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第2章 幼年編
650 ヴィヨルド領狂犬団
しおりを挟む「「アレク、おもしろいことやるんだろ?俺らものるぜ!」」
「「私たちも参加するね!」」
「お前らも参加してくれるのか!ありがとう!」
放課後。顔見知りのの同級生もたくさん集まってくれた。下級生もいたよ。合わせて30人ほどが集まってくれたんだ。もちろん人族、獣人族を問わずに。
「兄貴、1年1組は狂犬団に全員参加です!」
シナモンの弟フレッド君もいたよ。
「「アレク先輩僕ら1年3組もほとんどが参加します!」」
「「私たち2年8組も全員参加します!」」
3年以下の後輩たち。幹部希望の子たちが言うには、3年以下の各クラスはほとんどが狂犬団に参加してくれるんだって。
もちろん同級生たちもほぼ参加してくれてる。
「みんなありがとうな‥‥」
だけど‥‥幹部希望も含めて5年生、6年生はいいとこ2、3割程度。幹部希望を含めて、過半数はぜんぜん参加してくれなかった。
帝国学園と同じ。ある意味当たり前だよね。
「アレク君ごめんね。6年1組はまだぜんぜん集まらなくて」
「いえライラ先輩。でも俺はライラ先輩がいてくれるだけでめちゃ‥‥痛い痛い痛い!シナモンなにすんだよ!」
「だってダーリン。ライラ先輩見るとき、いつも変態みたいな顔するんだもん!」
「してねーわ!」
「絶対してるにゃん!」
じとーーーっ!
「‥‥いや、本当に‥‥はい。気をつけますシナモンさん」
「わかればいいにゃん」
集まってくれた幹部生たちになんだか変な空気が流れたからね。さすがの俺も自重したんだ……。
「じゃあ部室に移ろうよアレク」
「「移ろうアレク君(移るにゃダーリン)」」
「そうだなキャロル、シナモン、ステラ。みんな部室に移るぞ」
「「「部室?」」」
「ああ。狂犬団の部室はもう確保してある。それと顧問はサミュエル学園長だ」
おぉー!
マジか!
すげぇ!
「「さあみんなついてきて。アレクもとっとと行く!(ダーリン行くにゃ!)」」
「はいキャロルさん、シナモンさん」
学園内の真ん中あたり。職員室近くの2部屋をまるまる狂犬団の部室にしてもらったんだ。
もちろん顧問のサミュエル学園長が融通してくれたと思うよ。
「「2部屋あるからいろいろできるな」」
「「なんか楽しみね!」」
「「学園長が顧問なんだろ。すげぇよな」」
4年1組10傑からはキャロルとシナモンにステラ。3人が狂犬団幹部で俺の補佐もしてくれてる。おギンと同じような立位置だね。
言ってみればヴィンサンダー領領都学園のシャーリーだよ。ありがたいや。
あとの仲間は忙しいから幹部生としては無理みたいなんだ。っていうかキャロルとシナモンと俺が抜ける分を他の仲間が補ってくれる感じかな。
あとはライラ先輩が来てくれたのもうれしいな。
そういやさ、ステラもなんか胸も大きいし、エロかわいいんだよな。4人の美少女?えへへ。
「そのへんにしてけよ変態」
「あわわわっ。は、はいシルフィさん」
「姉ちゃん、キャロル先輩、ステラ先輩、紙配っていいっすか?」
「お願いにゃ」
「「ええフレッド君お願い」」
部室になった教室にみんなが座ったんだ。
「じゃあみんないいかな?」
「「了解(ええ)」」
「まずはここに集まってくれたみんなにあらためて感謝する。
みんなは狂犬団の幹部希望ってことでいいよな」
コクコク
こくこく
コクコク
「集まってくれてありがとう。
じゃあ最初になぜ狂犬団が生まれたか。そして帝国で何をやってきたかってことを話すよ。ちょっと長くなるけど聞いてくれよ」
こくこく
コクコク
こくこく
狂犬団の誕生の経緯からのすべてを話したんだ。できるだけ客観的にね。
なにをしたいのかをみんなに理解してもらわないといけないからね。
同床異夢だっけ。同じ場所で違う夢みてたらいずれは破綻するってやつ。
昔爺ちゃんから教えてもらった言葉なんだ。そうならないように。最初が肝心だもんね。
▼
「じゃあなに、制服が欲しかったってことからこの制服ができたの?」
「うん。ミチーコ先輩って言う服飾の好きな先輩がいたからな。最初は白い制服にしたかったんだけど俺が食べ物をこぼしまくって制服が汚くなったから今の色になった」
プッ!
わはははは
アハハハハ
「「「じゃあ購買は?」」」
「ノートや鉛筆は俺のアレク工房だから仕入が安いだろ。もちろんパンとかも。
だから市中価格より安く売ってもなんも問題ないじゃん。しかも売るのは学園生と先生だけだし」
「「「なるほどね」」」
「幹部生が販売にも慣れてきたら、貧民街の寡婦や仕事のないお年寄りにその仕事をやってもらったんだ。そしたら少しでも参加してくれた家族が救えるだろ」
「「「なるほどね~」」」
「パン工房やソーセージ工房もそんな感じなの?」
「うん。250万人がいる帝都で、俺が帰る前には各区に店ができてたよ。けっこう流行ってたし。
中には卒業してからそのまま仕事として狂犬団に携わる先輩もいたよ」
「「「なるほどー」」」
狂犬団の活動の一環。日にわずかな利益でも継続してるからタダでこの制服ができたこと。
もちろん制服はデザイン、色からすべて自分たちで決めたこと。
パン工房やソーセージ工房もできて、学内の購買はもちろん、どの店も毎日たくさんの帝都民で賑わってること。
「もちろんお金儲けの商売が優先じゃないんだ。
何かはお金大好きな1年生もいたけど」
社会に出る前に。大人になるまでの練習としていろいろやるんだってことをみんなに話したんだ。
特に教会の炊き出しや青雲館事業は、利益はないけど大事な社会奉仕の活動だということも話したよ。
「それと保険はこれ」
首から下げた認識票を見せながら説明したんだ。
「「「へぇー」」」
「残念ながらダンジョンで死んだ成人狂犬団員には保険金が支払われたよ。保険金の第1号だけどね」
「「「そっか。保険か‥‥」」」
「俺が死んでも弟や妹は学校に行けるんだな」
「「ありがたいよな」」
帝都学園狂犬団の活動にはみんなが納得してくれたよ。
「アレク、いっぱいやってきたんだな」
「まあな。てか俺はほとんど何もやってないぞ。
俺がやったのはきっかけを作っただけだ。
やってるのは帝都学園の狂犬団員だよ」
こくこく
コクコク
こくこく
「だからさ。これからやるヴィヨルド学園の狂犬団も同じなんだよ。
何をやっても、何を作ってもいいと思うんだ」
「もちろん帝都の狂犬団と同じことをやってもいいし。
分からないことはあっちと連絡をとってやり合ってもらえばいいし」
「そうそう。来年の夏には帝都学園狂犬団とうちの狂犬団が王都近くのグランドで合同合宿をやる方向で学園長が向こうに打診してるぞ」
うおーーっ!
すげーーー!
「とにかく狂犬団の俺たちは自由だ。
でもな、その自由には責任もある。
狂犬団をやらせてくれる学園に対しても、ヴィヨルド領に対してもな」
「「「‥‥」」」
「だから制服を着るんだよ。
制服を着てたら学園生だって一目でわかるだろ。
誰が見てもわかる学園生。どこにいても変なことできないじゃん。制服はその覚悟の証なんだよね」
ウオオォォォーーッ!
「じゃあさ、幹部のみんなはこの紙に思いつくままにやりたいことを書いてくれよ。あとどういう組織にしたらいいかとか、何をやりたいとか、自分は何ができるとか。
とにかくなんでも書いてくれよ」
こくこく
コクコク
こくこく
「明日から放課後は書いてもらった紙を元に、何をするかを話し合ってもらうよ」
「「「了解!(わかりました)」」」
みんなのなかにヤル気が充満したんだ。
「でアレク君、私たちはアレク君をなんと呼んだらいい?」
「えっ!?ライラ先輩、これまでと一緒でいいですよ。アレクと気安く呼んでください」
「そう。じゃあ団長でいいんだね?
みんなわかった?」
「「「はい。団長!」」」
「「「アレク団長!」」」
こうしてヴィヨルド学園でも俺は団長と呼ばれるようになったんだ。
「変態団長な」
「くっ‥‥」
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