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はじまり
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「おはようございます!」
元気な挨拶が飛び交う校内
成城高校
1年 B組 新川 結菜は
慣れない教室の窓際の席で
雲ひとつない空を見ながら
_____できるだけ目立たないように、穏やかに3年間過ごせますように_____
と何度も心の中で唱えた。
教室内では、すでにグループがいくつか出来上がってきていた。
皆、作り笑いをして、必死に自分の立ち位置を確保しようとしている。
中には、snsで入学前から知り合い、すでに仲の良い子たちもちらほらいる。
ガラ、、、
と扉が開いて教室がざわめく。
「ねぇね、あの人かっこよくない?」
「私狙っちゃおーかな」
「彼女とかいるのかな?」
あちこちで女子が入ってきた彼を見て微妙に聞こえる声で話している
彼は黒板で自分の席を確認すると、結菜の横に座った。
座る時に目が合った気がするが、結菜は何事もなかったのかのように、また視線を外に映した。
しばらくして
入学式で発表された、担任が教室に入ってきた。
短髪で、少し茶色かかった髪の毛、まだ二十代後半~三十代前半、少しわかめの先生という感じだ。
黒板に名前を書き自己紹介を始めた。
「奥田 隼と言います。
担任を持つのは2回目です!
教科は化学、
1年間よろしくお願いします!!」
教室内は拍手と黄色い声に包まれた。
それもそうだ
よくにいう爽やか系イケメンが担任になったんだから。
それから自己紹介をして、
あっという間に
休み時間になった。
「ねー、先生と颯くんどっちにしよう~」
「私は颯君派~」
「でも奥田先生もいいよね!!」
クラスの女子はさっきの彼、山田 颯と先生の話でもちきりだ。
まだ初日だというのに、カーストも出来上がりつつある。
結菜は教室内に目を映して、周りを観察した。
男子はそれぞれ周りの席の人と話している
女子はグループが2.3コ
一番はしゃいで周りの目を集めているのは
清水 美玖、斉藤 遥、藤原 花梨のグループだった。
_____あそこがトップかなぁ。。。
と考えていた時だった。
「ねぇ、」
スッと視界に颯が入り込んできた。
「………えっと、、、」
ちょっと教室の空気が変わった。
それもそうだ
冴えない結菜に今注目の的の颯が話しかけたんだ。
それに颯の周りにはたくさんの人が集まっていた、
結菜とは対照的すぎた。
「…あ、急にごめん。…よろしくね」
結菜の不安そうな顔を見て、申し訳なさそうに颯はそう言った。
「……よろしく、」
一応返すも、消え入りそうな声は、颯に届いているか微妙なところだった。
「ねぇ、何アレ。ただ席が隣ってだけで」
早速始まった。
_____もう最悪。
何で初日からこうなるかな。
頭の中では、嫌な妄想ばかりが広がる。
ガラ…
良いタイミングで先生が入ってきた。
「はーい、じゃあ今日は、少し配布するものが多いからそれ配ったら終了ねー」
何枚か、紙が配られ、
そこには校則や、部活動の紹介などが載っていたが、結菜はすぐにファイルにしまった。
早く帰りたかったからだ。
早くこの教室から出てしまいたかった。
帰りのHRが長く感じた。
そこまでレベルは高くないが進学の成城高校では、明日から丸一日テストだ。
このテストで、今後の分担授業のコースなどが決められる。
改めてテストの注意点や持ち物等を確認して、やっとHRが終わった。
結菜は帰りの号令と同時に席を離れた。
教室内では、
「B組のグループ作るから連絡先交換しよー」
と、みんなスマホを手にワイワイしていた。
校則で、朝のHR~帰りのHRまではスマホは禁止だ。
_____グループ入っとかないといろいろ面倒かな、、、
と考えつつも、足早に教室を出た。
2回ほど乗り換えをしてやっと見慣れた景色が窓に映り込む。
初めはキツキツだった車内も、座れるくらいにはなっていた。
「…はぁ、、、」
結菜は窓の外を眺めてため息をついた。
まだ初日なのに疲れた。
気がつくと最寄駅で急いで、電車を降りる。
-ふと後ろを見るといつもの姿。
-申し訳なさそうに頭を下げた。
結菜は見て見ぬ振りをして、足早に家へと向かった。
駅から徒歩10分程度、
住宅が建ち並ぶ角の小さな一軒家。
「……ただいま」
消え入りそうな声は、家に誰もいないことを確認しているようだった。
少し返事を待って、
ほっとため息をつき2階の自室に向かう。
「…………、つかれた」
ベットに倒れ込み、ベット横の窓にかかっているカーテンが揺れるのを下から眺める。
そのまま目を閉じるといつのにか眠ってしまっていた。
_____
『おかあさん』
結菜はいつも決まった夢をみる。
リビングに座りキッチンでご飯の準備をしている母を呼んでいる。
『どうしたの?』
ニコニコと優しそうな母は、結菜の大好物のシチューをテーブルに並べていた。
_____そう、ここまでは幸せなのに
もうみたくないと結菜は目をぎゅっと強く瞑った。
_____
「おい!!!!」
大きな声で目が覚める。
元気な挨拶が飛び交う校内
成城高校
1年 B組 新川 結菜は
慣れない教室の窓際の席で
雲ひとつない空を見ながら
_____できるだけ目立たないように、穏やかに3年間過ごせますように_____
と何度も心の中で唱えた。
教室内では、すでにグループがいくつか出来上がってきていた。
皆、作り笑いをして、必死に自分の立ち位置を確保しようとしている。
中には、snsで入学前から知り合い、すでに仲の良い子たちもちらほらいる。
ガラ、、、
と扉が開いて教室がざわめく。
「ねぇね、あの人かっこよくない?」
「私狙っちゃおーかな」
「彼女とかいるのかな?」
あちこちで女子が入ってきた彼を見て微妙に聞こえる声で話している
彼は黒板で自分の席を確認すると、結菜の横に座った。
座る時に目が合った気がするが、結菜は何事もなかったのかのように、また視線を外に映した。
しばらくして
入学式で発表された、担任が教室に入ってきた。
短髪で、少し茶色かかった髪の毛、まだ二十代後半~三十代前半、少しわかめの先生という感じだ。
黒板に名前を書き自己紹介を始めた。
「奥田 隼と言います。
担任を持つのは2回目です!
教科は化学、
1年間よろしくお願いします!!」
教室内は拍手と黄色い声に包まれた。
それもそうだ
よくにいう爽やか系イケメンが担任になったんだから。
それから自己紹介をして、
あっという間に
休み時間になった。
「ねー、先生と颯くんどっちにしよう~」
「私は颯君派~」
「でも奥田先生もいいよね!!」
クラスの女子はさっきの彼、山田 颯と先生の話でもちきりだ。
まだ初日だというのに、カーストも出来上がりつつある。
結菜は教室内に目を映して、周りを観察した。
男子はそれぞれ周りの席の人と話している
女子はグループが2.3コ
一番はしゃいで周りの目を集めているのは
清水 美玖、斉藤 遥、藤原 花梨のグループだった。
_____あそこがトップかなぁ。。。
と考えていた時だった。
「ねぇ、」
スッと視界に颯が入り込んできた。
「………えっと、、、」
ちょっと教室の空気が変わった。
それもそうだ
冴えない結菜に今注目の的の颯が話しかけたんだ。
それに颯の周りにはたくさんの人が集まっていた、
結菜とは対照的すぎた。
「…あ、急にごめん。…よろしくね」
結菜の不安そうな顔を見て、申し訳なさそうに颯はそう言った。
「……よろしく、」
一応返すも、消え入りそうな声は、颯に届いているか微妙なところだった。
「ねぇ、何アレ。ただ席が隣ってだけで」
早速始まった。
_____もう最悪。
何で初日からこうなるかな。
頭の中では、嫌な妄想ばかりが広がる。
ガラ…
良いタイミングで先生が入ってきた。
「はーい、じゃあ今日は、少し配布するものが多いからそれ配ったら終了ねー」
何枚か、紙が配られ、
そこには校則や、部活動の紹介などが載っていたが、結菜はすぐにファイルにしまった。
早く帰りたかったからだ。
早くこの教室から出てしまいたかった。
帰りのHRが長く感じた。
そこまでレベルは高くないが進学の成城高校では、明日から丸一日テストだ。
このテストで、今後の分担授業のコースなどが決められる。
改めてテストの注意点や持ち物等を確認して、やっとHRが終わった。
結菜は帰りの号令と同時に席を離れた。
教室内では、
「B組のグループ作るから連絡先交換しよー」
と、みんなスマホを手にワイワイしていた。
校則で、朝のHR~帰りのHRまではスマホは禁止だ。
_____グループ入っとかないといろいろ面倒かな、、、
と考えつつも、足早に教室を出た。
2回ほど乗り換えをしてやっと見慣れた景色が窓に映り込む。
初めはキツキツだった車内も、座れるくらいにはなっていた。
「…はぁ、、、」
結菜は窓の外を眺めてため息をついた。
まだ初日なのに疲れた。
気がつくと最寄駅で急いで、電車を降りる。
-ふと後ろを見るといつもの姿。
-申し訳なさそうに頭を下げた。
結菜は見て見ぬ振りをして、足早に家へと向かった。
駅から徒歩10分程度、
住宅が建ち並ぶ角の小さな一軒家。
「……ただいま」
消え入りそうな声は、家に誰もいないことを確認しているようだった。
少し返事を待って、
ほっとため息をつき2階の自室に向かう。
「…………、つかれた」
ベットに倒れ込み、ベット横の窓にかかっているカーテンが揺れるのを下から眺める。
そのまま目を閉じるといつのにか眠ってしまっていた。
_____
『おかあさん』
結菜はいつも決まった夢をみる。
リビングに座りキッチンでご飯の準備をしている母を呼んでいる。
『どうしたの?』
ニコニコと優しそうな母は、結菜の大好物のシチューをテーブルに並べていた。
_____そう、ここまでは幸せなのに
もうみたくないと結菜は目をぎゅっと強く瞑った。
_____
「おい!!!!」
大きな声で目が覚める。
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