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No.5
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わたしが余計な疑問を持ったせいで、微妙な空気が出来上がってしまいました……。
その空気のまま、2人が必要だというものを買いに歩く。
といっても基本的なものは自分達で持っているらしいので、消費アイテムをいくつか買うだけでいいらしい。
後は街をぶらついてみよう、とエイルさんの提案で3人で街を歩くことに。
本音を言えば、この空気のまま部屋には戻りにくいからありがたい提案だった。
でも玉藻さん……下着屋さんで怒ってた以外あんま喋らないんだよね……。
御機嫌取り、じゃないけど何かあげるべきかな……。
「あ、主様ぁ、ここ入りましょ」
「はへ?あ、うん」
うんうん唸っていたらエイルさんに声をかけられ慌てて顔を上げる。
そこにあったのは三階建ての本屋さん。
少し古びた感じがするから、もしかしたら古書店なのかも?
入り口から道を作るように左右に真っ直ぐ本棚があって、奥にはレジカウンターがある。
その本棚には一般大衆向けらしき本が並べられているらしい。
本棚は天井までを埋めるように聳えていて、天井に灯りが等間隔で並んでいる。
日光は入ってこないけれど、灯りで暗さを感じることはない。
エイルさんはそれらには目もくれず、レジカウンターへ真っ直ぐ歩いていく。
レジカウンターの前で足を止め、上を見上げると吹き抜けになっていた。
天井からは大きなシャンデリアがぶら下がっていて、とても明るい。
そして壁1面に本、本、本。
膨大な量の本が壁面いっぱいに並べられていた。
「司書妖精、いるかしら?」
《はいはぁい。いらっしゃーい》
なんと、妖精さんの登場。
手の平サイズで小さな4枚の羽がパタパタしてて、すっごく可愛い。
黄色っぽい髪にエイルさんみたいな格好をしている。
エイルさんは裾を擦ってるんじゃないかってぐらい長いけど、妖精さんはミニだった。
ミニスカだ。
見た感じじゃあ性別の判断は出来ないけど、可愛い。
「テンタクルに関する書物を見せて欲しいの。あ、主様は欲しい書物あるかしら?」
エイルさんの注文に玉藻さんがぎょっとしていたけれど、どうしたんだろう。
まあ、後で聞けばいいか。
それより、わたしも本読もうかな。
でも、あまり堅苦しいものは好きじゃないし……。
「わたしはあっちの本棚から見繕ってくることにします。玉藻さんも欲しい本あったら、エイルさんと一緒に用意しておいてくださいね」
入り口から伸びる本棚を指差して2人を窺うとエイルさんはにっこり微笑んでくれた。
玉藻さんは何か言いたそうにしてるんだけど、口を閉ざして1つ頷いて終わった。
一体なんなんだろうか。
まさかテンタなんとかは危ないものなのか?
でも危ないものだったら玉藻さんもエイルさんを止めるだろうし、怒るんじゃないだろうか。
そうなると、びっくりはするけど止める程のものじゃないって思って良さそうだ。
わたしは2人から離れて本棚を見上げる。
本はカテゴリ分けされているみたいで、まずはカテゴリの確認をしてみる。
歴史、教育、医術、種族、暮らし、魔術、児童書、奴隷、冒険、生態と大まかに分けられているみたいだけど、興味を引くカテゴリがある。
ファンタジーな単語を見るとちょっとワクワクする。
危ないことはしたくないけれど、読むだけならOKだよね。
ファンタジーな部分は娯楽として楽しむだけにしておかないと、死んでしまうと思うし。
い の ち だ い じ に
うん、家訓にしよう。
さて、とりあえずわたしに必要なものを探そう。
まずは奴隷について載ってる本を物色する。
背表紙を見てアタリをつけ、パラパラと中身を簡単に確認する。
お金はあるから吟味しなくていいって楽だ。
散財癖がついちゃったら、もしかして、だけど元の世界に戻った時に苦労するかもしれない。
まあ流石にわたしに飽きたとかって女神様が思っても、還されることはないだろうけど。
そうして奴隷関係の本を数冊、魔術に関する本を数冊、種族事典を1冊買うことに決めた。
レジカウンターに戻れば、カウンターにはエイルさんと玉藻さんが選んだ本が積まれていた。
「遅くなっちゃってごめんなさい」
「いいのよ、気にしないで」
優しい気遣いに胸がほっこりする。
エイルさんってたまに残念だけど優しいんだよなー。
気遣いもさり気なくて、わたしのことを考えてくれてるってよくわかる。
主従関係が結ばれているし、出会って間もないから全部が善意だとは思えないけれど、もっと仲良くなって友達になれたら嬉しいかも。
玉藻さんは……まだわからないことばっかだから、少しずつでも仲良くなれたらいいんだけど……。
カウンターに積まれた本にわたしの持っていた本を足して会計を済ませる。
会計が終われば玉藻さんが腕輪に本を仕舞い、本屋さんから外に出る。
空は赤く染まり始めていて、ぽつぽつと灯りが灯っていた。
「そろそろ帰りましょうか」
「そうですね」
「じゃあこっちよぉ」
エイルさんに手を引かれ、わたし達はゆっくりと宿屋へ帰る。
宿屋に着く頃には周りは薄暗くなっていて、街灯やお店の明かりが道を照らしていた。
~~~~~~~~~~~
夕食は3人分頼んで部屋で食べることにした。
食堂だと2人がまた席に着かなそうだと思ったから。
向こうじゃ一人暮らしだったから、こうして一緒に食べてくれる人がいると嬉しいし楽しい。
会話を交えながら食事を終えると、買ったものの仕分け作業に入る。
片付けられたテーブルの上やソファーにどっさどさ置いていかれる荷物の量に、ちょっと書い過ぎた感が否めない。
そして思う。
小 分 け 用 の 箱 買 え ば 良 か っ た 。
服はまだしも、化粧品や下着等の細かいものを纏めておけるものがない。
おかげで買った下着が並べられている辺りに玉藻さんが一切視線を向けない。
すすーっと移動して下着をなるべく小さく纏めると、それをソファーの奥の方に押しやって隠すようにその前に座る。
わたしという目隠しで我慢してください……!
そんなわたしの行動を見てエイルさんはクスクス笑ってるし、そんなエイルさんを頬を赤くした玉藻さんが物凄く怖い顔で睨んでいる。
エイルさん楽しんでるなこれ……!
そう思いはするけれど、それを言ったらエイルさんと玉藻さんが口論を始めそうなので黙って仕分け作業を続ける。
やっぱりわたしのものが1番多いんだよね。
主寝室に備え付けられたクローゼットにエイルさんの手を借りて全てを仕舞う。
化粧品類もドレッサーに置いておけば、後は本やその他の雑貨類だけがテーブルに残った。
「ふぅ……結構な量がありましたねー」
「そうね。でも女の子って色々必要なものって多くなっちゃうわよねぇ」
「ああー、ありますねぇ」
エイルさんと笑って頷き合い、テーブルに残されていた本の側に移動する。
どうやらわたしとエイルさんがクローゼットに仕舞っている間に、玉藻さんが分類しておいてくれたらしい。
玉藻さんにありがとう、と声を掛けてから左手で本に触れ、アイテムボックスへと仕舞う。
全ての本をアイテムボックスに仕舞うとソファーに腰掛けてスマホを取り出す。
スマホにはいくつかのアイコンがある。
まずはアイテムボックス。
左手の指輪と連動していて、指輪に魔力を流しながら物に触れて念じれば仕舞うことが出来る。
取り出す時はスマホをタップするか、アイテムを思い浮かべて念じるかのどちらかだ。
仕舞われたアイテム名をタップすると、アイテムの説明画面が出る。
左上にはアイテムの画像があって、見た目がわかる。
右側には簡単な説明文があり、その下には取り出すボタン。
そして画像の下にはメモがある。
ちょっとしたメモをそこに書いておけるみたいだ。
そしてステータス画面。
トイレのマークみたいなアイコンがそれだ。
それをタップすればわたしのステータスが出てくる。
☆サツキ・シターラ
☆15
☆10/25
☆所持金MAX(固定)
☆錬金術師
☆女神の加護(愛欲)
☆主従契約
と、このような画面になった。
所持金がいくらまでなのかはわからないが、マックスで固定されているのがわかる。
これで老後も安泰だね!
この世界に職業があるのかはわからないが、これを見るとわたしは錬金術師という職業になるのだろう。
わたしがこれから作るであろう色々なアイテム……売れたりするのかな?
楽しいことは皆と分かり合いたいよね!くふっ!
女神の加護(愛欲)という部分をタップすると説明文が出てきた。
まず、向けられる好意を増幅させやすくなっているらしい。
好感度が上がりやすければ『そういうこと』に持ち込みやすいもんね、うん。
そして性感レベルが上がりやすい、と。
これは主従契約を結んだ相手にも適応されるらしい。
なるほどー。
そして最後は主従契約。
これをタップするとエイルさんと玉藻さんのステータス画面が出てきた。
わたしのと同じだったし、書類で確認したのと同じだった。
小難しくなくていいね。
そこまで確認をして、満足気に息を吐けばエイルさんがニヤニヤとしながらあたしを見ていた。
「どうしました?」
「ねぇん、主様ぁ。わたしお願いがあるんだけどぉ……」
物凄く猫なで声で、しかもあたしに体を擦り付けてくるエイルさんに嫌な予感しかしない。
玉藻さんも奇異なものを見る目でエイルさんを見ている。
胸を押し付けられてその柔らかさにドギマギするんですが。
ちょっと引き攣った笑みを浮かべながらエイルさんに顔を向ける。
「な、なんでしょうか……?」
「あのね……?」
「ゴニョゴニョゴニョゴニョ……」
「えっ?」
「ゴニョゴニョ……」
「育てる?」
「ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
あたしの耳元に顔を寄せてそっと囁かれた言葉に、あたしは真っ赤になってしまった。
「えぇ……でも……」
「お願ぁい、主様ぁ」
「な、なんでそれがいるのか聞いても……?」
「興味があるから」
そこだけは猫なで声もなく、スパッと言い切ったエイルさんに賞賛の拍手を送り……ません!
そして漸くあたしは気付いた。
テ ン タ ク ル っ て そ う い う も の だ っ た の か !
エイルさんがキラッキラした目であたしを見てくるし、玉藻さんも何となく察したのかなんとも言えない顔をしていた。
本当なら出したくない。
でもエイルさんが欲しいならあげてもいいと思う。
そしてぶっちゃけていいかな。
あ た し も ち ょ っ と 興 味 あ る !
葛藤に葛藤を重ね、危ない使い方はしないことと、あたしや玉藻さんがそれについて質問した時は隠し事なく答えるというお願いをして、スマホを弄る。
カテゴリは勿論『閨事』。
「あ、補助のところよぉ」
迷っていたあたしにしっかり指示するエイルさん。
覚えてるんですね。
『補助器具』をタップしてスライドさせながら探せばあったよ、『テンタクルの卵』。
その下には『孵化装置』。
あああ……。
こうして『テンタクルの卵』と『孵化装置』が1つずつ、エイルさんの所にお嫁に行きました。
その空気のまま、2人が必要だというものを買いに歩く。
といっても基本的なものは自分達で持っているらしいので、消費アイテムをいくつか買うだけでいいらしい。
後は街をぶらついてみよう、とエイルさんの提案で3人で街を歩くことに。
本音を言えば、この空気のまま部屋には戻りにくいからありがたい提案だった。
でも玉藻さん……下着屋さんで怒ってた以外あんま喋らないんだよね……。
御機嫌取り、じゃないけど何かあげるべきかな……。
「あ、主様ぁ、ここ入りましょ」
「はへ?あ、うん」
うんうん唸っていたらエイルさんに声をかけられ慌てて顔を上げる。
そこにあったのは三階建ての本屋さん。
少し古びた感じがするから、もしかしたら古書店なのかも?
入り口から道を作るように左右に真っ直ぐ本棚があって、奥にはレジカウンターがある。
その本棚には一般大衆向けらしき本が並べられているらしい。
本棚は天井までを埋めるように聳えていて、天井に灯りが等間隔で並んでいる。
日光は入ってこないけれど、灯りで暗さを感じることはない。
エイルさんはそれらには目もくれず、レジカウンターへ真っ直ぐ歩いていく。
レジカウンターの前で足を止め、上を見上げると吹き抜けになっていた。
天井からは大きなシャンデリアがぶら下がっていて、とても明るい。
そして壁1面に本、本、本。
膨大な量の本が壁面いっぱいに並べられていた。
「司書妖精、いるかしら?」
《はいはぁい。いらっしゃーい》
なんと、妖精さんの登場。
手の平サイズで小さな4枚の羽がパタパタしてて、すっごく可愛い。
黄色っぽい髪にエイルさんみたいな格好をしている。
エイルさんは裾を擦ってるんじゃないかってぐらい長いけど、妖精さんはミニだった。
ミニスカだ。
見た感じじゃあ性別の判断は出来ないけど、可愛い。
「テンタクルに関する書物を見せて欲しいの。あ、主様は欲しい書物あるかしら?」
エイルさんの注文に玉藻さんがぎょっとしていたけれど、どうしたんだろう。
まあ、後で聞けばいいか。
それより、わたしも本読もうかな。
でも、あまり堅苦しいものは好きじゃないし……。
「わたしはあっちの本棚から見繕ってくることにします。玉藻さんも欲しい本あったら、エイルさんと一緒に用意しておいてくださいね」
入り口から伸びる本棚を指差して2人を窺うとエイルさんはにっこり微笑んでくれた。
玉藻さんは何か言いたそうにしてるんだけど、口を閉ざして1つ頷いて終わった。
一体なんなんだろうか。
まさかテンタなんとかは危ないものなのか?
でも危ないものだったら玉藻さんもエイルさんを止めるだろうし、怒るんじゃないだろうか。
そうなると、びっくりはするけど止める程のものじゃないって思って良さそうだ。
わたしは2人から離れて本棚を見上げる。
本はカテゴリ分けされているみたいで、まずはカテゴリの確認をしてみる。
歴史、教育、医術、種族、暮らし、魔術、児童書、奴隷、冒険、生態と大まかに分けられているみたいだけど、興味を引くカテゴリがある。
ファンタジーな単語を見るとちょっとワクワクする。
危ないことはしたくないけれど、読むだけならOKだよね。
ファンタジーな部分は娯楽として楽しむだけにしておかないと、死んでしまうと思うし。
い の ち だ い じ に
うん、家訓にしよう。
さて、とりあえずわたしに必要なものを探そう。
まずは奴隷について載ってる本を物色する。
背表紙を見てアタリをつけ、パラパラと中身を簡単に確認する。
お金はあるから吟味しなくていいって楽だ。
散財癖がついちゃったら、もしかして、だけど元の世界に戻った時に苦労するかもしれない。
まあ流石にわたしに飽きたとかって女神様が思っても、還されることはないだろうけど。
そうして奴隷関係の本を数冊、魔術に関する本を数冊、種族事典を1冊買うことに決めた。
レジカウンターに戻れば、カウンターにはエイルさんと玉藻さんが選んだ本が積まれていた。
「遅くなっちゃってごめんなさい」
「いいのよ、気にしないで」
優しい気遣いに胸がほっこりする。
エイルさんってたまに残念だけど優しいんだよなー。
気遣いもさり気なくて、わたしのことを考えてくれてるってよくわかる。
主従関係が結ばれているし、出会って間もないから全部が善意だとは思えないけれど、もっと仲良くなって友達になれたら嬉しいかも。
玉藻さんは……まだわからないことばっかだから、少しずつでも仲良くなれたらいいんだけど……。
カウンターに積まれた本にわたしの持っていた本を足して会計を済ませる。
会計が終われば玉藻さんが腕輪に本を仕舞い、本屋さんから外に出る。
空は赤く染まり始めていて、ぽつぽつと灯りが灯っていた。
「そろそろ帰りましょうか」
「そうですね」
「じゃあこっちよぉ」
エイルさんに手を引かれ、わたし達はゆっくりと宿屋へ帰る。
宿屋に着く頃には周りは薄暗くなっていて、街灯やお店の明かりが道を照らしていた。
~~~~~~~~~~~
夕食は3人分頼んで部屋で食べることにした。
食堂だと2人がまた席に着かなそうだと思ったから。
向こうじゃ一人暮らしだったから、こうして一緒に食べてくれる人がいると嬉しいし楽しい。
会話を交えながら食事を終えると、買ったものの仕分け作業に入る。
片付けられたテーブルの上やソファーにどっさどさ置いていかれる荷物の量に、ちょっと書い過ぎた感が否めない。
そして思う。
小 分 け 用 の 箱 買 え ば 良 か っ た 。
服はまだしも、化粧品や下着等の細かいものを纏めておけるものがない。
おかげで買った下着が並べられている辺りに玉藻さんが一切視線を向けない。
すすーっと移動して下着をなるべく小さく纏めると、それをソファーの奥の方に押しやって隠すようにその前に座る。
わたしという目隠しで我慢してください……!
そんなわたしの行動を見てエイルさんはクスクス笑ってるし、そんなエイルさんを頬を赤くした玉藻さんが物凄く怖い顔で睨んでいる。
エイルさん楽しんでるなこれ……!
そう思いはするけれど、それを言ったらエイルさんと玉藻さんが口論を始めそうなので黙って仕分け作業を続ける。
やっぱりわたしのものが1番多いんだよね。
主寝室に備え付けられたクローゼットにエイルさんの手を借りて全てを仕舞う。
化粧品類もドレッサーに置いておけば、後は本やその他の雑貨類だけがテーブルに残った。
「ふぅ……結構な量がありましたねー」
「そうね。でも女の子って色々必要なものって多くなっちゃうわよねぇ」
「ああー、ありますねぇ」
エイルさんと笑って頷き合い、テーブルに残されていた本の側に移動する。
どうやらわたしとエイルさんがクローゼットに仕舞っている間に、玉藻さんが分類しておいてくれたらしい。
玉藻さんにありがとう、と声を掛けてから左手で本に触れ、アイテムボックスへと仕舞う。
全ての本をアイテムボックスに仕舞うとソファーに腰掛けてスマホを取り出す。
スマホにはいくつかのアイコンがある。
まずはアイテムボックス。
左手の指輪と連動していて、指輪に魔力を流しながら物に触れて念じれば仕舞うことが出来る。
取り出す時はスマホをタップするか、アイテムを思い浮かべて念じるかのどちらかだ。
仕舞われたアイテム名をタップすると、アイテムの説明画面が出る。
左上にはアイテムの画像があって、見た目がわかる。
右側には簡単な説明文があり、その下には取り出すボタン。
そして画像の下にはメモがある。
ちょっとしたメモをそこに書いておけるみたいだ。
そしてステータス画面。
トイレのマークみたいなアイコンがそれだ。
それをタップすればわたしのステータスが出てくる。
☆サツキ・シターラ
☆15
☆10/25
☆所持金MAX(固定)
☆錬金術師
☆女神の加護(愛欲)
☆主従契約
と、このような画面になった。
所持金がいくらまでなのかはわからないが、マックスで固定されているのがわかる。
これで老後も安泰だね!
この世界に職業があるのかはわからないが、これを見るとわたしは錬金術師という職業になるのだろう。
わたしがこれから作るであろう色々なアイテム……売れたりするのかな?
楽しいことは皆と分かり合いたいよね!くふっ!
女神の加護(愛欲)という部分をタップすると説明文が出てきた。
まず、向けられる好意を増幅させやすくなっているらしい。
好感度が上がりやすければ『そういうこと』に持ち込みやすいもんね、うん。
そして性感レベルが上がりやすい、と。
これは主従契約を結んだ相手にも適応されるらしい。
なるほどー。
そして最後は主従契約。
これをタップするとエイルさんと玉藻さんのステータス画面が出てきた。
わたしのと同じだったし、書類で確認したのと同じだった。
小難しくなくていいね。
そこまで確認をして、満足気に息を吐けばエイルさんがニヤニヤとしながらあたしを見ていた。
「どうしました?」
「ねぇん、主様ぁ。わたしお願いがあるんだけどぉ……」
物凄く猫なで声で、しかもあたしに体を擦り付けてくるエイルさんに嫌な予感しかしない。
玉藻さんも奇異なものを見る目でエイルさんを見ている。
胸を押し付けられてその柔らかさにドギマギするんですが。
ちょっと引き攣った笑みを浮かべながらエイルさんに顔を向ける。
「な、なんでしょうか……?」
「あのね……?」
「ゴニョゴニョゴニョゴニョ……」
「えっ?」
「ゴニョゴニョ……」
「育てる?」
「ゴニョゴニョゴニョゴニョ」
あたしの耳元に顔を寄せてそっと囁かれた言葉に、あたしは真っ赤になってしまった。
「えぇ……でも……」
「お願ぁい、主様ぁ」
「な、なんでそれがいるのか聞いても……?」
「興味があるから」
そこだけは猫なで声もなく、スパッと言い切ったエイルさんに賞賛の拍手を送り……ません!
そして漸くあたしは気付いた。
テ ン タ ク ル っ て そ う い う も の だ っ た の か !
エイルさんがキラッキラした目であたしを見てくるし、玉藻さんも何となく察したのかなんとも言えない顔をしていた。
本当なら出したくない。
でもエイルさんが欲しいならあげてもいいと思う。
そしてぶっちゃけていいかな。
あ た し も ち ょ っ と 興 味 あ る !
葛藤に葛藤を重ね、危ない使い方はしないことと、あたしや玉藻さんがそれについて質問した時は隠し事なく答えるというお願いをして、スマホを弄る。
カテゴリは勿論『閨事』。
「あ、補助のところよぉ」
迷っていたあたしにしっかり指示するエイルさん。
覚えてるんですね。
『補助器具』をタップしてスライドさせながら探せばあったよ、『テンタクルの卵』。
その下には『孵化装置』。
あああ……。
こうして『テンタクルの卵』と『孵化装置』が1つずつ、エイルさんの所にお嫁に行きました。
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