アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
689 / 722
第2章 幼年編

690 特化のススメ

しおりを挟む


 「アレクの兄貴、もう最強っすよ。誰も兄貴にゃ逆らわないっす!」

 「フレッド言い方!それじゃまるでボス猿みたいじゃんか」

 「あーいいっすねボス猿!なんかカッケーっす!」

 「カッコよくねーっうの!」



 新貴族組?あの人たちと闘りあったあとは多人数との模擬戦はなかったよ。ていうか、少人数の模擬戦もなかったんだ。残念!

 狂犬団に入団した学園生は全体の9割ほど。新貴族組と同じで、1割は参加してくれなかったよ。帝都学園と同じだね。

 でもこれからは少しずつでも参加してくれたらいいかなって思ってるよ。



―――――――――――



 「アレク君あのカチューシャ、ものすごく売れてるわよ!」

 「へぇーソウナンダ」

 「なによ?その気のない返事は」

 「だってサンデーさん。俺おしゃれにあんまり‥‥ってかぜんぜん興味ないし」

 「なによそれ!まあたしかにアレク君は‥‥いつも同じ制服着てるよね‥‥(腕のあたりが汚れるし)」

 「当然じゃん!だって楽なんだから」

 「‥‥」

 まだ元気なころ、寒い冬は制服の中にジャージ着て寝てたし、できるなら今でも風呂以外一日中制服かジャージ着てたいくらいだよ!だって楽でいいじゃん。

 「あのカチューシャ、中原中の女の子からの引き合いもすごいのよ?なのにアレク君ったら‥‥」

 「あはははは‥‥よかったデスネー」

 学園10傑の女子に作ったティアラ型カチューシャの廉価版を作ってみたんだ。学生がお小遣いでも買えるような値段のカチューシャを。



 アレク袋用の養殖スライム池。アレク袋は安定して売れまくってるから、アレク工房の養殖スライム池は今やヴィヨルドだけじゃなくって王国内の各地にあるよ。

 うちの養殖池の子たちはどこぞのスライムみたいに主役級にはなれないけど、役に立ちまくってくれてる件なんだ。

 袋を作ったあとのスライムの「端切れ」。これが大量にでてたからね。なんとか再利用できないかなって考えたんだ。だって廃棄じゃもったいないもんね。

 アレク袋(スライム袋)は俺とサミュエル学園長の2人だけは、天然ビニール袋に天然プラスチックと呼んでるよ。

 でね、アレク袋の残り(端切れ)を溶かし固めて、カチューシャのモール(金型)を作って中に入れてみたんだ。
 天然プラスチックだから色も簡単につけられたしね。

 で、販売してみたら‥‥‥‥売れるわ売れるわ、すごいことになってるらしいんだよね。

 そうだ!天然プラスチックだからプラモデルや幼児用おままごとセットを作っても面白いかも!




 サンデー商会とアレク商会(アレク工房)が合併したサンアレ商会。

 共同代表のサンデーさんは今まで以上に多忙を極めているんだ。
 
 サンアレ商会の本店をヴィヨルドの領都ヴィンランドに置いてくれてるからこれまで以上にサンデーさんと会える機会が増えた俺はうれしい限りだよ。

 そうそうサンデーさんからの信頼も厚い、シルカさんもこっちにきてくれるようなんだ。

 「あのねサンデーさん!ファンシーショップを作ればいいんだよ」

 「ふぁんしぃしょっぷ?」

 「そうファンシーショップだよ!」

 未成年者に特化したお店。うん、これはまだ世界中のどこにもない!
 


―――――――――――



 「アレク君。先代様からご依頼があったわよ」

 「ん?なにサンデーさん?」

 「あのね、領都内の治安維持のために夜間、引退した冒険者や騎士団員が誰でもできる屋台を何か考えてくれないかって」

 「なるほどねー。先代様はいいことを考えたよね」

 「そうね」

 たしかにな。領都ヴィンランドといえど、夜間は成人男性のひとり歩きは危険だもん。まして女性や子どもの夜歩きなんてダメなのは言うまでもないし。

 治安維持にもなって社会の底辺から経済が回れば、ヴィヨルド領はますます強国になるよな。

 「でもさ、俺なんかのガキの意見にも耳を傾けるヴィヨルドはいつもすごいよねサンデーさん」

 「そうねアレク君」

 「ヴィヨルドはご領主様を始め、なにより領として気概もあるし、まとまってるんだよね」

 「ええ」

 「自分たちの利益しか考えてないどったかとは大違いだよ」

 「フフフ。そうそうアレク君、うちのサンアレ商会がヴィヨルド領の筆頭御用商会になったわよ」

 「えーーー!?」

 「信じられる?」

 「うううん。信じられないよ」

 「ご領主様も含めて、それだけアレク君に期待しているのよね」

 「あははは‥‥」

 俺はね、仲間と楽しく学園生活を送れたらいいんだよ。たまにはサンデーさんの笑顔を見れたり、メロンちゃんやモモちゃんたち子どもたちと楽しく過ごせる生活ができたらそれで十分幸せなんだよ。

 (アレク君‥‥また声が漏れてるわよ。フフフ)

 「じゃあ考えてみるよ、サンデーさん」

 「ええ。お願いね」

 「それとね、アレク君は普通に学園生活を楽しんでくれたらいいんだからね。商会のことは私がきっちりやっておくから」

 「アレク本当にありがたいわよね。サンデーちゃんに感謝しなさいよ」

 「おっしゃるとおりですシルフィさん」

 サンデーさんの肩に座ったシルフィがサンデーさんに涼やかな風を送ってるよ。

 「あら涼しい!シルフィさんね。シルフィさん、いつもありがとうね」

 シルフィが見えなくてもサンデーさんにはシルフィがわかるみたい。

 「もうすぐシルカもきてくれるから、そうしたら私ももっと動きが取りやすくなるわ」

 「楽しみだね!」

 「ええ!」


 最近サンデーさんと一緒にいるときは、シルフィはサンデーさんの肩に座ったりして、サンデーさんの髪に風を送ったりしてるんだよね。シルフィ的にはサンデーさんを気に入ってるみたい。


―――――――――――


 治安維持にもなる屋台について考えてみたんだ。

 屋台は基本1人親方で賄えるから、元の世界の屋台スタイルを踏襲したものにしたんだ。

 俺の考案したリアカーをベースに、煮炊きできる厨房スペースとちょっとしてカウンターと折りたたみ式テーブル、椅子等。

 安価な食事やお酒が飲める屋台を作るんだ。

 店主は元冒険者や元騎士団員にやってもらうから元々腕っぷしも立つ。さらに何軒かの屋台が集まって屋台村を作れば野盗だって敬遠するはずなんだ。
 だから、経済の下支えもできるし、最終的に領都ヴィンランドの治安維持にも繋がるんだよ。

 このアイデアに、あとは商業ギルド長のミョクマルさんに参画してもらえば‥‥。

 「あんたまた言いっぱなしにするつもりでしょ」

 「し,失礼だなシルフィ!そ、そのとおりだよ!」

 「あんた‥‥」









 「それでアレク君、いい案は見つかったのかい?」

 「うん。これならミョクマルも納得してくれるんじゃないかな」

 「ハッハッハッハ。また奇想天外な発想で驚かせてくれるのかい!」

 「あのね屋台の小さな組合、ギルドを作るんだよ」

 「「ギルド!?」」

 「そうギルド」





























 「よいか。良くも悪くも歴史は繰り返すんじゃよ」

 昔いろいろなことを俺に教えてくれた爺ちゃんは、本当になんでもよく知っていたんだ。

 爺ちゃん曰く、中世ヨーロッパの封建社会からの脱却はギルドに寄与するところが大きいって言うんだよね。
 
 もちろん組合が自由な商いを束縛する側面は否定できないけど、まだそこまでには至っていないこの世界の人々の考え方や経済を動かすことをまずは最優先に考えなきゃね。

 「じゃあ説明するよ」

 マジックバック(極小)から屋台フィギュアや焼き鳥フィギュア、串ほかもろもろを出して、見てわかるプレゼンを始めたんだ。



―――――――――――


 いつもご覧いただき、ありがとうございます!
 「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
 どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家
ファンタジー
 科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。  実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。  無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。  辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...