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レオンの誘い
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俺がその内容に耳を傾けているのと同じように、レオンも耳がピンと立ち、そちらに意識が向いているのがわかる。
顔は平然としているけどな。
そうして聞き耳を立てていると、その内容は精霊が本当に居るなら気に入られたいというものだった。
そして精霊が居るらしいと言う場所は……俺の家の近くだった。
そう、家の側の森だ。
その情報を疑っている男も居れば、行ってみたいという男もいる。
ちらりと目だけで窺えば、冒険者ではなさそうだった。
ただの飲み会の肴に出た話だったらしい。
千鳥足の彼らが席を立ち、その姿を消したことを確認してジョッキを傾ければレオンと目が合った。
「今の、本当だと思うか?」
レオンもジョッキを傾けそう聞いてくる。
精霊は尊いものだが、あえて言うならどこにでもいる。
姿を見せないだけだ。
それは見せられる程の力がない下級だったり、見せたら己が危険だと理解していて隠れているからだ。
好奇心旺盛な精霊が姿を見せて捕まるっていうな。
そうじゃなくてもどうにかして姿を捉えて捕まえようとしてる奴もいるのにな。
「レオンも精霊に興味あんの?」
「そりゃあな。なかなか見えることはねぇが愛されることにデメリットはねえだろ」
「デメリットなぁ……」
何とも言えない俺を見て、レオンが器用に片眉を上げた。
「まあ、さっきの奴らが言ってた場所に行ってみるのもありか」
「え、行くの?」
「なんだよ、ダメなのか? あ、お前も一緒に行かねえか?」
レオンの誘いに、どうしようかと悩む。
レオンもブツブツと「あの森まで、片道が……帰りに野営するか、それとも……」とか既に頭の中では行く方向で話が進んでいるらしい。
ここから森まで片道半日だが、野営については心配いらない。
俺の家がそこにあるからな。
それに、あそこの精霊には俺もそろそろ顔を出しておかなければいけない。
これは一種のデメリットだろう。
あの泉の精霊はその場を動かないのだ。
なので、そんな精霊と仲良くなると、土産を強請られる。
これは定期的に、だ。
釣った魚に餌をやらない状態でいると、親密度が下がる。
物でも話でもいいんだが、めんどくさがりの俺には若干デメリット扱いになっている。
まあ、目をキラキラさせて興奮する姿は可愛くていいんだけどな。
このデメリットはこの精霊のクエストを最後まで終えて、契約すれば解決する。
俺はまだ終えていないから、定期的に顔を出さなければいけないのだ。
そう考えると、クエストをクリアしておく方がいいのかもしれない。
「んー、じゃあ行くか。うちに泊まればいいし。ただ、移動は……歩きか馬か。行きは短縮出来ても帰りがなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
色々足りない言葉に、レオンが首を傾げる。
さて……どこから話せばいいかな?
ちょっと漏れてしまっているけど、とりあえずポータルは言わずにおくことにした。
ゲームならばパーティーを組めば使えたけど、今はどうかわからないからな。
流石に試さないで使おうとは言えない。
「……お前、そんなとこに家建ててたのか」
「まあな、静かでいい所だぞ」
にひっと笑みを浮かべれば、レオンは何か微妙そうな顔をした。
獣頭でも表情豊かだよなぁ、レオンって。
ここからだと見にくいけど、きっと尻尾もそうなんだろうな。
尻尾振って喜びを表現するレオン……何か可愛いかもしれん。
普段はキリッとしたカッコイイ顔なのに、尻尾ブンブン振るとかギャップ萌えってか。
ただ、怒った時は牙も見えるし、恐怖感はパないだろうけど。
まだそこまで怒らせたことはないから俺にはわからんが……レオンと知り合おうと噂を集めた時には何人かが、怖いって言ってたからな。
確かに口は悪いが、根は優しいんだけどな。
見た目で損してる、ってやつだな。
「っつうか、お前の家に泊まるとか……いいのかよ」
「別にいいよ。一人暮らしだし、部屋はあるし」
見せられない部屋もあるけどな!
特に地下!
……いや、色々あるわ!
ヤベッ、あれとかそれとかこれとかあんじゃん。
一応問題なさそうな見た目であれだけど、やっべ、泊めて大丈夫なのか、俺?
「じゃあ、あれだ。頼むわ」
「あ、ああ」
こっちがあれそれで戸惑うのはあれだけど、なんでレオンまでちょっと落ち着きない感じなんだよ。
変な空気になんだろ!
とは言えない俺はエールをおかわりして、言えない言葉ごと喉に流し込んだ。
微妙な空気も、森に行く算段を話し合ううちに、霧散していた。
いい気分で森に行く算段を話し合い、明日には行くことになった。
スートを呼ぼうかとも思ったんだが、皆の反応を思い出しレオンの馬で二ケツしてもらうことにした。
で、森に行って帰りに俺の家に泊まることに。
精霊への土産どーすっかな。
インベントリになんかあったっけ?
顔は平然としているけどな。
そうして聞き耳を立てていると、その内容は精霊が本当に居るなら気に入られたいというものだった。
そして精霊が居るらしいと言う場所は……俺の家の近くだった。
そう、家の側の森だ。
その情報を疑っている男も居れば、行ってみたいという男もいる。
ちらりと目だけで窺えば、冒険者ではなさそうだった。
ただの飲み会の肴に出た話だったらしい。
千鳥足の彼らが席を立ち、その姿を消したことを確認してジョッキを傾ければレオンと目が合った。
「今の、本当だと思うか?」
レオンもジョッキを傾けそう聞いてくる。
精霊は尊いものだが、あえて言うならどこにでもいる。
姿を見せないだけだ。
それは見せられる程の力がない下級だったり、見せたら己が危険だと理解していて隠れているからだ。
好奇心旺盛な精霊が姿を見せて捕まるっていうな。
そうじゃなくてもどうにかして姿を捉えて捕まえようとしてる奴もいるのにな。
「レオンも精霊に興味あんの?」
「そりゃあな。なかなか見えることはねぇが愛されることにデメリットはねえだろ」
「デメリットなぁ……」
何とも言えない俺を見て、レオンが器用に片眉を上げた。
「まあ、さっきの奴らが言ってた場所に行ってみるのもありか」
「え、行くの?」
「なんだよ、ダメなのか? あ、お前も一緒に行かねえか?」
レオンの誘いに、どうしようかと悩む。
レオンもブツブツと「あの森まで、片道が……帰りに野営するか、それとも……」とか既に頭の中では行く方向で話が進んでいるらしい。
ここから森まで片道半日だが、野営については心配いらない。
俺の家がそこにあるからな。
それに、あそこの精霊には俺もそろそろ顔を出しておかなければいけない。
これは一種のデメリットだろう。
あの泉の精霊はその場を動かないのだ。
なので、そんな精霊と仲良くなると、土産を強請られる。
これは定期的に、だ。
釣った魚に餌をやらない状態でいると、親密度が下がる。
物でも話でもいいんだが、めんどくさがりの俺には若干デメリット扱いになっている。
まあ、目をキラキラさせて興奮する姿は可愛くていいんだけどな。
このデメリットはこの精霊のクエストを最後まで終えて、契約すれば解決する。
俺はまだ終えていないから、定期的に顔を出さなければいけないのだ。
そう考えると、クエストをクリアしておく方がいいのかもしれない。
「んー、じゃあ行くか。うちに泊まればいいし。ただ、移動は……歩きか馬か。行きは短縮出来ても帰りがなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
色々足りない言葉に、レオンが首を傾げる。
さて……どこから話せばいいかな?
ちょっと漏れてしまっているけど、とりあえずポータルは言わずにおくことにした。
ゲームならばパーティーを組めば使えたけど、今はどうかわからないからな。
流石に試さないで使おうとは言えない。
「……お前、そんなとこに家建ててたのか」
「まあな、静かでいい所だぞ」
にひっと笑みを浮かべれば、レオンは何か微妙そうな顔をした。
獣頭でも表情豊かだよなぁ、レオンって。
ここからだと見にくいけど、きっと尻尾もそうなんだろうな。
尻尾振って喜びを表現するレオン……何か可愛いかもしれん。
普段はキリッとしたカッコイイ顔なのに、尻尾ブンブン振るとかギャップ萌えってか。
ただ、怒った時は牙も見えるし、恐怖感はパないだろうけど。
まだそこまで怒らせたことはないから俺にはわからんが……レオンと知り合おうと噂を集めた時には何人かが、怖いって言ってたからな。
確かに口は悪いが、根は優しいんだけどな。
見た目で損してる、ってやつだな。
「っつうか、お前の家に泊まるとか……いいのかよ」
「別にいいよ。一人暮らしだし、部屋はあるし」
見せられない部屋もあるけどな!
特に地下!
……いや、色々あるわ!
ヤベッ、あれとかそれとかこれとかあんじゃん。
一応問題なさそうな見た目であれだけど、やっべ、泊めて大丈夫なのか、俺?
「じゃあ、あれだ。頼むわ」
「あ、ああ」
こっちがあれそれで戸惑うのはあれだけど、なんでレオンまでちょっと落ち着きない感じなんだよ。
変な空気になんだろ!
とは言えない俺はエールをおかわりして、言えない言葉ごと喉に流し込んだ。
微妙な空気も、森に行く算段を話し合ううちに、霧散していた。
いい気分で森に行く算段を話し合い、明日には行くことになった。
スートを呼ぼうかとも思ったんだが、皆の反応を思い出しレオンの馬で二ケツしてもらうことにした。
で、森に行って帰りに俺の家に泊まることに。
精霊への土産どーすっかな。
インベントリになんかあったっけ?
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