アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

709 夏の冒険⑨ 銀級冒険者

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 「で、えーとガキが10人か?最近のガキは揃いでカッケー服着てんだなぁ。俺はそんな服より裸にひん剥いたら泣き叫ぶ奴のほうが好きだけどなギャハハハハハ」

 「いいだろう。これはわしらが作っておる制服というやつじゃー。てか早く縄を解けー!」

 「「俺らも早く頼むわー!」」

 後方で縛られた商人たちが口々に叫んでいる。

 「「待ってろって」」

 「まぁ俺らにはこんなきれいなおべべより、なんも着てねぇほうが楽でいいがな」

 「「「違えねーギャハハハハハ」」」


 「あー、ひょっとしてお前、仮面なのは大人に憧れてるからか?ギャハハハハハ」

 「「「ギャハハハハハ」」」

 「「「そうに違いねぇ!ギャハハハハハ」」」

 「そーかそーか。テメーらお兄さんたちに憧れてるのか。そりゃお前、俺ら字は書けねえし、読めねえけど、なんでも好きなことやってきたんだぜ。酒だろ、女だろ、盗みだろ、コロシだろ、あとなんだってか。ギャハハハハハ」

 「なんなら1人くらいは俺らの手下にしてやってもいいぞ?どうだ?」

 「「「‥‥」」」

 「だんまりか怖くて喋れねぇか。ギャハハハハハ」

 「違うわよ。このあとのアンタたちが哀れで声もないのよ!」

 「おおっ、言うな赤髪のお嬢ちゃん!オメーべっぴんさんだな。あとでお兄さんが大人の味っちゅーもんを教えてやるよ」

 「俺は銀髪の娘だな」

 「俺は獣人の娘だな」

 「俺は仮面の女だな。裸にひん剥いて最後に仮面を剥いでやるよ」

 ギャハハハハハ
 ワハハハハハハ

 「いいかお前たち、制服は汚すでないぞ!これも売れるんだからな」

 後方の商人が叫んでいる。

 「へいへい。欲の皮の突っ張った旦那だぜ、まったく」














 「お前ら本物の馬鹿だな」

 「「「なに?」」」








































 「もうわかった。お前らが本物の馬鹿だってことは」

 「「なにー!誰が馬鹿だ!」」

 「「このクソガキめーー!」」

 「バカに馬鹿って言ったらダメなんだぞ!俺は前期教会学校のシスターからそう習ったんだ!」



 「もういいよ。時間も無駄だしな。えーと頭はお前か?」

 アレクが20騎の中で一際図体もデカい髭もじゃの男に声をかけた。

 「おーよくわかったな狐仮面のガキ」

 そう言った男は青龍刀のような大刀を肩に担いでいる。

 「一応聞いとくが、お前らは後ろの商人に雇われたんだな?」

 「ダンナ、バレてますぜギャハハハハハ」

 「早く黙らせろ。なんなら1人くらい、そうだ!さっきから口の減らないガキは息の根を止めても許す!」

 「聞いたな2号機?3号機?」

 「「ああ‥‥」」

 「で20人の賊のおっさんたちは俺ら学園生をどうするって?」

 「そんなもん決まってるだろ。男は奴隷、女は俺らで楽しんでから奴隷だよ。ああ、商人のおっさんから制服は汚すなって言われてたからな。あんまり騒ぐなよ。服が汚れるからな」










 「みんな聞いたな。中原どこに行ってもこんなもんだよ。あの帝国でさえそうだった。だから、こうなる前に子どもたちからちゃんとした教育なんだよ」

 「「「‥‥」」」

 「さて。証人もできたからな。さっそく相手してやるよ」

 「「ギャハハハハハ相手してやるってよ!」」

 「「20人の騎馬相手に闘れるのかい僕?ギャハハハハハ」」

 「「舐められたなお頭!」」

 ギャハハハハハ



 「あのなぁ、お前ら20人もいて冒険者か冒険者の知り合いもいねぇのか?」

 「冒険者?そんな奴らより俺らのほうが強いからなギャハハハハハ」

 「一応教えといてやるよ。俺は狐仮面。ヴィンランドギルド所属の銀級だよ」

 「「銀級だってよ。わははははは」」 

 「「馬鹿な俺らでも知ってるぞ」」

 「そんな奴は見たこともないぞ。冒険者っていえば鉄級だけだろギャハハハハハ」

 「「ハッタリ言うなガキ。ギャハハハハハ」」



 「そうか。闘らなきゃわかんねぇよな。じゃあ身体に教えといてやるよ。銀級と闘りたきゃ最低100人は連れてこい」

 シユユユュュュュューーーーッッ!

 圧を出して魔力を見せるように全身から放出したんだ。たぶんコイツらの頭くらいは気付くかなって。

 「「「なんだ狐仮面のガキ。湯気出てんぞギャハハハハハ」」」

 「ま、マジか‥‥」



 「クックック。頭っていうだけはあるな。やっぱ1人くらいはわかるか」

 「‥‥」

 「銀級はな、油断もしなけりゃ甘くもないってことも教えといてやるよ」

 「「まだ言うか!元気なガキだぜ」」

 ギャハハハハハ
 ワハハハハハ ハ

 「最後通告だ。許して欲しい奴はその場で手を上げて馬から降りろ。あとのやつは手足が離れても文句を言うな」

 ギャハハハハハ
 わはははははは
 ギャハハハハハ











 「いないな」
















































 「土遁、空壕!」

 ズズーーーンッ!ズズーーーンッ!
 ズズーーーンッ!ズズーーーンッ!
 ズズーーーンッ!ズズーーーンッ!

 「「うわああぁぁぁっ!」」

 急に地面が1メル陥没したんだ。
 当然四つの脚で立っていられなくなった馬が体勢を崩して倒れる。騎乗していた野盗たちも地面に投げ出された。

 ダンンンッッッ!

 背の剣を抜いて一気に飛びかかる。

 ヒュッッ!

 「ぐはっ!」

 ザスッッ!

 「ギャーーーッッ!」

 ザスッッ!

 「ガハッ!」


 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!
 ザスッッ!


 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」
 「ギャーーーッッ!」

 「あ、あ、足がああぁぁぁ‥‥」

 「う、う、腕がああぁぁぁ‥‥」

 「「「血が止まんねぇ!」」」

 「「「ギャーーーッッ!」」」


 「土遁。深い空壕!」

 ズズズズズーーーーーッッ!

 野盗の周りを飛び越えられない幅の空壕で囲ったんだ。

 「明日にはサカスから騎士団さんがお前らを迎えに来るからな。それまでそのままそこにいろ」


 「商人と冒険者。お前たちはサカスに連れてってやるよ。その代わり
‥‥‥‥わかってるな」

 「は、は、は、はいー。な、なんでも話します!ど、ど、どうか生命だけはお助けください!」

 「「俺も話します!」」



 「じゃあいこうぜみんな」

 「「お、おう」」

 「「う、うん」」



 ▼



 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ‥‥

 「なあみんなもっと喋ってくれよ!なあって!」

 「「「‥‥」」」




 「ダーリンますます強くなったね」

 なでなで  なでなで  なでなで ‥‥

 「むふっ」

 「チッ、この変態め!」

 「ひどいよセーラ!」

 「アレク君鼻水乾いて袖がカピカピになってるよ!」

 「うそ!?あっ、ホントだ」

 「ダーリンばっちい!」


 わははははは  
 ワハハハハハ  
 フフフフフフ


―――――――――――


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