アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

668 続 ドワーフ救出後の顛末

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 後から聞いたのは、茶番そのものの幕引きだったんだ。

 見ず知らずのなんとかっていう騎士団長と商人が、総督が知らないうちにしでかした悪事が露見したという雑なストーリー。
 
 だから総督もその息子のカーマンも、他の騎士団員も。みんなが騙されてたんだ、ある意味被害者なんだってね‥‥。

 総督は責任を感じて、職を辞したと、まあ有無を言わさない超ハイスピードな幕引きは茶番以外なにものでもないよな。

 しかもその絵を描いたのが王弟でそれを追随する形で王様も赦した……。

 「こんな言い方はしたくないけど。よほどの証拠を揃えないとあの方には太刀打ちできないわね」

 サンデーさんが言った「あの方」って表現が難敵を表してるよね。

 でもこのことでわかったこともあるんだ。少なくとも正しくありたいという人もいるし、俺の味方になってくれる人もけっこうな数がいたんだ。これは大きな収穫だと思うよ。


―――――――――――――――ーーーー


 アザリアの領都ネッポで1日休息をとってから、西海を船旅。
 王都ロナウ河の河口でもある港に着いたんだ。もちろんここに来るまではもう何事もなかったよ。
 
 船中では若手のドワーフさんたちにダンパーを搭載した馬車の仕様をしっかりと頭に叩き込んでもらったんだ。
 
 「私も詳しく知らなきゃ!」ってサンデーさんも熱心に聞いてくれたよ。

 「では家族の多い者は帝都、独り身や小家族の者はりぞおとでよいな」

 こくこく
 コクコク

 ヴァルカンさんたち、元サウザニアのドワーフの間では、帝都の中に住む組と、俺がやろうとしてるリゾートに住む組と別れて住むことにしたみたい。

 元々ドワーフは同族の仲がよいことで知られているからあんまり心配はしてないよ。

 「アレク君、そんなに自由にしていいのかい?」

 「自由もなにも、それが普通なんだよ。
 帝都はヴィヨルド領と同じで人種差別も少ないし、だいたいドワーフのみんなが作るものは良いものばかりだから帝国でも引くて数多になるはずだよ」

 「アレクよ。でそのりぞおとはお前がもらった土地なんだな?」

 「そうだよヴァルカンさん。ちゃんと今のゴリラ皇帝が好きにしろって俺にくれたからね」

 「ゴリラ皇帝などと言うことからも逆に信じらるの」

 「あはははは。リゾートは今も狂犬団のみんなが新しい街づくりをしてるよ」

 「よし!わかった。ではわしの武器屋ヴァルカンはそのりぞおとに住むことにするぞ。いいなお前ら」

 「「はい!親方」」

 「「「楽しみだなギャハハ」」」

 ヴァルカンさんたちに憑くトカゲたちも楽しそうにしてたよ。

 「どこへ行っても腕があるヴァルカンさんだから、俺もリゾートに行く楽しみができたよ!」

 「これからはホークも武器の直しに帝国にくるじゃろうからな。お前も今度からは休みの修行には帝国に来いよ」

 「もちろんだよ!」

 「終わりよければすべてよし。こういうことをいうんだよアレク」

 「そんなこと言う精霊なんてシルフィくらいだよ!」

 ふふふふふ
 わはははは







 王国の港には、見慣れた帝国海軍の演習艦と本物の軍艦が2艦並んで停泊していた。
 狐の仮面も被ってるから大丈夫たよね。
 
 「「アレクー!(アレク君ー!)」」

 リリアーナたちが船上から手を振っていたよ。





 「!」

 マジか、この魔力は‥‥!
 わざわざ来てくれたのかのよ!?

 帝国の軍艦に乗って、ドワーフたちを迎えに来てくれた人の中には、オヤジもいたんだ。

 「なんだよオヤジ、暇なのかよ!」

 「ああ。碌でもないことをしでかす馬鹿息子がいなくなったからな」

 「くっ‥‥」

 初めて会ったときのような白さが眩しい軍服を着たおやじは、誰が見ても憧れるような堂々とした偉丈夫だった。

 「オヤジ、デーツはどうだ?」

 「武具を持たせりゃ何やらせても半人前だったが‥‥我が子ながら、ありゃ体術じゃあ間違いなく天才だな」

 「よかったじゃん。これで我が家から4人続けて学園の首席になるな」

 「フッ。現実味を帯びた話になったな」

 「さて。ヴァルカン殿、迎えに来た。
 前皇帝のアレクサンダー・ロイズだ。これからは我が帝国を終の住処にしてもらえるよう帝都民一同、サウザニアのドワーフ組合を歓迎する。
 おおっと忘れるところだった。ヴァンドルフ殿も来たがっていたのだがな、船酔いが酷くてな。諦めてもらったわ」

 わはははは
 がはははは

 荷物も短時間で、無事帝国の艦船に移し終えたよ。このまま帝国までの船旅だね。

 「じゃあみんな、また遊びに行くからね」

 「「ありがとうアレク君」」

 「「世話になった」」

 「ではのアレク」

 ヴァルカンさんが手を出してきたんだ。そういや、こんだけ長い付き合いなのに初めて握手するよ。

 ギュッッ
 ぎゆっっ






































 「アレク!お前は!」

 「あははは。ヴァルカンさん、いつか‥‥いつか必ずヴィンサンダー領を元の形に戻すからさ。そ、そのときは‥‥また帰ってきてよ」

 「あ、ああ……待っとるぞアレク!」

 「うん!」




 ▼




  帝国に向かう船上で。

 「先帝‥‥先帝はアレクのことを知っておったのじゃな」

 「ワハハハハ。なんのことだ?
 ただなヴァルカン殿。あの馬鹿はヴァルカン殿の育てた弟子であり、なかなか帰ってこない我が家の次男坊なのさ」

 「そうじゃの」

 ガハハハハ
 ワハハハハ


―――――――――――――――


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