プリンス様は下僕様

沖乃 白夜

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第1話 ある日の日常

前半ー1ー

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 彼は恍惚としていた。
むせ返る程の血の匂いとおびただしい死骸の数が、彼を絶対的な力を有する物だということの証明に対して。

力が全てな世界―魔界ー

 あまたな堕天使や悪魔達が棲まうこの世界は、完全な実力主義の下剋上であった。
下位の者が上位の者を倒し自らの地位や名声を得て、その次は、序列に連なり格を上げていく。
常に魔界は闘いに溢れており、彼はその闘いの渦中にいる。
それだけ、彼は魔界では実力者でもあり、上位悪魔よりも格が上の貴族悪魔であり、
そして、”偉大なる序列”に名を連ねる者であった。

 悪魔に身を堕とした者は、まず上位悪魔になることを目指す。
その為に悪魔同士が争い、時には人間を惑わしその魂を奪い、さらには宿敵である神々の御使いとも戦う。
こうして格が上がった者が、上位悪魔への道が開かれる。
 上位悪魔になった者の次なる野望が、貴族悪魔になり、そしていつの日にか”偉大なる序列”に連なることである。

 彼は貴族悪魔でもあり”偉大なる序列”に連なる者であるために、上位悪魔達に常に狙われる身であった。
ただ、彼はその闘いを心地よく思う、貴族悪魔の中では変わり者の一種であった。
何故なら、貴族悪魔が目指す先は魔界の支配ー
つまりは自らが皇帝ルシファーに成り代ろうと虎視眈々と眷属を増やして戦力を揃えているからだ!!
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