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第2章 幼年編
679 カチューシャまたはティアラ(前)
しおりを挟む「もうすぐできる!」
「そうねアレク君!」
「アレク、オメー人族やめてドワーフになったらどうだ?ギャッギャッギャ」
「それもいいかもな」
ギャッギャッギャ
ワハハハハハハハ
ミューレさんに憑くサラマンダーも笑ってたよ。
キャロルとシナモンが見に来た翌週には4人分のカチューシャのほぼ完成形ができたんだ。もちろんミューレさんとシルフィの指導でね。
だって俺1人だったらカチューシャなんてデザインもぜんぜんわかんねぇし。
「少しでも頭を守る面積を増やしたいからティアラにしたら?」
「あーなるほど!」
それはシルフィ先生のアーカイブ情報だったんだ。
「アレク君これは王妃様みたいなデザインね!」
「あはははは。ミューレさん、実は見たことないんだけどね」
「それとアレク君、この金属は‥‥‥‥みんな喜ぶわよ!あとね、完成はもう少し待って。組合の若い子たちにも見せたいから。いいかしら?」
「へっ?」
「だってね、金属の表面に色をつけるのじゃなくてアレク君のは金属自体に色を付けてるでしょ」
「うん」
「それってね、よほどの魔力がないとできないことなのよ。
だからそんなことはドワーフでさえ考えもしないわ。
アレク君の鍛治、これは若いドワーフの子たちにもいい勉強、目標になるのよ」
「へぇー?」
カチューシャ(ティアラ)の完成前に。たくさんのドワーフ組合の人たちが見学に来たんだ。なんでだろ?
俺はただ金属を内側からナノサイズに分解してから色を混ぜて叩いてるだけなんだけどね。
「「(噂には聞いてたが‥‥)」」
「「(すげぇ人族だな‥‥)」」
「「(こんなことドワーフでさえできないぞ‥‥)」」
うん、なにがすごいのかぜんぜんわかんね。
▼
「できた!完成だ!」
火魔法を発現するアリシアはその赤い髪に合うグレーのカチューシャにした。
風魔法を発現するキャロルはその銀髪に合うブルーのカチューシャ。
豹獣人のシナモンは濃いブラウンの髪が一層映える赤色のカチューシャ。
青いシスター服を着たセーラはそのシスター服に合う白(シルバー)のカチューシャ。
みんなカチューシャって名前のティアラなんだけどね。
4人に合う色はどうしてわかったかって?そりゃもちろん‥‥‥‥シルフィさんのコーディネートだよ!俺はもちろんわかんねぇから。
「このブルーはキャロルちゃんね。これならすごく似合うわ!」
「えへへ」
「この赤色はシナモンちゃんね。彼女のブラウンの髪にはピッタリよ!」
「えへへ」
「見てないけど他の2人にも必ず似合うわ!アレク君、みんな必ず喜ぶわよ!」
「えへへ。だといいな。ミューレさん、俺、せめてあいつらから変態って呼ばれないとうれしいな」
「アレク君あなた‥‥」
ミューレさんが生暖かい眼差しで俺を見たんだ。なんでだよ?
―――――――――――
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