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第2章 幼年編
680 カチューシャまたはティアラ(後)
しおりを挟むセーラ、シナモン、アリシア、キャロル。学年10傑の女子用にティアラみたいなカチューシャを打ったんだ。
ティアラ?カチューシャ?どっちが正解?うん、どっちでもいいか。
ミューレさんも褒めてくれてたからみんなこれなら被ってくれるかな。被る?付ける?どっちだろ?カチューシャを装着する動作はなんて言うんだろ?まぁこれもどっちでもいいか。
「できたぞ。これなら頭に付けて?被って?くれるか?」
「「「わーい!できたのね!」」」
「まあな。じゃあセーラにはこれだ」
「アレクありがとうございます!」
「「「おぉー!かわいい!」」」
男子もみんな感嘆の声を上げてるよ!
セーラはさ、歳を追うごとにどんどんきれいになってきてるんだよね。
そんなセーラに清楚なシスター服の青さと白(シルバー)色のカチューシャがとっても映えるんだ。
セーラにはカチューシャっていうか、ティアラだな。気品のあるお姫様って雰囲気だよ!やっぱセーラはきれいかわいいよな。
(アレク‥‥声漏れてますよ。でもうれしい!このティアラ、とってもきれい!)
「シナモンにはこれだ」
「ダーリンありがとにゃん!」
「「「おぉー!これもかわいい!」」」
猫系の豹獣人シナモンもかわいいよな。村の幼馴染、山猫獣人のミックス、アンナもかわいいけどシナモンもますますかわいくなってきたよ。
早熟な獣人だからセクシーでDTの俺には目に毒だけど。
シナモンのブラウンの髪にティアラの赤色がしっくりと似合うよ。しなやかな肢体が一層輝いて見えるぞ。
(ダーリンやっぱりうちのことが‥‥。このカチューシャはうちの宝物にゃん!シナモンってダーリンの幼馴染は気になるにゃん。)
「アリシアはこれ」
「アレクありがとう!」
「「「おぉー!アリシアもかわいいな!」」」
真っ赤な髪と同じように高温の火魔法を発現するアリシア。そんなアリシアの燃えるような赤い髪には落ち着いたグレーのカチューシャがワンポイントになるって思ったんだ。
これなら情熱的なアリシアが少し大人びて見えるよ。まんまきれいなお姉さんだよ。
(アレク‥‥声が漏れてるわよ。このカチューシャ、私のためだけに作ってくれたのね!そんなに私のことが好きだったんだ。私も‥‥キャー)
「キャロルにはこれな」
「ありがとうアレク!」
「「「キャロルもかわいいな!」」」
キャロルもずいぶん大人びてきたよ。15歳が成人のこの世界だから当然っていえば当然だけど。
銀のサラサラロングヘアにすっとした目鼻立ち。モデルばりのスタイルも相まってキャロルはやっぱ美人さんだよ。
そんなキャロルは強力な風魔法を発現するんだ。だからカチューシャも風にそよぐキャロルの銀髪に合うブルーにしてみたんだ。
王冠みたく華やかなブルーのティアラがキャロルをより一層きれいにみせてくれてるよ。
(きれい、似合うって‥‥声がダダ漏れよ。アレクも背がすごく伸びたし、どんどんかっこよくなってるのよ。そんなアレクを私も大好き!)
▼
「「「ありがとうアレク(ダーリン)!」」」
カチューシャ(ティアラ)を女子みんなが喜んでくれたよ。本当はさ、ヘルメットにしたかったけどこんだけ喜んでくれたからいいかな。
「それはそうとアレク、このカチューシャってとっても軽くない?」
「おお!わかるかキャロル!」
「そういやそうよね。でもこれって鉄でしょ?こんなきれいな色で軽いって‥‥?」
そんなふうに手にしたカチューシャをしげしげと見つめるアリシア。
「すまんアリシア。ちょっと俺にも触らせてくれ」
「いいわよモーリス?」
アリシアのカチューシャを手にしたモーリスがカチューシャを陽にあてて見つめたりしてたんだ。
「アレク‥‥お前、まさかこれって‥‥」
「モーリスさすがヴィヨルド領の次男だな。そのとおりだよ」
「「「モーリス様(モーリス)?」」」
「このカチューシャは‥‥ミスリル製だ」
「「「えーーーーー!?」」」
「帝国で新しいダンジョンに入ってな。そこは魔獣を含めて壁も土もそこらじゅうミスリルだからけだったんだよ。
因みにそのときのお礼で帝都騎士団さんからこのマジックバックももらったしな。
だからこのミスリルはタダだからな気にすんなよ」
「「「‥‥」」」
タダの石から作ったのになぜかみんなが沈黙してたよ。なんでだろ?
「アレク‥‥この色ってどうしたんだ?」
真面目な顔をしてモーリスが尋ねてきたんだ。
「これ?」
「普通ミスリルは硬すぎてドワーフでさえ扱い難い素材なんだぞ?」
「だってモーリス,ダーリンにゃ」
「「そうよアレクだもん」」
「そうですモーリス。アレクです」
「まあそうなんだが‥‥」
「これなモーリス、ミスリル自体に俺の魔力と雷魔法で、ナノサイズまで叩きながら中に色を混ぜていったんだよ」
「なのさいず?」
「あはははは。昔の人の知恵だからよく知らんけど」
「それはすごい技術じゃないのか!?」
「うーん。よくわかんねぇけどミューレさんが組合のドワーフ連中連れてきて見学させてたよ?」
「(モーリス様?)」
「(ミスリルに色付けまでする‥‥これとんでもない技術だぞ‥‥」)
「そんな高価なもの‥‥いいのアレク?」
キャロルが心配そうな顔で聞いてきたんだ。
「いいもなにも。お前らは俺の大事な仲間だしな。だいたいお前らの笑顔を見れただけで俺はうれしいよ」
「「「アレク(ダーリン)‥‥」」」
「(セロ、アレクの奴あんな言葉どこで覚えた?帝都でか?)」
「(そんなわけあるかハンス。あいつに腹芸なんかできるわけないだろ)」
「「「‥‥だな」」」
「(みてろ。もうすぐ自爆するぞ‥‥)」
「そんなわけでミスリルだからな、濡れても錆びないし傷もつかないぞ。
ミューレさんが言ってたけど売ればけっこうな値段がつくって言ってたよ。だからな、6年のダンジョンが終わったら売ればいんじゃね?」
「「売らないわよ!」」
「「売るわけないじゃない!」」
「「そうよ!」」
「そんなに喜んでくれるのかお前ら‥‥」
「「「当たり前じゃない!(当たり前にゃ!)」」」
「そんなに喜んでくれるならやっぱヘルメットにしない?ヘルメットも色つけてやるからさ?」
「「「‥‥」」」
「安心したよアレク」
「「そうだな(僕も)」」
「ん?ハンス、セロ,トールどういう意味だよ?」
「お前は変わらないって意味だよ。なぁセロ」
「フッそうだなハンス」
「アレク君‥‥」
「なんで頭を撫でるんだよトール?気持ちいいけど」
ワハハハハハ
フフフフフフ
わははははは
「これは私たちの宝物よねー」
「そうね!」
「王子様からのプレゼントよ」
「キャロル‥‥お前‥‥」
「ちょっぴり変態の王子様だけどねー」
「くっ‥‥」
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