腐女子の俺が逝く！ ゲームから出られなくなった俺は趣味を堪能するはずが……あれあれ？

考えて考えて……俺は気付いた

  トイレから出た俺はマイホームの中を確認していく。
  地下には食糧庫に倉庫、そして特殊な部屋が存在している。
  何故か、と聞かれればプレイの為だ、と胸を張って言おう。
  これは俺が使うためではない。
  では何故あるのか？
  そんなもの、見学する為に決まってんだろ！
  
  まず、ゲーム中でも恋愛が出来るということは覚えているだろうか。
  これはプレイヤー同士だけでなく、ＮＰＣ相手だったり、ＮＰＣ同士だったりでもＯＫなのだ。
  ＮＰＣ同士だと、たまに違う相手とデートしているような風景も見かけるので、気が多い感じに見えてしまうがこれは問題ない。
  俺の前で腐っていればいいのだ。
  流石にプレイヤーをそっちの世界に引き込むのは……ちょっとしか出来なかった。
　いやほら、子孫繁栄とかね。
　やっぱり現実で『そっち』に持ってくと些か問題があることがあるからな。
  なので、俺はＮＰＣ同士の絡みを見て愉しんだのだ。
  ＮＰＣと仲良くなってフレンドになり、誘導して誘導してそこに至るまでにはそれなりに苦労したが……苦労が報われた時には神に感謝した程だ。
  いちゃらぶバンザイ！
  
  そして成人向けの行為は規制されている。
  まず、成人向けのあれそれが出来る区画というものがあるのだ。
  全年齢しか対応していないプレイヤーは、成人向け区画には足を踏み込めない。
  これは物理でだ。
  基本全年齢向けのフィールドであり、街中は特に厳しく取り締まられている。
  
  過去、おふざけで性的な単語やらなにやらを成人向け区画外で発言、ぽろりした人間が秒で強制ダイブアウトさせられたらしい。
  そして垢ＢＡＮされたとか。
  アカウント再購入も条件がついたとかなんとか。
  これは攻略サイトにも公式にも書かれていたので、本当にあったことなのだろう。
  っと、それはいいか。
  
  成人向け区画というのは、建物の中の一部、街の中の一区画、そしてフィールドだ。
  フィールドと言っても成人向けのフィールドがある、という形だ。
  街から出る時に全年齢向けフィールドに出るか、成人向けフィールドに出るかが選択出来る。
  未成年プレイヤーとパーティーを組んでいると、強制的に全年齢向けになるが、それは今はいいか。
  
  一言で纏めれば『成人向けあれそれは、規定の場所でしか出来ない』ということだ。
  
  そうなるとそういう絡みを見ようと思ったら限られた場所になる。
  建物の中か、魔物の蔓延る外か、だ。
  楽なのは建物の中だ。
  しかし……俺は知ってしまった。
  
  プレイの幅が狭いということを。
  
  そりゃあそうだろう。
  いくらこちらが誘導しているとはいえ、ＮＰＣはＮＰＣであって、『そういうプレイ』をするためには存在していないのだ。
　幾つものカップリングを愉しむだけでは足りなかった……。
  ならばどうしたらもっと愉しめるのか。
  考えて考えて……俺は気付いた。
  
  俺のマイホームを『そう』作ればいいんじゃね？と。
  
  ＮＰＣの絡みを見るにはフレンドになることが必須である。
  それはお互いの家に訪ねても嫌がられない、ということだ。
  今まではＮＰＣの家にカップルの片割れもつれて行き、そこでこそこそ覗いていたのだ。
  そんな二人を俺のマイホームに連れて行くことで、あれもこれもそれも出来るような部屋があれば盛り上がって行われる可能性もあるのだ。
  勿論そうなるように、俺も全身全霊を込めて誘導するが。
  
  だから、俺のマイホームはシチュエーションも愉しめるように、必要のない応接室や執務室まで存在している。
  その流れで作ったのが、地下のＳＭ部屋だ。
  拘束具とか鞭とか、ボンテージまであるんだぜ！
  俺頑張った！
  今もお仕置き器具を作っている最中だ。
  いや、それはいいんだ。
  地下に置いてある色んなものは、きちんとそこにあった。
　多分何も欠けていない、はず。
  
  一階にはキッチン、リビング、風呂、応接室、アトリエがある。
  廊下で繋がった先の一角がアトリエで、部屋が四つ程並んでいる場所だ。
  そこに置いてあるあれそれも欠けた様子はない。
  
  二階はただのベッドルームにいちゃらぶ用ベッドルーム、客間、執務室がある。
　トイレは各階にある。
  そしてただのベッドルームが俺の部屋だ。
  執務室以外には一人用の風呂場も付いている。
  どの部屋も今までと変わった所は見当たらない。
  俺の部屋に足を踏み入れれば、やっぱり変わった所もなく、少しほっとした。