奴隷とイッショ!~愛欲の加護~

冬生羚那

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No.4

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 エイルさんと玉藻さんの目の前に表示されているアイテム一覧に、わたしのライフはもう0よぉぉぉお!
 まず、閨事カテゴリの中は更にカテゴリ分けされていた。
『バイブ』『ローター』『ディルド』『アナル』『ラブサプリ』『補助器具』『SM』『ランジェリー』『コスプレ』『ローション』

 も う や だ !

 恥ずかしすぎて全身あっついし汗かいてきた!
 指どころか全身ぷるぷるしちゃうわ!!
 こんなにスクロールしたくないのは初めてだよ!
 言っとくよ!?

 わ た し 処 女 だ か ら ! !

 わ た し は 処 女 だ か ら ! ! 

 大事な事なので2回……って何を大声で言わせんじゃぁああぁぁぁああああ!!(脳内でだけど!)
 2人の顔を見ることは出来なかった。
 もう俯いて、画面も詳しくは見れなかったよ。
 ただ、それぞれの数はそこまで多くないっぽいのが救いだよね……。
 エイルさんの指示で画面を触る時にちらっとだけ見て、すぐ目を逸らしましたとも!

「ひゃあー……」
「……」
「はわわ、こんなモノまで……」
「……」

 この閨事カテゴリの中身は、女神様が用意出来た幾つかのそういうアイテムが入っているのですが……こんなに注目されてる中でまじまじとは確認出来ません!
 注目って言っても主にエイルさんだけですけどね。

「きゃぁー」
「……」
「いやぁん!」
「……」

 エイルさんは1人で悶えておられます。
 説明文もないのに、アイテム名だけで……わかるンスか……?
 玉藻さんはわたしと一緒に無言なんですけど!!
 意を決して様子を窺おうとそーっと玉藻さんに目を向けてみる。
 うん、無表情。
 微動だにしてないよ玉藻さん。
 何を考えているんだろうと玉藻さんを見つめていたらバチッと目が合った。
 その瞬間、玉藻さんはビクッと身体を跳ねさせて、首まで真っ赤になると勢いよくそっぽを向かれました。

 ほ ん と す い ま せ ん !

 わたしもいたたまれないんですぅぅうううぅぅうう!
 テンション高いのはエイルさんだけで、わたしと玉藻さんはエイルさんが満足するまで無言でした。
 ……でも、この先このカテゴリをわたしが充実させていくことになるんだよね。
 うん、言わないでおこう、そうしよう。




 ~~~~~~~~~~~~~~~

 羞恥プレイで疲れ切った身体をおして宿屋の1階へと移動したわたし達は、ゆっくりと食事をすることに。
 顔を合わせてくれない玉藻さんにエスコートされて席に着くけど、エイルさんも玉藻さんもわたしの後ろに立ち席に着く素振りを見せない。

「あの、2人も一緒に」
「我らはここで」
「えっ」

 後ろを振り向き声をかけるけれど、玉藻さんはそっぽを向いたままで座ってくれる様子はない。
 不思議に思って首を傾げていると、エイルさんがわたしの耳元に唇を寄せると小さな声で教えてくれた。

「奴隷は主と同じ席に着かないのよ」

 なるほど。
 落ち着かない。
 どうしたら一緒にご飯してくれるかな……。
 あ、そうだ。
 背を伸ばし微笑んで立つエイルさんを手招きしてみる。
 すると再びエイルさんがわたしに顔を近付けてくれたので、口元を手で隠しながら耳元で囁く。

「この後買い物も行きたいんです。場所の確認にあれも使うかもしれないし、出来たら2人共席に着いてください」

 そう言えばエイルさんは仕方ないな、という風に微笑んで玉藻さんに耳打ちする。
 玉藻さんも小さく苦笑いをしながら1度わたしに向かって頭を下げた。
 それに倣ってエイルさんも頭を下げると2人で失礼します、と言って席に着いてくれた。
 やったね!

「じゃあ何を頼みましょうか」
「我らのことは気にせずに。主のものは何を頼みましょう?」
「うーん……」

 テーブルの上にあったメニュー表を開いて悩む。
『なんとか鳥のサラダ』、みたいなのだったら鳥の料理かー、って思えるんだけど、名称だけのものはどんな材料なのかさっぱりわからなかった。
 カルパッチョとか書かれているのなら……大丈夫かなぁ?
『ベルベローナの夜明け前~ケラッチェを添えて~』とか一切想像出来ないよ。
 なんだよこれ。
 …………よし。

「メニュー見てもわからないんで、何か適当に頼んでください。わたしはさっぱりしたもので、お2人の分を忘れずに。この後歩くことになりますからしっかり食べてくださいね」

 玉藻さんにそう言ってメニューを差し出せば、エイルさんと幾つかを注文してくれた。
 いやぁ、助かるわー。

「それで主様?一体何を買いに行くのかしら?」
「わたしこの服しか持ってないんで、着替えとか色々欲しいんです。後はお2人が必要だと思うものを買いたいな、と」
「わかりました」
「うふふ、お店は任せて」

 部屋での何ともいえない空気とは一変して、とても和やかに昼食を食べることが出来た。
 選んでくれた食事は魚を使った料理でとても美味しかった。
 ただ、お米じゃなくてパンでした。
 夜はお米食べたいな。
 あるのかな?
 スマホで行く予定のお店を簡単に確認してさっさと仕舞う。
 長時間出しておくと見られちゃうしね。

 食後のコーヒーを終えて、出入り口に立つ護衛さんに頭を下げて宿屋を後にする。
 道を行き交う人々は楽しそうで、なんだかワクワクしてきた。
 玉藻さんはいつの間にか腰に刀を下げていてびっくりしたけど。
 色々な人を見ていると、胸当てをしていたり、鎧姿だったりと戦う人ですーって主張している人が結構いた。
 そしてもふもふさん。
 いいな。
 もふもふしたい。

「主様ぁ、離れちゃダメよ」
「あ、ごめんなさい」
「もう、そんな悪い主様はこうしちゃう」

 語尾にハートマークでもついてるんじゃないかって勘違いしそうな声でエイルさんが笑っていて、わたしの手を掴んだ。
 行き交う人々に夢中になってて歩くことが疎かになっていたらしい。
 そうしてエイルさんに手を引かれて歩くことになっていた。
 エイルさんの手柔らかい!

 大人しくエイルさんに手を引かれてお店を幾つも巡る。
 玉藻さんはそんなわたし達の後ろを黙ってついてきている。
 洋服屋さんではわたしはエイルさんと店員さんの着せ替え人形になり、沢山の服を着ることに。
 面白いのが、洋服もあれば和服もあり、中国風の服もあった。
 そしてエイルさんが着ているような巻衣型のものもあった。
 両肩を留め具で留めて、胴を紐で結ぶらしい。
 神話の神様のあのぴらぴらしたのを思い出してもらえたらわかりやすいかな?
 可愛い可愛いと褒め殺しにあい、色んな種類の服を買うことがわたしの知らない所で決定していた。
 金額については心配しなくていいと言ったせいか、エイルさんが買い物好きなせいかはわからないけれど、思った以上の買い物になってしまった。
 山のような服をどうしようかと思っていたけど、エイルさんがその全てを腕輪に仕舞って結局手ぶらでお店を出ることになった。
 しまった、わたしがぼけーっとしてる間にすっかり終わってしまったじゃないか。
 気をつけないとな……。
 頼りない主とか言われたら泣く!

 下着屋さんではエイルさんが所在なさげにしている玉藻さんにしつこく色や形を聞き、真っ赤になった玉藻さんに怒られていた。
 わたしも真っ赤になったよ。
 聞くのはいいよ、玉藻さんをからかうのも楽しいのわかるよ。
 堅物そうな人で遊ぶのって楽しいのちょっとわかるからさ。
 でもさ?

 そ れ 使 う の わ た し じ ゃ ね ?

 エイルさんは玉藻さんで遊ぶのが楽しいらしく、わたしそっちのけで色んな下着を玉藻さんに突き付けていた。
 その隙に店員さんに声をかけて、無難な下着を何枚か見繕ってもらう。
 ブラジャーというものは存在しないらしい。
 その代わり胸布というものになり、三角形の布が2つ繋がっている。
 その三角形のそれぞれの頂点に紐がついていて、ホックの代わりにその紐を背中と首の後ろで結ぶものらしい。
 これビキニと変わらなくね?
 名称が違うだけで不便を感じないのは凄く助かる。
 ブラジャーしてないと……垂れそうじゃない?
 ……一応あるからね?
 エイルさん程じゃないけど、自分の手の分はあるから。
 程よくあるったらある!
 それに今のわたしは成長途中だ。
 今にでっかくなってやるんだから……!
 そうして店員さんが見繕ってくれた下着を買おうとしたら、後ろからエイルさんが顔を覗かせた。

「主様、それじゃ可愛さが足りないわ!」
「いや別に可愛さは……」
「これとこれも追加して。あ、こっちもね」

 わたしの言葉を聞かずエイルさんが何枚か足していく。
 うん、布地が薄かったり面積が小さかったりするんですけども。
 有無を言わさないエイルさんの満面の笑みに仕方なくそのまま会計を済ませる。
 それらの布は再びエイルさんのアイテムボックスに仕舞われた。
 着るとは言ってないけどいいよね。

 疲れた表情の玉藻さんを連れて次に向かったのは雑貨屋さん。
 ぐるりとお店を見て回る。
 可愛い小物とかあったけれど、流石に宿屋暮らしじゃあ必要ないな、と諦めた。
 エイルさんと化粧品や手入れ用品を吟味してエイルさんの持つ籠の中に入れていく。
 前じゃあ安いブラシを使ってたけど、エイルさんに押されて高級ブラシを選んだりしたよ。
 お金があるっていいね!
 女神様のお力でわたしの所持金はいつでも最大MAXです!

 そうして買い物をしながらふと思う。
 家欲しいよね。
 いつまでも宿屋暮らし出来ない。
 お金的には出来るけれど、どうせなら落ち着いて暮らせる家が欲しい。
 そういえばこの街ってどれぐらいの大きさなんだろう。

「休憩しましょうかー」

 雑貨屋さんでの買い物を終え、屋台で飲み物を買ってベンチに腰掛ける。
 勿論2人にも座ってもらった。
 そして家が欲しいことを2人に告げた。

「そうね、家はあっても困らないんじゃないかしら」
「でも、この街ってどれぐらいの大きさなんですかね?ここに永住するのはどうなんでしょう」
「この街は小さくないですし、交易が盛んですから不便はないと思いますが」
「わたし的にファンタジーも堪能したいんですよね。他の国?も気になるし」
「なるほど……他の国に旅をしてみるのもいいかもしれませんね」

 ジュースを飲みながらこれからに胸を踊らせる。
 旅……楽しそうだよね。
 あ、でも戦えるのって玉藻さんだけだ。
 野犬とかって集団行動してるんじゃなかったっけ?
 でもそういえば2人はどうして奴隷になったんだろう。

「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」
「あら、何かしら?」
「答えにくかったら別にいいんですが…………どうして2人は奴隷になったんですか?」

 おずおずと聞いてみればエイルさんはああ、と小さく声をあげ、玉藻さんは目に見えて固まってしまっていた。
 しまった、やっぱり聞いちゃいけないことだったか。

「あの、別にホント別に答えなくても……疑問に思っちゃっただけなんで……あの……すいません……」
「わたしはただ自分の知識欲の為ね。商会は普通にしていれば保障もあるし、雇ってくれた人が所有する本とかも読めるんじゃないかなーって、それだけ」
「そういえば、奴隷って辞めること出来るんですか?」
「そうね、辞めることは出来るわ。ただ、それにはある場所に必要なアイテムを持っていかないとダメなのよ」
「へぇー、じゃあその必要なアイテムを用意しないとだなぁ」
「あら、主様はわたし達が必要ないのかしら?」
「えっ!?いや、そういうんじゃなくて、奴隷を辞めたいってなった時に渡せたらなーって思って」
「ふふ、主様は優しいのね」

 エイルさんがわたしの頭を優しく撫でてくれるけれど、玉藻さんは黙ったまま考え込んでしまっていた。
 なんかごめんなさい。
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