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変わる関係
慌ただしく過ぎる日々
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御主人様達の求婚を受けてから、慌ただしく日々が過ぎて行った──。
まずはわたしの市民権を獲得することになった。
書類は御主人様達が用意してくれたので、後は書くだけだったんだけど……文字が読めない書けないと来た。
別に御主人様達が書いてくれれば問題はないんだけれど、わたしとしてはビックリしたというか、ショックだったというか……。
文字が読めない書けないって不便だし、ちょっと背伸びをするなら将来御主人様達のお仕事を手伝えたらな、とか考えてたからね。
日本語に関しては問題なかったし、今言葉で意思疎通出来てるから気付かなかったことだ。
書類を前に固まったわたしを見て御主人様達は笑ってた。
無理はしなくていいよ、と頭を撫でてくれたけれど、わたしが出来ることは増やしておきたい。
市民権に関する書類に記入するのは御主人様達に御願いしたけれど、自分で文字を読み書き出来るように練習しようと思った。
御主人様達にそう言えば教本やノートや羽ペンと色々準備してくれて、1人の時間は自習出来るようになった。
そしてそんなわたしにちゃんとメイドをつけよう、という話になったのだけれど、新しい人よりはジェイさんがいいな、と零したら次の日にはジェイさんがわたし付きのメイドになっていた。
ジェイさんは奴隷メイドという立場だからか、少し渋っていたらしい。
でも御主人様達との話し合いの結果、お給料を渡すことで、いずれ市民権を得るという話になったらしい。
それを聞いてわたしも働くべき、と声を上げたら何故か3人に却下されてしまった。
早く市民権をと言う御主人様達ならまだわかるけれど、何故ジェイさんに反対されたのだろうか……。
聞いてみてもにっこり微笑まれるだけで答えてくれなかったので、真意はわからないままだ。
まあ、ジェイさんが納得してるならいいんだけれど。
ジェイさんは暫く覚えることが多くて大変だ、と御主人様達に言われても大丈夫だと請け負ってくれた。
我が儘言ってごめんね、ジェイさん。
ジェイさんが仕事出来るようになるまでは、御主人様達のメイドさん達が色々世話をしてくれることにもなった。
ジェイさんへの仕事の指導もしてくれるからだ。
そしてそれにわたしも慣れる為に、今まで以上に南館に移動することが増えるらしい。
いずれ南館にわたしの部屋が出来るから、それまでは毎日南館と北館を行ったり来たりすることになるんだって。
ただ、今はジェイさんと御主人様達のメイドさんがいるからいいけれど、将来は身の回りの世話を出来るメイドさんを増やす話も出ている。
髪を結ったりお化粧したり、そういうことが得意なメイドさんが必要なんだって。
わたしとしては今まで通りでもいいんだけどね。
外に出る時に困るだろう、と御主人様達のメイドさんが言ってました。
それにしても外出する時まで自分のことは自分でしない、とか、どこのお貴族様だろうか、と内心苦笑していたら夜会などの外出する時の話だった。
御主人様達は商売人だから、貴族が開く夜会とかにも出ているんだって。
そういう時の着飾り方とか化粧の仕方とか、そういうことが得意な人をいずれ付けようって話だった。
それはうん、いずれ必要ですね。
そして少し話が出ていたけれど、南館にわたしの部屋を作ることにもなっていた。
一般市民になるし、御主人様達の、お、お嫁さんになるのにいつまでも北館に部屋があるのは問題だと御主人様達のメイドさんが鼻息荒く言ってた。
それに御主人様達はきりっとした顔で頷き、わたしの部屋の話のはずが、わたしそっちのけで話が進んでいた。
いや、色とか好みの調度品の話とかはわたしの意見も聞いてくれたし、内装とか全然わからないからいいんだけどね?
問題は真面目な話し合いの最中も、わたしは御主人様達の間に挟まれていて、さわさわなでなでと触られていること。
メイドさん達が微笑ましそうに目を細めているのが、物凄くいたたまれなかったです。
止めても聞いてくれないから避けたら悲しい顔されるし、ダメって言うと悲しい顔されるし、最後の方には諦めが入ってたってことは否めない。
そして、元性奴隷が御主人様達の嫁になることに何か……そう、はっきり言ってしまえば不快感とか嫌悪感を顕にされるかと構えていたら、そんなことはなくて、肩透かしを喰らった気分になった。
むしろ良かったですねお坊ちゃま!って感じで喜ばれてしまって逆にこう……そわそわしてしまった。
ガッカリされないようにこれから頑張るけどね!
受け入れてもらえたことは嬉しいし。
そして急ピッチで行われたのが、採寸と生地選びだった。
花嫁衣裳のね。
お針子さんが屋敷にやってきたと思ったら、メイドさんやジェイさんにすぽーんと服を脱がされあれやこれやと採寸され、その後は膝を突き合わせてあの生地がこの生地がと意見が飛び交うことになった。
何故か下着の話も出てたんだけどね。
手持ちでダメなのか、と聞いたら凄い勢いでシルエットに影響がどうとか、御主人様達の趣味がどうとか言い募られて……もう『あ、はいすいません』としか言えなかった。
わたしの衣装のはずなんだけど、ちょっと口を挟むに挟めなかったです。
式自体はこじんまりとしたもので行うらしい。
わたしには家族がいないっていうことが、奴隷商の所に残ってた書類に書いてあると言われた。
奴隷術の解除に奴隷商人が屋敷に来て、その書類を見せてくれた。
勿論文字は読めないので、御主人様が読んでくれた。
家族のこととか奴隷術に関しては問題なく進み、わたしは晴れて一般市民になることが出来た。
式に向かって周りがバタバタする中で、1人考えるのは御主人様達の家族についてだ。
元性奴隷が御主人様達の嫁になることに、何て言ってくるだろうか、と不安になる。
メイドさんや執事さんは喜んでくれたけど、家族はまた別物だろうと思うからね。
御家族に結婚すると報告したらお姉さんとお祖父さんが来ると言ってたらしいし。
……どうなるかな……。
まずはわたしの市民権を獲得することになった。
書類は御主人様達が用意してくれたので、後は書くだけだったんだけど……文字が読めない書けないと来た。
別に御主人様達が書いてくれれば問題はないんだけれど、わたしとしてはビックリしたというか、ショックだったというか……。
文字が読めない書けないって不便だし、ちょっと背伸びをするなら将来御主人様達のお仕事を手伝えたらな、とか考えてたからね。
日本語に関しては問題なかったし、今言葉で意思疎通出来てるから気付かなかったことだ。
書類を前に固まったわたしを見て御主人様達は笑ってた。
無理はしなくていいよ、と頭を撫でてくれたけれど、わたしが出来ることは増やしておきたい。
市民権に関する書類に記入するのは御主人様達に御願いしたけれど、自分で文字を読み書き出来るように練習しようと思った。
御主人様達にそう言えば教本やノートや羽ペンと色々準備してくれて、1人の時間は自習出来るようになった。
そしてそんなわたしにちゃんとメイドをつけよう、という話になったのだけれど、新しい人よりはジェイさんがいいな、と零したら次の日にはジェイさんがわたし付きのメイドになっていた。
ジェイさんは奴隷メイドという立場だからか、少し渋っていたらしい。
でも御主人様達との話し合いの結果、お給料を渡すことで、いずれ市民権を得るという話になったらしい。
それを聞いてわたしも働くべき、と声を上げたら何故か3人に却下されてしまった。
早く市民権をと言う御主人様達ならまだわかるけれど、何故ジェイさんに反対されたのだろうか……。
聞いてみてもにっこり微笑まれるだけで答えてくれなかったので、真意はわからないままだ。
まあ、ジェイさんが納得してるならいいんだけれど。
ジェイさんは暫く覚えることが多くて大変だ、と御主人様達に言われても大丈夫だと請け負ってくれた。
我が儘言ってごめんね、ジェイさん。
ジェイさんが仕事出来るようになるまでは、御主人様達のメイドさん達が色々世話をしてくれることにもなった。
ジェイさんへの仕事の指導もしてくれるからだ。
そしてそれにわたしも慣れる為に、今まで以上に南館に移動することが増えるらしい。
いずれ南館にわたしの部屋が出来るから、それまでは毎日南館と北館を行ったり来たりすることになるんだって。
ただ、今はジェイさんと御主人様達のメイドさんがいるからいいけれど、将来は身の回りの世話を出来るメイドさんを増やす話も出ている。
髪を結ったりお化粧したり、そういうことが得意なメイドさんが必要なんだって。
わたしとしては今まで通りでもいいんだけどね。
外に出る時に困るだろう、と御主人様達のメイドさんが言ってました。
それにしても外出する時まで自分のことは自分でしない、とか、どこのお貴族様だろうか、と内心苦笑していたら夜会などの外出する時の話だった。
御主人様達は商売人だから、貴族が開く夜会とかにも出ているんだって。
そういう時の着飾り方とか化粧の仕方とか、そういうことが得意な人をいずれ付けようって話だった。
それはうん、いずれ必要ですね。
そして少し話が出ていたけれど、南館にわたしの部屋を作ることにもなっていた。
一般市民になるし、御主人様達の、お、お嫁さんになるのにいつまでも北館に部屋があるのは問題だと御主人様達のメイドさんが鼻息荒く言ってた。
それに御主人様達はきりっとした顔で頷き、わたしの部屋の話のはずが、わたしそっちのけで話が進んでいた。
いや、色とか好みの調度品の話とかはわたしの意見も聞いてくれたし、内装とか全然わからないからいいんだけどね?
問題は真面目な話し合いの最中も、わたしは御主人様達の間に挟まれていて、さわさわなでなでと触られていること。
メイドさん達が微笑ましそうに目を細めているのが、物凄くいたたまれなかったです。
止めても聞いてくれないから避けたら悲しい顔されるし、ダメって言うと悲しい顔されるし、最後の方には諦めが入ってたってことは否めない。
そして、元性奴隷が御主人様達の嫁になることに何か……そう、はっきり言ってしまえば不快感とか嫌悪感を顕にされるかと構えていたら、そんなことはなくて、肩透かしを喰らった気分になった。
むしろ良かったですねお坊ちゃま!って感じで喜ばれてしまって逆にこう……そわそわしてしまった。
ガッカリされないようにこれから頑張るけどね!
受け入れてもらえたことは嬉しいし。
そして急ピッチで行われたのが、採寸と生地選びだった。
花嫁衣裳のね。
お針子さんが屋敷にやってきたと思ったら、メイドさんやジェイさんにすぽーんと服を脱がされあれやこれやと採寸され、その後は膝を突き合わせてあの生地がこの生地がと意見が飛び交うことになった。
何故か下着の話も出てたんだけどね。
手持ちでダメなのか、と聞いたら凄い勢いでシルエットに影響がどうとか、御主人様達の趣味がどうとか言い募られて……もう『あ、はいすいません』としか言えなかった。
わたしの衣装のはずなんだけど、ちょっと口を挟むに挟めなかったです。
式自体はこじんまりとしたもので行うらしい。
わたしには家族がいないっていうことが、奴隷商の所に残ってた書類に書いてあると言われた。
奴隷術の解除に奴隷商人が屋敷に来て、その書類を見せてくれた。
勿論文字は読めないので、御主人様が読んでくれた。
家族のこととか奴隷術に関しては問題なく進み、わたしは晴れて一般市民になることが出来た。
式に向かって周りがバタバタする中で、1人考えるのは御主人様達の家族についてだ。
元性奴隷が御主人様達の嫁になることに、何て言ってくるだろうか、と不安になる。
メイドさんや執事さんは喜んでくれたけど、家族はまた別物だろうと思うからね。
御家族に結婚すると報告したらお姉さんとお祖父さんが来ると言ってたらしいし。
……どうなるかな……。
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