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新しくなる『わたし』

※※☆気が付けば  (♂×♀)

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「……ん……」

 眠っていた意識がふわりと浮上する。
 身動ぐと物凄く体が重いし、ギシギシする。
 何故だろう……。
 とりあえず、起きないと……。

 重い瞼を持ち上げてぼんやりとする。
 徐々に焦点が合い、部屋の内装が映る。

 わたしの部屋じゃない。
 じゃあ、どこだ……?

 その瞬間、ウィリアム様の事を思い出した。
 あれやこれや、そんなことまで思い出してきた。
 後半は死ぬかと思ったし、ちょっと記憶があやふやだけど、とりあえず思い出した。

 ここは調教部屋だ!

 慌てて起きようと腕をベッドについて力を入れるけれど、まず腕が思った所に置けなかった。
 そして力が入らない。
 横を向いていた身体が、微妙に動き、上半身だけ俯せでまたシーツに沈んだ。

「う、動けない……」

 体に力を入れるとミシリ、と音が聞こえるだけでほとんど動かなくて驚く。
 そして思う。

 ウィリアム様は無茶しすぎではなかろうか!

「ぐぬ……む……」

 呻きながら体にもう一度力を入れるけれど、やっぱり動かない。
 これ、わたし部屋帰れないんですけど……!
 どうしたらいいんだこれ!?
 陸に揚げられた瀕死の魚のように、僅かに蠢く。
 すると力を入れたせいで、蜜壷からこぽりと何かが溢れた。
 肌を伝うそれに身体が小さく震えるけれど、今はそれどころじゃない。
 部屋に戻らなくちゃ。

 どうやら右側が上にあるようだ、よし、右脚頑張れ!

 内心で己を鼓舞し、じりじりと体を動かす。
 通常の何倍もの時間を掛けて、ようやく右膝がベッドについた。

「うぬ……っ」

 次は腕だ、わたしの腕よ、今こそ火事場の馬鹿力を……!

 ぷるぷる震える腕に力を入れて、肘をつこうと試みる。
 だけど酷く重い腕はほとんど動かなくて、俯せのまま止まってしまう。

「く……っ、ウィリアム様のばかぁ……っ」
「誰がバカなのかな?」

 1人だと思って無意識に零れた掠れた言葉に答えた声に、さぁっと血の気が引いた。
 わたしの左側から聞こえたのは、確実である。
 いや、だが……だが信じたくない!
 幻聴だ、幻聴!

「ねえシーナ?誰がバカなの?」

 ひやりと纏わり付くような声音で再び問い掛けられ、終わったと思った。
 掛けられた毛布の隙間から、わたしにのしかかってくる身体は熱い。
 動けないわたしの目の前に太い腕が置かれた。
 そうして覗き込むようにして、逆さまのウィリアム様の綺麗な顔がわたしの瞳に映った。
 その目は細められ、鋭い。
 視線で射抜かれそうだ。

「ぁ……も、申し訳……」
「ねえ?誰がバカ?」

 身体の芯まで冷えた。
 突き刺さる視線と声に、ぶわっと涙が溢れる。

「ご、ごめんなさいぃぃ!バカはわたしですぅぅぅ!」

 恥も外聞もあったもんじゃない。
 うえーん!と泣き声を上げて何度も謝る。
 出来ることなら土下座してもいい。
 でも体は動かない。

「ごめんなさいウィリアム様ぁぁぁ!」

 まるで子供のように泣いた。
 なんだか色々なモノが噴き出して、それが今のこの、泣いている状態になっている気がする。

「……ふ、ふふ」

 大泣きするわたしの耳に小さな笑い声が聞こえてきた。
 ひぐ、ひぐ、としゃくりあげながら目を開くとウィリアム様がわたしを見つめたまま笑っていた。
 その目にはもう鋭さはない。

「ふふ、ごめんごめん、虐めすぎちゃったね。怒ってないよ」
「ぅ、ウィリアム様ぁ……!ごめんなさいぃ……!」
「うん、許してあげる」

 わたしの頬に唇を寄せて、頭を撫でてくれるウィリアム様にまた涙が溢れてくる。
 バカなんて言ってごめんなさい!

 動けないわたしの涙をシーツで拭ってくれたウィリアム様はぎゅ、と抱き締めてくれた。
 お互い裸らしく、触れ合う肌が気持ち良くて恥ずかしい。
 でも、ほっと力が抜ける。

「シーナは可愛いね。虐めたくなっちゃうよ」
「ぅぅ……お手柔らかにお願いしたいです……」
「どうしよっかなー」

 ウィリアム様は機嫌がいいのか、わたしを抱き締めたまま笑っている。
 ……なんだか幸せを感じてしまう。

 性奴隷が幸せとか、ちゃんちゃらおかしい話ね。

 心の隅からそんな冷え込んだ声が聞こえた。
 自分の心の声の冷たさに、身体が強ばる。

「ん?どうしたの?」

 そんな強ばりは、肌を触れ合わせているウィリアム様に直ぐ伝わった。
 不思議そうに覗き込むウィリアム様はきょとんとしている。
 その目に冷たさは一切なく、ふっと力が抜けた。

「いえ、何でもないです。……あの、今何時なんでしょうか……?」
「ん?……えーっと、もうすぐ朝だね」
「き、気を失ってしまって申し訳ありません」
「ううん、僕も少し無理させちゃったからね。それにいい気持ちで寝れたよ」

 そう言ってウィリアム様は微笑みながら、わたしの頬に口付けを落とす。
 その声は、瞳は、冷たさを一切見せていなくて安心する。

 まだ、捨てられない。
 まだ大丈夫だ。

「あー、起きたくないなー」

 そう言ってウィリアム様は、抱き締めたままのわたしの肌を撫でる。
 その手はわたしの胸の膨らみを柔く揉み始めた。

「ぁ……ウィリアム様……!?」
「男はね、生理現象に朝勃ちってあってね」

 知ってます!
 それは知ってる……けど……まさか……。

 ──くちゅり──

「ふぁっ!?」
「ドロドロ……これなら大丈夫だよね?」

 ウィリアム様の愉しそうな声が聞こえて、顔は見えないけれど多分きっと確実に、あの意地悪な笑顔を浮かべている!
 ウィリアム様はわたしの蜜壷に指を伸ばしつぷり、と押し込む。
 そしてそのまま内壁を引っ掻き、ゆるゆると抜き差しを始めれば残っていたウィリアム様の白濁がどろりと溢れる。

「ぁ……ぁ……」
「うん、これならいけるね」

 そう言って毛布を剥ぎ取ったウィリアム様はわたしの足元に移動し、腰を掴むと引っ張りあげた。
 崩れたままの上半身はシーツに沈んだまま、お尻だけを高く突き上げた形にされる。
 お腹に力が入って、ウィリアム様の目の前で蜜壷から白濁がこぽりと溢れた。

「わ、精液出てきた」
「そ、言わな……」
「ダメだよ?否定の言葉は使っちゃいけないって言っただろ?」
「あ……申し訳……」
「お仕置き、だね♡」

 ──ぐぢゅぅぅ!──

「ふぁぁぁ……っ!」

 そう言ってウィリアム様は妖艶に舌なめずりすると己の熱をわたしの蜜壷に宛てがい、一気に突き入れてきた。
 そしてそのまま激しく腰を打ち付け始める。
 向き合って突き上げられる時と、内壁を擦られる場所が違う。
 それも快感で、震える手でシーツを握り締める。

「はぁー……気持ち良い……直ぐ出ちゃうけど、いいよね……?」
「あうっ!は、ぁんッ!は、はいぃ……っ!」

 ──ぐぼっ!ぶぢゅっ!パチュン!──

「シーナも気持ち良い?」
「んぁッ!き、気持ちいぃ、ですぅっ!ウィリアムさま、ぁ……ッ、きもち……、あうぅっ!」

 ゴリゴリと内壁を擦り上げながら子宮へと雄芯が叩きつけられ、ガクガクと身体が震える。
 ウィリアム様の大きな傘が、残っていた白濁と蜜の混じったドロドロの液体を掻き出していく。

「あー……イク、出るよ……シーナ」
「あうっ!あっ!あっ!」
「っ、く……!」
「んんん──っ!」

 ウィリアム様の朝1番の白濁を子宮に浴びて、わたしは絶頂へと達する。
 埋められたまま跳ねるウィリアム様の雄芯を搾るように内壁が蠢き、腰が震える。
 はぁ、と熱い吐息を吐いてウィリアム様はずるりと抜けていく。
 腰から手が離れ、わたしのお尻はベッドに倒れ込んだ。

「はー……シーナのまんこは癖になりそう」
「あ、ありがとう……ございます……」

 浅く呼吸をするわたしの頭を1度撫でると、ウィリアム様はさっさと服を着てしまった。
 わたしは昨日のも合わせて動けないのに……。
 これが男女の差だろうか。

「じゃあ僕は行くよ。あー……今日の昼はここ、使わない予定だから、少し寝ていくといいよ」
「はい……ありがとうございます……」

 ベッドから下りたウィリアム様はわたしに毛布を掛けてから身を屈めると、ちゅ、と軽い音を立てて頬に口付け、そのまま出ていった。

 朝から元気ですね……わたしはもう……ダメだ……。

 おやすみなさい……。
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