アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

685 5年有志

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 【  5年有志side 】

 「あの程度なら怖くねぇ。数で抑えりゃ俺らでも勝てる。なぁ同期の10傑のお前らも参加してくれねぇか?」

 「悪いこと言わないからやめとけ」

 「「俺も反対だ」」

 「お前ら10傑だろ!?なにビビってやがる!?あいつは4年だぞ!しかも模擬戦見ただろ?あの程度なら動けないように囲めば勝てるんだよ!お前ら本当に5年の10傑か?」

 「10傑だから言ってんだよ。10傑だからやめとけ、とな」

 「うるさいうるさいうるさい!もういいよ、テメーらなんかに誰が頼むかよ!」







 【   各学年法衣子爵子弟side  】

 「6年1組のお前たち。俺たち新貴族組からの温情だ。お前たち平民も参加させてやる」

 「させてやる?だってよ。ワハハハハハ」

 「「「ワハハハハハ」」」

 「聞こえたかライラ」

 「聞こえたけどアンタたちのどっちにも興味ないわ」

 「だってよ新貴族様」

 「「「卑しい獣人の女風情が!」」」

 「フン。まあいい。平民と卑しい獣人は後でよく見ておくんだな」

 「へいへい」

 ワハハハハハ
 わははははは
 ギャハハハハ


 「どう見た?1年から10傑だっていう4年の平民を?」

 「フン。速いだけで大したことねぇな」

 「肩から下げてる剣は飾りか?」

 「魔法も使えないんだろ」

 「あの程度なら魔法衣着て囲めば袋にできんじゃね?」

 「「だな」」

 「そんでも2年前の俺らの先輩は魔法衣着て奴にやられたっていうぜ?」

 「ハッタリじゃねぇか?まあいい。とりあえず模擬戦やって様子見するか?」

 「「「だな」」」

 
 註)  法衣子爵(法服子爵)はこの世界において財務行政職に主に王都から招聘され、貴族身分に叙された平民出身者をいう。







 【  シナモン&ライラside  】

 「よくがんばったねシナモン」

 「ニシシッ。でもダーリンはさらに強くなってたにゃ」

 「最後、シナモンたちはアレク君が見えなかったのよね?」

 「まったく見えなかったにゃ。だいたい煙と火で、ダーリンの匂いもわからなかったし」

 「あの隠密‥‥獣人でも真似できないわ。さすが団長よね」

 「そうにゃ。ダーリンは中原1の未成年者にゃ」

 「シナモンもあと3年よ。私と行けるダンジョンは、今年しかないのよ」

 「今年こそ一緒に行くにゃ!」

 「がんばれシナモン」

 「にゃ」

 「それはそうとキャロルちゃんもすごかったわね。私も今キャロルちゃんと看護を勉強してるのよ」

 「ライラ先輩、キャロルもよくがんばってたにゃ」

 「ええ」


―――――――――――


 俺が3人と闘った模擬戦。
 俺の気配を隠すという技の凄さをまるでわからない学園生も多かったんだ。

 だから、モーリスやセロたちが仲間うちで話してたようなことが翌日すぐに起こったんだ。




 授業前の教室にそんな先輩たちが2組、続けざまに来たんだ。

 「おい4年1組狂犬アレク、今日の放課後空けとけよ」

 「おい平民アレク、今日の放課後空けとけ」

 「へっ?」

 「こないだテメーが言ってたろ。何人でもいいから相手になるって」

 「「今さら知らねぇとかはナシにしてくれよギャハハハハハ」」

 「「5年5組から10組の有志、最強の俺らがお前の相手をしてやるよ」」

 「「逃げんなよギャハハハハ」」

 「わかりました。放課後に修練場に行きます」







 「お待たせしました。えーと先輩たちは?」

 「平民、俺たち新貴族組とも闘れよ」

 「新貴族組?」

 「これだから平民は‥‥」

 「各学年にいる俺たち高貴な貴族階級のことを新貴族組と言うんだよ。平民はそんなことさえわからないのか!?」

 「は、はい。すいません農民出身なもので。わかりました!」

 「んじゃ、今日の放課後だ。先に5年に闘らしてやるからそのあとだ。いいな」

 「はい!」



 「(ありゃ阿呆な平民だ。先に闘ったら疲れるってことさえわかんねえのかよ!)」

 「(だから平民なんだよ)」

 「「「(違いねえ)」」」

 ワハハハハハ
 わははははは
 ワハハハハハ














 
 「アレクの思い通りになったな」

 「あははは。まあなセロ」

 「お前、帝国でもこうしたのか?」

 「帝都学園では多いと1日に5、6戦なんてザラだったぞ。まあみんなビビって、すぐにできなくなったけどな」

 「「「‥‥」」」

 「それでアレクが帝都学園全員を統べたってわけか」

 「いやモーリス、全員じゃないぞ。3,000人の1割、約300人は最後まで狂犬団に入らなかったぞ?」

 「まぁ妥当なとこだろ」

 「あははははは。そうなんだよ。でもな。こうでもしなきゃ、特に上級生は下級生の言うことなんか聞かないからな」

 「確かにな‥‥‥‥どんないい話でも下級生の話なんてふつうは聞かないよな」

 「だろ。だから狂犬団も最初は時間がかかるんだよ。特に優先しなきゃいけない認識票や保険はな」

 「‥‥目先のプライドを捨てられるか、捨てられないかだな」

 こくこく
 コクコク
 こくこく

―――――――――――


 わーわーわー
 ワーワーワー
 わーわーわー

 放課後の修練場は2日続きの「イベント」とあってめちゃくちゃ盛り上がってたんだ。


 「「焼き串いかーすかー?」」

 「「アメリカンドックいかーすかー?」」

 今度は狂犬団売り子部隊も出動してるよ。

 「アレク君、僕は観てるだけでいいんだね?」

 「はい。サミュエル学園長顧問」

 今度は学園長にも来てもらったんだ。なにせ先輩たちから狂犬団入団の言質をとりたいからね。

 モーリスはサミュエル学園長の横にいてもらったんだ。学園長からアドバイスをもらえればあいつはもっともっと伸びる。なにせ俺よりはるかに優秀な天才だからな。



 「アレク団長と狂犬団入団をかけての模擬戦。最初は5年有志の皆さんでーす」

 うおーーーっ!
 ウワーーーッ!
 うおーーーっ!

 あらら。ついに放送クラブまで出てきたよ。


―――――――――――


 今日はここまで。

 スマホ水没事件以降、ご迷惑をお掛けしています。
 ごめんなさいm(_ _)m

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