アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

673 4年10組ハイル(前)

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 「ハイル先輩、これからよろしゅうお願いします!」

 「よぉ村期待の後輩。俺ら2年続けて村の誇りやからな。お前もがんばりや」

 「はい!ハイル先輩に負けへんようにがんばりますわ!」

 「まあ俺には及ばへんやろうけど。せいぜいきばったってや」





 ▼





 「ハイル君、俺2年3組になれましたわ」

 「よ、よかったな」

 「秋の武闘祭、ハイル君とあたれるまでがんばりますわ!」

 「そ、そうだな。期待してるわ」





 ▼





 「よぉハイル、俺3年2組になれたわ」

 「‥‥」

 「闘ったらもう俺が勝つのは当然やろな。ギャハハハハハ。
 てかハイル、お前1回も村に帰ってへんのやろ。まぁ恥ずかして帰れへんか。ギャハハハハハ」

 「くっ」

 「ハイル、お前寮出てどこ住んでるんや?」

 「‥‥」

 「黙ってたらわからへんでパイセン。いてまうぞ、おい?」

 「‥‥」

 「まぁ村の恥さらしやから、今さら恥ずかして帰れへんのやろな。ほんでも安心しいや。後輩の俺様が村の誇りやからな。ギャハハハハハ」



―――――――――――――――



 【  サウザニア教会学校  デニーホッパー村営学生寮  】

 「ねぇ聞いた?アレク先輩、帝国でも首席なんだって」

 「「聞いたわ」」

 「準男爵様から男爵様になったんだって」

 「「聞いた聞いた!」」

 「デニーホッパー村の誇りよね」

 「「「ホント!」」」

 「「「すごいわよねー」」」

 「私たちがサウザニアの学生寮に住めるのもアレク先輩のおかげよねー」

 「「「ねぇー」」」

 「なのに‥‥」



































 「なのに‥‥あら?なんでダムを壊した男の娘がまだ寮にいるのかしら?」

 「‥‥」

 「よく恥ずかしげもなく寮に住めるわよね」

 「‥‥」

 「あのね、スザンヌちゃんが怒るからこれは私たちの独り言よ」

 「‥‥」

 「誤解しないでよね。ひ・と・り・ご・とっ!」

 「‥‥」

 ふふふふ
 あははは
 フフフフ


 
―――――――――――――――



 【  ライラ・キャロルside  】

 ヴィヨルド学園の狂犬団発足以来。幹部連女子の精神的リーダーの存在になっていたのは6年1組のライラだった。

 「キャロルちゃん、相談ってなに?どうしたの?」

 「ライラ先輩。アレクが、団長が言ってた好きなことをやれって‥‥」

 「そうね。で考えてたのねキャロルちゃん?」

 「はいライラ先輩。私グラシアの生まれなんです」

 「へぇー。紡績でどんとん有名になってるグラシアよね」

 「これもアレクのおかげなんですけどね」

 「ホント団長はあれこれすごいわよね」

 「だけど知ってます?アレクは胸の大きな女の人が好きだから、ライラ先輩を見るとき、たまに変態みたいな顔してますけどね」

 「まぁ」

 フフフフフ
 ふふふふふ

 「私、事情があって今はサカスに住んでるんですけど、グラシアには弟が2人いるんです」

 こくこく

 「当時お父さんが事業に失敗して。家は貧しくて、弟たちがよく風邪をひいたりしたんです」

 こくこく

 「私はそのころから弟たちの看病をしてて。
 私、大人になったら病気や怪我で困った人の手助けをできたらいいなって。
 回復魔法を使えないけど、看病ならできるから。だから‥」

 ギュッッ!

 「えっ!?ライラ先輩?」

 「キャロルちゃん、私もね、同じことを考えてたの!
 病気や怪我で困った人の保健の先生みたいなことができないかなって!」

 「「ライラ先輩!(キャロルちゃん!)」」




―――――――――――――――


 
 ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!ムカつく!

 「なんで後輩に呼び捨てにされなあかんねん!くそっ!くそっ!くそーーっ!」

 「‥‥もし?」

 「そこのお若い方、もし?」

 「ん?なんやおっさん、俺か?」

 「ええ。あなたですよ」

 「なんか用かおっさん?」

 「君のその言葉‥‥南部の生まれですかな?」

 「ん?そうや。俺は南部のチカワや」

 「おおっ!やはりそうでしたか!」

 「?」

 「君の懐かしい南部訛りに思わず声をかけさせてもらいましたよ。悪かったね」

 「かまへんよ、おっさん」

 「よろしかったらこの年寄りにお名前をお聞かせくださいますかな」

 「俺か。俺はハイルっちゅーもんや。領都学園の4年生や」

 「ハイル君。いい名前だね。そして‥‥君は学園生ですか。1組ですか!?」

 「ま、まあな」

 「どおりで。ハイル君は強いですな」

 上から下に。ハイルの全身をみる初老の紳士。
 
 「わかるんかおっさん?」

 「ええもちろん。僕は中原中を旅する商人ですからな。強者は観ればわかりますよ」

 「えへへ。わかるかおっさん」

 「ええ、ええ。ただねハイル君。少し、その‥‥少し言いづらいんだが君は本来の力を発揮できてはいないね」

 「なんやそれ?」

 「君は本来の魔力を発現さえできれば今の10倍、いや100倍強くなるだろうね」

 「そんなことあるかい!おっさんパチモンやな」

 「ハッハッハッハ。パチモンか。
 ハイル君、もし君が今より強くなりたいならば、南門近く、貧民街の前にある食堂に来て下さらんか。食事でもごちそうして、君の魔力が強くなる方法をお教えしましょうかな」







 (強くなる方法か。そんなもんあったら苦労しーひんわ)

 (そやけど‥‥強くなる方法‥‥)



―――――――――――――――



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