12 / 19
旅立ち
再開、さぁ帰ろう
しおりを挟む
河口近く。
待ち合わせの鉄塔近くの橋の下。
ついウトウト眠り込んだかえるくんです。
自然界において。
不防備に寝ることはぜったいに危険なこと。
そんな危険があふれる中でついついウトウトしてしまうかえるくん。
そこへ。
いきなり。
1羽のカラスが襲ってきました。
鋭い爪のカラスが、かえるくんをつかもうとしたその瞬間。
掴んだのは白の鈴。
それでも。
チリンと鳴った鈴にも、かえるくんは気付いていません。
絶体絶命!
危ない!
そのときです。
川面からジャンプする大きな魚の姿が。
大きなその魚は、大きなカラスよりもさらに大きな姿です。
どーん!
カラスに体当たりをする大きな魚。
これにびっくりして慌てて空中に逃げ飛ぶカラス。
間一髪の危機を逃れるかえるくん。
何が起こったのか分からず、目を白黒するかえるくんですが、すぐに状況を理解しました。
目の前の大きな魚にお礼を言うかえるくん。
「助けてくれて、どうもありがとう」
おじぎをするかえるくんに、その魚は近づいてきて。
ほっぺをスリスリ、スリスリ。
「かえるくん、帰ってきたよ」
「えっ!?」
「鮭くん?」
大きな魚はよく見れば、故郷のブナの森の色。
丸い瞳には小さかったころの面影も残る鮭くんです。
かえるくんの何倍も何倍も大きくなった鮭くん。
ふるさとのブナの森の色をしています。
(鮭くんはブナの木のようになって帰ってくる)
亀じいさんの言った言葉を思い出すかえるくん。
鮭くんはまさしく、ブナの木のように大きくなっていました。
となりには同じくらい大きなメスの鮭ちゃんもいます。
「久しぶりね、かえるくん。」
「鮭ちゃん?」
「そうよ」
鮭ちゃんもかえるくんにほっぺをスリスリ、スリスリしてこたえます。
「その鈴は?」
鮭くんが尋ねます。
「これは猫のシロさんから預かった鈴だよ!
キナコさんに渡すんだ」
と、
先ほどのカラスが空中で羽ばたきながら、再びかえるくんを襲おうとしています。
今度は5羽の仲間のカラスを連れて。
「さっきはよくもやってくれたな!」
「こっちは6羽」
「鮭もかえるも食ってやる!」
6羽のカラスが、かえるくん、鮭くん、鮭ちゃんを囲んで空中から威嚇します。
「鮭くん、危ないから早く逃げよう」
「大丈夫だよ、かえるくん」
「そうよ、心配しないで」
鮭くんも鮭ちゃんも、まるで心配をしていない雰囲気です。
四方からカラスが襲ってきます。
鮭くんと鮭ちゃんがにっこりと笑ったそのときです。
どーん!
どーん!
どーん!
どーん!
ほぼ同時に、空中のカラスに体当たりをする魚たち。
びっくりして川に落ちそうになるカラスたち。
6羽のカラスは慌てて上空へ逃れます。
あちこちでジャンプをする魚たち。
それは川面が真っ黒になるくらいの鮭の大群です。
その数の凄さに、あわてて逃げていくカラスたち。
春に川を降って行ったたくさんの鮭が戻ってきたのです。
そんな鮭の大群の先頭にいるのが鮭くんです。
鮭くんが言いました。
「さあ帰ろう」
「うん、帰ろう」
かえるくんが大きな鮭くんの背中に乗ります。
リンリン、リンリン。
軽やかに鈴が鳴ります。
さぁ帰ろう。
ふるさとに向けて最後の旅が始まります。
待ち合わせの鉄塔近くの橋の下。
ついウトウト眠り込んだかえるくんです。
自然界において。
不防備に寝ることはぜったいに危険なこと。
そんな危険があふれる中でついついウトウトしてしまうかえるくん。
そこへ。
いきなり。
1羽のカラスが襲ってきました。
鋭い爪のカラスが、かえるくんをつかもうとしたその瞬間。
掴んだのは白の鈴。
それでも。
チリンと鳴った鈴にも、かえるくんは気付いていません。
絶体絶命!
危ない!
そのときです。
川面からジャンプする大きな魚の姿が。
大きなその魚は、大きなカラスよりもさらに大きな姿です。
どーん!
カラスに体当たりをする大きな魚。
これにびっくりして慌てて空中に逃げ飛ぶカラス。
間一髪の危機を逃れるかえるくん。
何が起こったのか分からず、目を白黒するかえるくんですが、すぐに状況を理解しました。
目の前の大きな魚にお礼を言うかえるくん。
「助けてくれて、どうもありがとう」
おじぎをするかえるくんに、その魚は近づいてきて。
ほっぺをスリスリ、スリスリ。
「かえるくん、帰ってきたよ」
「えっ!?」
「鮭くん?」
大きな魚はよく見れば、故郷のブナの森の色。
丸い瞳には小さかったころの面影も残る鮭くんです。
かえるくんの何倍も何倍も大きくなった鮭くん。
ふるさとのブナの森の色をしています。
(鮭くんはブナの木のようになって帰ってくる)
亀じいさんの言った言葉を思い出すかえるくん。
鮭くんはまさしく、ブナの木のように大きくなっていました。
となりには同じくらい大きなメスの鮭ちゃんもいます。
「久しぶりね、かえるくん。」
「鮭ちゃん?」
「そうよ」
鮭ちゃんもかえるくんにほっぺをスリスリ、スリスリしてこたえます。
「その鈴は?」
鮭くんが尋ねます。
「これは猫のシロさんから預かった鈴だよ!
キナコさんに渡すんだ」
と、
先ほどのカラスが空中で羽ばたきながら、再びかえるくんを襲おうとしています。
今度は5羽の仲間のカラスを連れて。
「さっきはよくもやってくれたな!」
「こっちは6羽」
「鮭もかえるも食ってやる!」
6羽のカラスが、かえるくん、鮭くん、鮭ちゃんを囲んで空中から威嚇します。
「鮭くん、危ないから早く逃げよう」
「大丈夫だよ、かえるくん」
「そうよ、心配しないで」
鮭くんも鮭ちゃんも、まるで心配をしていない雰囲気です。
四方からカラスが襲ってきます。
鮭くんと鮭ちゃんがにっこりと笑ったそのときです。
どーん!
どーん!
どーん!
どーん!
ほぼ同時に、空中のカラスに体当たりをする魚たち。
びっくりして川に落ちそうになるカラスたち。
6羽のカラスは慌てて上空へ逃れます。
あちこちでジャンプをする魚たち。
それは川面が真っ黒になるくらいの鮭の大群です。
その数の凄さに、あわてて逃げていくカラスたち。
春に川を降って行ったたくさんの鮭が戻ってきたのです。
そんな鮭の大群の先頭にいるのが鮭くんです。
鮭くんが言いました。
「さあ帰ろう」
「うん、帰ろう」
かえるくんが大きな鮭くんの背中に乗ります。
リンリン、リンリン。
軽やかに鈴が鳴ります。
さぁ帰ろう。
ふるさとに向けて最後の旅が始まります。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる