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息子ぉぉ……
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そして今、その『世界』から戻れなくなっている。
フレンドリストを開いてプレイヤーに声を掛けようとしたが……リストにはプレイヤーの名前が一つもなかった。
まるで俺一人が取り残されてしまったかのようだ。
「これ、どういう状況よ……」
茫然とした状態から復活出来ない。
どうしたらいいか、それも浮かんでこない。
ぽつん、とマイホームの玄関に佇んでいたが……体に生理的欲求を知らせる震えが走った。
「やべ、トイレいきてぇ」
これは今までもあった。
現実で身体がそういう信号を流すと、ゲーム中でもトイレに行きたくなるのだ。
しかし、ダイブアウト出来ない今、どうなるのだろう。
ゲームで排泄したって、現実で……お漏らし案件なのか、これ。
「えええ、どう、どうすんだよこれ」
おろおろと細かく左右に移動して誤魔化してみるが、それで収まることはなく、本当にヤバい。
仕方なく、俺はトイレに駆け込んだ。
ちゃんとトイレを設置しておいて良かった!
そうして便器を前にズボンと下着を下ろして自分の身体を見下ろし……愕然とした。
ゲームの中ではなかったはずの胸の膨らみがそこに存在し、ついていたはずの息子が、無くなっていたのだ。
「俺の息子がぁああ!?」
漏らす直前で座って事なきを得たが……俺は暫くトイレで頭を抱える事となった。
便器に腰掛けたまま調べた結果、出来ないことは外部と連絡を取ることだとわかった。
ダイブアウト、違反通報、ヘルプ。
そう、ここに取り残されてどこにも連絡出来ない状況だ。
そして……女の体に戻っていた。
いや、自分の身体と同じかは微妙だが、とりあえず違和感もなく、『女』であった。
多分胸も同じぐらいだと思う。
気にしたこともなかったから違うのかもしれないが、とりあえず、ある。
そしてせっかくの息子がない。
これにはがっかりだ。
まだしっかり使ったこともないのに!
ちょっと右手であれしただけなのに!
「息子ぉぉ……」
これが一番凹んだ。
現実に戻れないことは……別に良かった。
親とも友人とも仲が悪いわけではないが、べったりでもないし、親には兄貴と嫁がいるし。
会社に行くより、ここで遊んでいる方が楽しいし、稼げるし。
なにより既にマイホームがある。
衣食住で心配はいらない。
「……あれ、これって悪い状況でもなくね?」
息子さんが無くなってしまったのはショックだが、『ここ』で生活するのは悪くはない。
このマイホームにはそれなりに時間と金を掛けてあるのだ。
後は維持するだけである。
それも今までと同じであれば、そんなに負担にはならない。
「え、これは逆に好機じゃね?」
金を稼ぐ手段はいくつもあるから困らない。
そうなれば何も悪いことなんてないのだ。
「ぃやったぁ!」
俺は意気揚々とトイレから出ることが出来た。
フレンドリストを開いてプレイヤーに声を掛けようとしたが……リストにはプレイヤーの名前が一つもなかった。
まるで俺一人が取り残されてしまったかのようだ。
「これ、どういう状況よ……」
茫然とした状態から復活出来ない。
どうしたらいいか、それも浮かんでこない。
ぽつん、とマイホームの玄関に佇んでいたが……体に生理的欲求を知らせる震えが走った。
「やべ、トイレいきてぇ」
これは今までもあった。
現実で身体がそういう信号を流すと、ゲーム中でもトイレに行きたくなるのだ。
しかし、ダイブアウト出来ない今、どうなるのだろう。
ゲームで排泄したって、現実で……お漏らし案件なのか、これ。
「えええ、どう、どうすんだよこれ」
おろおろと細かく左右に移動して誤魔化してみるが、それで収まることはなく、本当にヤバい。
仕方なく、俺はトイレに駆け込んだ。
ちゃんとトイレを設置しておいて良かった!
そうして便器を前にズボンと下着を下ろして自分の身体を見下ろし……愕然とした。
ゲームの中ではなかったはずの胸の膨らみがそこに存在し、ついていたはずの息子が、無くなっていたのだ。
「俺の息子がぁああ!?」
漏らす直前で座って事なきを得たが……俺は暫くトイレで頭を抱える事となった。
便器に腰掛けたまま調べた結果、出来ないことは外部と連絡を取ることだとわかった。
ダイブアウト、違反通報、ヘルプ。
そう、ここに取り残されてどこにも連絡出来ない状況だ。
そして……女の体に戻っていた。
いや、自分の身体と同じかは微妙だが、とりあえず違和感もなく、『女』であった。
多分胸も同じぐらいだと思う。
気にしたこともなかったから違うのかもしれないが、とりあえず、ある。
そしてせっかくの息子がない。
これにはがっかりだ。
まだしっかり使ったこともないのに!
ちょっと右手であれしただけなのに!
「息子ぉぉ……」
これが一番凹んだ。
現実に戻れないことは……別に良かった。
親とも友人とも仲が悪いわけではないが、べったりでもないし、親には兄貴と嫁がいるし。
会社に行くより、ここで遊んでいる方が楽しいし、稼げるし。
なにより既にマイホームがある。
衣食住で心配はいらない。
「……あれ、これって悪い状況でもなくね?」
息子さんが無くなってしまったのはショックだが、『ここ』で生活するのは悪くはない。
このマイホームにはそれなりに時間と金を掛けてあるのだ。
後は維持するだけである。
それも今までと同じであれば、そんなに負担にはならない。
「え、これは逆に好機じゃね?」
金を稼ぐ手段はいくつもあるから困らない。
そうなれば何も悪いことなんてないのだ。
「ぃやったぁ!」
俺は意気揚々とトイレから出ることが出来た。
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