アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
685 / 722
第2章 幼年編

686 モーリスと学園長

しおりを挟む
686  モーリスと学園長


 2日続けて。
 修練場の片隅から模擬戦を伺う者がいた。

 ハイル

 アレクと元同部屋だった同級生である。

 「キャロル、キャロル、キャロル、キャロル、キャロル、キャロル、キャロル、キャロル‥‥なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでアレクなんかに抱きついてやがる?
 お前は俺の女だろ。
 くそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそくそ!」

 その見つめる先はキャロルただ1人。真っ赤に血走った目のハイルに、ありし日の笑顔はなかった。



―――――――――――



 「先輩方、俺はこの木剣で相手します。魔法も使いません。5分もあれば充分でしょう。俺の圧勝です」

 20人ほどの5年生が口々に叫んだんだ。

 「「夢見てるのか!」」

 「「舐めるな!」」

 「「俺らはヴィヨルド学園の5年なんだぞ!」」

 「いえ、事実を言ったまでです」

 「「「なにをーーー!!」」」

 「「「あり得ねぇーーー!!」」」

 レイピア、片手剣に両手剣を手にした5年生が20人叫んでいたよ。

 「じゃあ皆さん、ちゃんと握手してから始めましょう」

 「「「握手だぁ?するかそんなこと!」」」

 「「「そうだそうだ!」」」

 「‥‥握手しなきゃ闘りませんよ?」

 「「「チッ。しゃーねーな」」」

 ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ
 ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ
 ぎゅっ ぎゅっ ぎゅっ‥‥

 「アレク、あんたまだまだね。握手しなくても相手の魔力くらい操作できなくちゃダメよ」

 「さーせんシルフィ先生‥‥」

 あははは。気配を無くすには、俺相手と握手しないとまだぜんぜんダメなんだよね。

 そんなわけで、模擬戦をやる5年の先輩たち全員と握手をしたよ。

 準備完了かって?あははは。そのとおり!これでもう大丈夫!

 「お前学園最強だとかイキがってるがな、俺たち5年は単純にお前より1年技術も経験も長えってところをその身体に刻みこんでやるよ」

 「「今さら泣きついても遅いからなワハハハハハ」」

 「「覚悟しとけよギャハハハハハ」」

 「5年有志軍は真剣装備。対するアレク団長は木剣。アレク団長は魔法も行使せずに闘るみたいですよー」

 おおぉーーーーーっっ!
 うわぁーーーーーっっ!

 「では模擬戦の前にアレク団長から最後に、狂犬団のみんなに一言どうぞ!」

 すげぇな放送クラブ。拡声魔法機まで持ってきてるよ。

 「俺は魔法を使わず、木剣だけでこの5年有志の20人の先輩たちと闘る」

 おおぉーーーーーっっ!
 うわぁーーーーーっっ!

 「負けたほうが勝ったほうの言うことをきくと5年の先輩たちが約束してくれたからな。そうですよね先輩方?」

 「「「あたりめぇだー!」」」

 「「「俺らが勝つ!」」」

 「あり得ねぇがもし負けたら、俺ら卒業までお前の犬になってやるよ!」

 「「「おおよ!」」」

 「いやいや、犬はいいです。ちゃんと狂犬団に入団してくれたら」

 「「「狂犬団でもアレク団でも構わなねぇ。とっとと闘るぞ!」」」

 「今日の模擬戦は、狂犬団顧問でもあるサミュエル学園長先生も観戦されてますからねー。
 それでは始めますよー!」

 「いざ‥‥‥‥始め!」

 開始と同時。

 スーーーーーッッ‥‥‥‥!





 ‥‥‥‥





 ‥‥





 ‥








 
















 20人の先輩方の魔力と同期。そのまま視線の先から「消え」たんだ。

 「「どこだ?」」

 「「どこにいる?」」

 「「どこいった?」」








 「「なにやってんだアイツら?」」

 「「バカじゃねぇか?」」





 「「「そこにいるじゃねぇか!!」」」


















 「シナモン‥‥」

 「アリシア‥‥」

 「キャロル‥‥」

 「「「私たち(うちら)と同じよ‥‥」」」



























 「モーリス君」

 「はい学園長」

 「わかるかい?」

 「学園長、アレクは魔力を使ってるんですよね?」

 「そうだよ。さすがはモーリス君だね」

 「いえ‥‥」

 「なぜアレク君が僕の横に座るように言ったかわかりますか?」

 「いえ、わかりません。ただ‥‥学園長先生から何かいい助言を得られるのものかと‥‥」

 「うんうん。アレク君は僕から君への助言を求められていると思うんだよね。
 だから僕からモーリス君へちゃんと話をさせてもらうよ」

 「はい。学園長よろしくお願いします」




 今ごろモーリスはサミュエル学園長からアドバイスをもらってるかな。あいつは俺よりはるかに天才だから、理解さえすればすぐに俺くらいできるはずだよ。
 

―――――――――――


 今回も短文でごめんなさいm(_ _)m

 いつもご覧いただき、ありがとうございます!
 「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
 どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

処理中です...