち着いて。夕食の時に言うからさ」

 そう言いながら玄関先でいちゃいちゃしている。
 俺も高校から帰ってきてすぐだったし遥輝も中学から帰ってきてすぐだ。
 なんて目の毒なんだろうかと呆れながらも遥輝と目を合わせる。
 どうやら遥輝も気になってはいるみたいだ。

「それで?なんなのよ朗報って。」
「実はなぁ…やky「良いよ。そんな前フリ。早く言って」」

 遥輝は良くも悪くも素直だ。

「ははっ…相変わらず遥輝は冷たいなぁ。実はな。なんと…部長に就任できたのさ!」
「なに?!部長ですって!あなたそれ帰ってくる前に連絡くれなくちゃお祝いできないじゃないの!」
「ごめんごめんすっかり忘れていたよ。てへっ」
「おっさんがそんな事やってもかわいくないよ」
 遥輝…
 ほら、父さんも母さんも苦笑いしちゃってるじゃないか…

 取り敢えず冷蔵庫にあったものだけで盛大に祝ってその日は暮れた。

 何時も9時には絶対に家に帰ってきてた父さんはその日から帰ってくるのが目に見えるように遅くなった。
 どうやら仕事が忙しいらしい。
 時には朝になってから帰ってきたこともある。
 最初こそ心配してたがそれがいつもとなると慣れてしまった。

 ある日俺が友達と遅くまでカラオケに行った帰りの事だった。

「なあ涼斗お前どうする?もう帰る?」
「あー、俺は母さんからお使い頼まれてるから買い物してから帰るよ」
「そっか。俺らは帰るから気をつけろよ~。」
「ん。サンキュ」

 俺の家の近くにショッピングモールがあって良かった。
 ここだけで事足りるのはありがたいな。そう思いながら母さんに頼まれたものを買っていく。

 全部買い終わってから帰ろうとしたその時だった。

「…ですもんね~部長」
「いやぁそれほどでもないさ」

 だんだん声が近くなる。男の人と女の人の声だ。男の人の声に聞き覚えがないと言ったら全くの嘘だ。
 聞き間違うはずがない。父さんの声だ。でも父さんは仕事なんじゃ…

 自分の考えに不信感を持ちながらも声のした方を盗み見る。
 すると案の定。父さんと会社の後輩?らしき女の人がちょうど2人でブランド物の店に入っていくところだった。
 女の人の顔は若干引きつりながらも裏のありそうな笑顔を浮かべている。
 父さんの視線が女の人のお尻に向いているのが原因だろう。

 嫌な予感がする…

 この時の俺は”嫌な予感”が違う方に働くとは思っても見なかった。

 入ってから1時間たったくらいだろうか、父さんと女の人が出てきた。
 タイミングを見計らって声をかけに行く。

「父さん!何やってるのこんなところで?仕事はどうしたの?」
「えっ…父さ「いやぁ誰だい君?君みたいな子見覚えないけど。というか僕に子供なんていないんだけど?見間違いじゃないのかい?」」
「さぁさぁ。こんな子供はほっておいて行こうか平岡君」
「えっ…あ、はい!」

 そう言って2人はそそくさと行ってしまった。
 やはり嫌な予感はあたってたみたいだ。
 母さんに言うべきか。どうするのが正解か。
 悩んでるうちにも家に着いてしまった。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 どうもこんにちは!
 作者です!!

 早く異世界編に入りたいんで異世界編入るまでは投稿頻度高めにしたいと思います!
 若干わかりづらいところがあるかもしれませんが生暖かい目で読んでいただけると幸いです!

 こんな拙い文章にお気に入り登録10以上もありがとうございます🎊🎉✨✨

 ※ちなみに作者は主人公のお父さんみたいな人めっちゃ苦手です
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

釣った魚、逃した魚

円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。 王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。 王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。 護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。 騎士×神子  攻目線 一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。 どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。 ムーンライト様でもアップしています。

ヴェリテ〜賢竜帝様の番は過ちを犯し廃嫡されて幽閉されている元王太子で壊れていました

ひよこ麺
BL
賢王と慕われる竜帝がいた。彼が統治してからの500年の長きに渡りポラリス帝国は繁栄を極めた。そんな素晴らしい竜帝にもひとつだけ問題があった。 彼は妃を迎えていなかった。竜人である竜帝には必ず魂の伴侶である番が存在し、歴代の竜帝も全て番と妻として迎えていた。 長命である竜人であるがゆえにそこまで問題視されてはいなかったが、それでも500年もの長い間、竜帝の番が見つからないのは帝国でも異例な事態だった。 その原因を探るために、数多手を尽くしてきたが、番の行方はようとしてしれなかった。 ある日、ひとりの男が竜帝の元を訪れた。彼は目深にローブを被り、自らを『不死の魔術師』と名乗るとひとつの予言を竜帝に与えた。 『貴方の番は、この1000年不幸な運命に翻弄され続けている。それは全て邪悪なものがその魂を虐げて真実を覆い隠しているからだ。番を見つけたければ、今まで目を背けていた者達を探るべきだ。暗い闇の底で貴方の番は今も苦しみ続けているだろう』 それから、ほどなくして竜帝は偶然にも番を見つけることができたが、番はその愚かな行いにより、自身の国を帝国の属国に堕とす要因を作った今は廃嫡されて幽閉されて心を壊してしまった元王太子だった。 何故、彼は愚かなことをしたのか、何故、彼は壊れてしまったのか。 ただ、ひたすらに母国の言葉で『ヴェリテ(真実)』と呟き続ける番を腕に抱きしめて、竜帝はその謎を解き明かすことを誓う。それが恐ろしい陰謀へつながるとことを知らぬままに……。 ※話の性質上、残酷な描写がございます。また、唐突にシリアスとギャグが混ざります。作者が基本的にギャグ脳なのでご留意ください。ざまぁ主体ではありませんが、物語の性質上、ざまぁ描写があります。また、NLの描写(性行為などはありませんが、元王太子は元々女性が好きです)が苦手という方はご注意ください。CPは固定で割と早めに性的なシーンは出す予定です、その要素がある回は『※』が付きます。 5/25 追記 5万文字予定が気づいたらもうすぐ10万字に……ということで短編⇒長編に変更しました。

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

俺は好きな乙女ゲームの世界に転生してしまったらしい

綾里 ハスミ
BL
騎士のジオ = マイズナー(主人公)は、前世の記憶を思い出す。自分は、どうやら大好きな乙女ゲーム『白百合の騎士』の世界に転生してしまったらしい。そして思い出したと同時に、衝動的に最推しのルーク団長に告白してしまい……!?  ルーク団長の事が大好きな主人公と、戦争から帰って来て心に傷を抱えた年上の男の恋愛です。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

Ωの皇妃

永峯 祥司
BL
転生者の男は皇后となる運命を背負った。しかし、その運命は「転移者」の少女によって狂い始める──一度狂った歯車は、もう止められない。

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

処理中です...