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変化?
葛藤と怒りと決定
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──シーナが他の男を受け入れた──
それは僕にも、ステフにも多大な衝撃を与えた……。
「ステフはどういうつもりなの?」
シーナに他の男の痕跡なんて一切残さない。
そんなつもりでステフと一緒にシーナを抱き潰した次の日、僕はステフを問い詰めている。
ローテーブルを挟んで向かい合う僕達の間には、珍しく剣呑な空気が漂っている。
昔から大した喧嘩はしたことがない僕達だけれど、今回の件は許し難い。
「……シーナが、拒否すればいいと思った」
「馬鹿なの?『性奴隷』であるシーナが拒否?それも『僕達の友人』だと言ってる人間を前に?」
ステフは自分の手を握り締めて俯いている。
厳しい顔付きで、奥歯を噛み締めているその顔に、後悔に苛まれているのも、わかる。
だけど僕の口は止まらない。
「アイツが相手じゃなくても主人であるステフが許可を出せば、性奴隷であるシーナに拒否権なんてないのはわかってるでしょ?性奴隷は主人に従うしかない。そうでしょ?」
「……ああ……」
「そんな性奴隷に何を期待したの?」
キツい言い方になってしまうのも止められない。
ステフの言う『拒否してほしかった』という気持ちもわかる。
シーナの意志で僕達以外をはね除けて欲しいという気持ちは。
だけど今回のステフは悪手を選んだ。
僕の問いにステフは唇を噛み締めたまま答えない。
「ステフがする期待は性奴隷相手にするものじゃないよ」
そう……そういう期待は性奴隷以外……一般人相手にするものだ。
「俺は……シーナを性奴隷には、もう見られない……」
項垂れて呟く声に覇気はない。
ステフから視線を外し、テーブルに放置されたままのカップを取り喉を潤す。
僕だってただの性奴隷だなんて思ってない。
シーナにはこれからも僕達の側に居てもらうつもりだ。
……今回のことで、その気持ちは強くなった。
二度とシーナには他の雄を受け入れさせるつもりはない。
だけどアイツに性奴隷として見せてしまった。
自分の都合のいいように言葉を紡ぐアイツが、僕達のいない間にシーナの前に顔を出す可能性もある。
そうしたらきっと性奴隷であるシーナは従わされる言葉を聞かされるだろう。
「じゃあどうするの?……どうしたいの?」
俯いて唇を噛み締めていたステフがゆっくりと顔を上げる。
その目は決意を湛えていて、鋭い。
「シーナを性奴隷から解放する」
馬鹿な兄上だ。
何故その気持ちをもう1日早く持てなかったのか。
性奴隷でなければ、昨日のようなことはなかったに違いないのに。
……僕もか。
シーナが解放されてどうするのか、怖くて言い出せなかった。
逃げられるぐらいなら、このままでもいいと、思っていた。
「うん」
「シーナを娶る」
「父さん達にはなんて説明するつもり?」
「別に詳しく説明しなくともいいだろう?」
「まあね。……ねぇ、兄上?」
「……なんだ」
シーナを娶ると言い切ったステフに擦り寄るように猫なで声を出せば、物凄く訝しげな顔で見られた。
「一夫多妻、一妻多夫が認められてるんだけどぉ?」
この国では甲斐性次第で一夫多妻、一妻多夫が認められている。
そう、ステフがシーナを娶りたいと思うように、僕だってシーナがそういう意味で欲しいのだ。
首を傾げてステフを見つめれば、何故か阿呆を見るような目で見つめ返された。
「それがどうした」
「だからぁ、僕だって……」
「知っている。だからシーナは俺達の嫁にするんだろう?」
ステフの中では僕達3人で一緒になることが決定していたらしい。
一瞬目を丸くするけれど、次いで苦笑いが浮かんだ。
「ちゃんと話し合わないと、また失敗するよ?」
「……気を付ける……」
「まあ、シーナは逃がすつもりはないから、……囲い込む方向でいく?」
「……いや、シーナの意見も聞こう。嫌われてはいないと思うが……」
「わかった。じゃあ話を詰めていこっか」
こうして男2人で額を突き合わせて策を練ることになった。
それは僕にも、ステフにも多大な衝撃を与えた……。
「ステフはどういうつもりなの?」
シーナに他の男の痕跡なんて一切残さない。
そんなつもりでステフと一緒にシーナを抱き潰した次の日、僕はステフを問い詰めている。
ローテーブルを挟んで向かい合う僕達の間には、珍しく剣呑な空気が漂っている。
昔から大した喧嘩はしたことがない僕達だけれど、今回の件は許し難い。
「……シーナが、拒否すればいいと思った」
「馬鹿なの?『性奴隷』であるシーナが拒否?それも『僕達の友人』だと言ってる人間を前に?」
ステフは自分の手を握り締めて俯いている。
厳しい顔付きで、奥歯を噛み締めているその顔に、後悔に苛まれているのも、わかる。
だけど僕の口は止まらない。
「アイツが相手じゃなくても主人であるステフが許可を出せば、性奴隷であるシーナに拒否権なんてないのはわかってるでしょ?性奴隷は主人に従うしかない。そうでしょ?」
「……ああ……」
「そんな性奴隷に何を期待したの?」
キツい言い方になってしまうのも止められない。
ステフの言う『拒否してほしかった』という気持ちもわかる。
シーナの意志で僕達以外をはね除けて欲しいという気持ちは。
だけど今回のステフは悪手を選んだ。
僕の問いにステフは唇を噛み締めたまま答えない。
「ステフがする期待は性奴隷相手にするものじゃないよ」
そう……そういう期待は性奴隷以外……一般人相手にするものだ。
「俺は……シーナを性奴隷には、もう見られない……」
項垂れて呟く声に覇気はない。
ステフから視線を外し、テーブルに放置されたままのカップを取り喉を潤す。
僕だってただの性奴隷だなんて思ってない。
シーナにはこれからも僕達の側に居てもらうつもりだ。
……今回のことで、その気持ちは強くなった。
二度とシーナには他の雄を受け入れさせるつもりはない。
だけどアイツに性奴隷として見せてしまった。
自分の都合のいいように言葉を紡ぐアイツが、僕達のいない間にシーナの前に顔を出す可能性もある。
そうしたらきっと性奴隷であるシーナは従わされる言葉を聞かされるだろう。
「じゃあどうするの?……どうしたいの?」
俯いて唇を噛み締めていたステフがゆっくりと顔を上げる。
その目は決意を湛えていて、鋭い。
「シーナを性奴隷から解放する」
馬鹿な兄上だ。
何故その気持ちをもう1日早く持てなかったのか。
性奴隷でなければ、昨日のようなことはなかったに違いないのに。
……僕もか。
シーナが解放されてどうするのか、怖くて言い出せなかった。
逃げられるぐらいなら、このままでもいいと、思っていた。
「うん」
「シーナを娶る」
「父さん達にはなんて説明するつもり?」
「別に詳しく説明しなくともいいだろう?」
「まあね。……ねぇ、兄上?」
「……なんだ」
シーナを娶ると言い切ったステフに擦り寄るように猫なで声を出せば、物凄く訝しげな顔で見られた。
「一夫多妻、一妻多夫が認められてるんだけどぉ?」
この国では甲斐性次第で一夫多妻、一妻多夫が認められている。
そう、ステフがシーナを娶りたいと思うように、僕だってシーナがそういう意味で欲しいのだ。
首を傾げてステフを見つめれば、何故か阿呆を見るような目で見つめ返された。
「それがどうした」
「だからぁ、僕だって……」
「知っている。だからシーナは俺達の嫁にするんだろう?」
ステフの中では僕達3人で一緒になることが決定していたらしい。
一瞬目を丸くするけれど、次いで苦笑いが浮かんだ。
「ちゃんと話し合わないと、また失敗するよ?」
「……気を付ける……」
「まあ、シーナは逃がすつもりはないから、……囲い込む方向でいく?」
「……いや、シーナの意見も聞こう。嫌われてはいないと思うが……」
「わかった。じゃあ話を詰めていこっか」
こうして男2人で額を突き合わせて策を練ることになった。
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