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第2章 幼年編
671 サンアレ商会
しおりを挟む「アレク君、先日は不在で悪かったの。それとお土産もありがとう。ビールもウイスキーも焼酎もワインも調味料の味噌も、どれも素晴らしく美味いものじゃったよ」
サンデーさんに連れられて行ったヴィンランド商業ギルド。
来客室にはサンデーさんの祖父でもあるミカサ商会のミカサ商会長がいたんだ。
「ミカサ会長、ご無沙汰しています」
「アレク君、わずか1年でまたずいぶんと背も伸びたの。それと‥‥‥‥お父上にずいぶんと似てきた‥‥」
そう言ったミカサ会長は眩しそうに俺を見つめたんだ。
「会長は俺の父上を知って‥‥いや、会ったことがあるんですか?」
俺の出自をサンデーさんが知っているなら、当然ミカサ会長も知ってるはずだよな。
ゆっくりと頷いたミカサ会長が言ったんだ。
「アレク君の出自に関してはの、ずっと昔、まだ君がデニーホッパー村のアレク少年となったころにディルから聞いていたんじゃよ」
あゝやっぱりな。
「ただのアレク君、サンデーが君の出自を知ったのは、それから何年かしてからのことじゃないかの。
わしからは、未だその事実をサンデーに告げたことはないからの」
「そう言われてみればそうよねお祖父様」
フフフフフ
わはははは
「お父上の話はまたの機会としようかのアレク君」
「あ、はい。お2人にはサウザニアの商業ギルドでお会いしてから、もう10年近く経ったんですよね」
「そうじゃの」
「そうよ。いつのまにか私より背が高くなってるんだもん」
「あははは。実はそれが1番うれしかったりするんだよサンデーさん」
「領都学園を卒業するころには、わしよりも背が高くなっておろうな、ワハハハハ」
「もっと背が高くなるように。毎日カウカウのミルクを飲んでがんばります!」
ワハハハハ
フフフフフ
ミカサ会長にも改めて、帝国での留学のあらましを話したんだ。
もちろん帝都のカクサーンからいろいろ聞いてるはずだけどね。
「グランドの戦闘靴も順調じゃよ。今年中には月産1,000足にいくじゃろうの。その上、馬車のタイヤゴムも待ち構えてるんじゃろ?」
「お祖父様、馬車のだんぱぁも凄いわよ。あれは馬車の革命になるわ!」
「そうかサンデー、ワハハハハ。グランドも今後も何10年安泰じゃのアレク君」
「それもそこれもミカサ会長の英断のおかげです」
「「アレク君‥‥」」
「電話の件もすごいことになるじゃろうの」
「あはははは、たまたまですけどね」
「お祖父様、私もう驚かないわよ。だってアレク君のやることですもの」
「そりゃそうじゃの」
フフフフフ
ワハハハハ
あはははは
「さてアレク君。今日は大事な話があるんじゃ」
そう言ったミカサ会長が居ずまいを正したんだ。
「はい‥‥」
「粉芋、ミートチョッパーから始まったアレク工房は販売品目も内容も多岐に渡るようになった。
今ではアレク工房、アレク商会の規模も雇用人数も桁違いとなった」
「知ってるアレク君?もう私のサンデー商会より規模も雇用人数も大きいのよ」
「うーん、よくわかんないけどさ、それもこれもミカサ会長とサンデーさんあってのものだと心から思ってるよ。だいたい俺はずつと何もやってないからさ」
「「‥‥」」
「今般のヴィンサンダー領の件‥‥君が表に出る出ないに関しては、わしらからは何も言うまい‥‥」
「はい‥‥」
「じゃがの。君は帝国で爵位も得た。君のためならと手を差し伸べる者はサウザニアとデニーホッパー村に所縁のあるわしらだけではない」
「‥‥感謝しかありません」
「そこでじゃ。そろそろミカサ商会とサンデー商会という傘を出てはどうかの?今のアレク商会アレク工房なら十分に独り立ちできよう」
「えっ!?それってもう俺なんかじゃ邪魔‥‥」
「何言ってるのアレク君!
今のアレク商会ならミカサ商会の看板がなくても十分にやっていけるって話なのよ。
ミカサ商会もサンデー商会も、アレク君のおかげでこれまで十分儲けさせてもらったわ。だからね、これからはアレク君の好きなようにやってほしいの‥‥」
「だったらサンデーさん、俺はこれからも会長とサンデーに手助けしてほしい。
俺が何もやらずに好きなことだけやってられるのも2人のおかげだから。
だからこれからも2人とずっと一緒にやっていきたいんだ」
そんなの当たり前じゃん。きれいかわいいサンデーさんの笑顔を見てるだけで俺は幸せなんだよ。
そしてこれからもミカサ会長とサンデーさんが驚く顔をみたいんだよ!
「「アレク君‥‥」」
「そうかアレク君……。ではサンデーよ、お前はアレク商会に、アレク君に面倒をみてもらうかの?」
えーーっ!?なにそれ!?めっちゃうれしいんですけど。てか面倒ってなに?うへへへっ。
「会長、じゃあやっぱ俺がサンデー商会に雇ってもらう方向で‥」
「いいやアレク君、それでは何の解決にもならんよ」
「じゃあせめてサンデー商会内アレク工房ってことで‥」
「ふむ‥‥‥‥共同経営か。なるほど、それは‥‥‥‥良いのかなアレク君?」
「会長、俺はめちゃくちゃうれしいですよ。ずっとサンデーさんと一緒だから」
(ずっと一緒って‥‥まさかアレク君‥‥)
「いいのアレク君?私あなたの7つも歳上なのよ?おばさんなのよ?」
「えーっ?サンデーさんがおばさんなんて、本当のおばさんたちが怒るよ!めちゃくちゃきれいかわいいのに!」
「‥‥」
学園以外でも、これまで以上にサンデーさんと話ができる。それだけでうれしいよ。1年のときもマリー先輩と話してるだけでも楽しかったもんな。やっぱ美人は最高なんだよ!
「共同経営‥‥それってアレク・サンデー商会っていう形なのお祖父様?」
「あー!いいこと思いついた!サンデー・アレク商会だよ!略してサンアレ商会!どうです会長?どうサンデーさん?」
「サンアレ商会って本気なの?」
「ネーミングセンスはどうかとは思うがの。まぁよいか。サンアレ商会で。クックック」
「「サンアレ商会‥‥」」
「共同経営ならば、アレク君の考えはこれまで以上に、迅速にサンデーが形に成すことができるじゃろうがな」
「アレク君、お祖父様。サンアレ商会ね!」
「「「サンアレ商会!」」」
ワハハハハ
フフフフフ
わはははは
こうして既存のサンデー商会、アレク工房、アレク商会は社名変更をしてサンアレ商会となったんだ。
サンアレ商会は、俺がこれまで作ったもの、考案したものだけに特化した商会なんだ。
従来のミカサ商会とサンデー商会に重複したものはミカサ商会でやるようになったよ。
外部からはなにも変わってないように見えてるよ。ただ大きく変わったのが、俺の代わりにサンデーさんが動いてくれるんだ。これで安心だよ。
サンアレ商会としてますます規模がでかくなっていくんだ。
―――――――――――――――
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なのでしばらく短めのお話となります。ごめんなさいm(_ _)m
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