アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
上 下
636 / 722
第2章 幼年編

637 最後の武闘祭 ④

しおりを挟む


 わーわーわー
 ワーワーワー
 わーわーわー

 「それじゃあ始めるよー!『オールスター』対  団長の‥‥」

 「『団長と闘ろう』第1戦  始めー!」

 ドオオォォォーーーンッッ!

 大きな銅鑼が開始の合図。



 ササササッ!

 「オールスター」の面々が即座に展開する。腐ってもなんとか。さすがは学園上位の組だな。でも‥‥

 ズズズーーッッ!

 扇型に展開した陣営のさらに外側に高さ5メルほどの土壁を発現。

 「「無詠唱だと!?」」

 「「なんだこの高さは!?」」

 「教えといてやるよ。これはお前らが逃げられないように発現した壁だ」

 「一端の魔法使いなら破壊できるぞ?もちろん剣でも拳でもな。
 去年の首席マルコの剣なら簡単に両断されるだろうな」

 「ファイアボール!」

 「エアカッター!」

 ガッガッガッガッ!

 ドンドンドンドン!

 魔法を発現する者。槍で土壁を叩く者。拳で土壁を殴りつける者。中には体当たりする者……。

 「「ビ、ビクともしねぇ‥‥」」

 「な、お前らオールバカの魔力じゃどうしようもないだろ」

 「「「くっ‥‥」」」

 「いいか、高い魔力量で発現した土魔法は当然硬い。
 高い魔力をのせた剣は当然斬れる」

 ザスッッッ!

 背の刀で竹を切るようにスパッと切った土壁。

 「練りあげた魔力をのせた拳は当然貫く」

 ドオオォォォンッッ!

 正拳突きで粉砕する土壁。

 拡声魔法を使い、講義をしながら闘う俺。

 「わからなければ教えてくれるのが上級生の先輩に先生だ」

 「逆に上級生は下級生に教えることで今まで見えなかった自分の弱点が見つかる」

 「オールバカども。
 どこに文句言ってるヒマがある?
 イジメしてるヒマがある?
 強くなりたきゃ努力しろよ!毎日毎日やり続けろよ!それが帝都学園生だろ」




 「狂犬団員はわかるな?」

 「「「はい!(押忍!)」」」

 「(な、なんで俺らがアウェイなんだよ‥‥)」

 「(俺らオールスターだろ‥‥)」

 「(‥‥)」

 

















 「オールバカども。
 目が覚めた奴から1人ずつ相手をしてやる。
 刀、体術、魔法。お前らの得物に合わせてな」

 「この道を真っ直ぐ。
 順番にかかって来い。
 意味はわかるな。
 目が覚めないやつはさらに教育的指導をするからな」

 ズズズーーッッ!

 こう言った俺は幅1メルほどの直線の細道を発現したんだ。

 「よし。1人ずつかかって来い!」


























 「「「くっ。一気に倒すぞ!かかれーー!」」」

 「「「おおーっ!」」」

 ダダダダダッッ!

 70人の過半数が飛びかかってきたんだ。動かなかったのはわずか5人足らず。

























 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!
 ズボッッ!

 
 「「グハッッ!」」

 「「痛ぇぇーー!」」

 「出たー団長得意の堀だ!」

 「てか槍衾がないわ」

 「団長優し過ぎ!」

 指定の細道以外には、もちろん落とし穴を用意してあるよ。深さ8メルほどの堀をね。

 ワハハハハハ
 わははははは
 あははははは

 「オールバカ、お前ら救いようのないバカだな‥‥」

 「「あ、熱い!?」」

 「「ギャーーッ!」」

 「「「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!」」」

 堀の中をピョンピョン飛び跳ねるオールバカたち。堀の底はフライパンをイメージしてアツアツにしてあるからね。

 「熱けりゃ脚の裏に魔力をこめて一気にジャンプだ。これくらい簡単に越えなきゃ話にならんぞ」

 「「「ギャーーーーーッッッ!」」」

 「「「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!」」」

 「今言った意味がわからんバカはそのまま待ってろ」













 「さて、残った5人。名前を言って1人ずつかかって来い。礼儀知らずは痛い目に合わすからな」

 「「「う、ううっ‥‥」」」」

 「来い!」

 「6年1組ゴーン‥‥うわあぁぁぁーー」

 「挨拶がない!不合格」

 大剣を構えて走ってくる6年生の大剣を真っ2つに両断してから刀の柄で肩の鎖骨辺りを粉砕する。

 「ギャーーッッ!」

 
 「次」

 「6年1組ジョン」

 ぺこっ

 「挨拶は?口ないのかよ?不合格」

 片手剣を吹き飛ばし、柄で腹部を突く。

 「ゲホッ。ゲボゲボゲボーーーッッ‥‥」

 「次」

 「ご、5年1組ト、トーマスです。よろしくお願いします」

 「よし。合格。軽めにしといてやる」

 体術で向かってきた男を倒して腕ひしぎ。

 「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い‥‥」

 白眼を剥いたところで手を離す。

 「(ドン兄ちゃん去年を思い出すなぁ)」

 「(俺らコテンパンだったよな)」

 「「わはははは」」
 
 あとの2人もちゃんと礼をとったから失神だけで勘弁してあげたよ。




 「さて‥‥オールバカは生きてるか?」

 「「「あ、あ、熱い‥‥もう許してください‥‥」」」

 「なんだよまだ生きてるのかよ。じゃあこのまんま燃やすか」

 「「「謝ったじゃないか?もうやめてくれよ!」」」

 堀の上からオールバカを見ろして手に大玉サイズの火の玉を発現させたんだ。

 ゴオオオオォォォォーーーーッッ!

 「「「ヒッ‥‥」」」

 ジョォォォォォーーッ‥‥

 「お前ら、こないだの魔法軍と同じだな。オールバカは漏らすのがカッコいいのかよ」

 「「「も、もう許してくれ‥‥」」」

 「「「勘弁してくれよ‥‥」」」

 「言いたい放題、やりたい放題してても、最後には許されるって思うのか?
 世の中不条理じゃないのか?それともお前ら学園生だから許されるって思うのか?」

 「「「‥‥」」」

 「世の中にはお前らを圧倒する強者はいくらでもいるぞ。
 そしてどんだけ詫びようが許してくれない奴もな」

 ゴオオオオォォォォーーーーッッ!

 真っ赤な火の玉がさらに大きくなっていく。

 「「「ま、ま、まさか‥‥」」」

 「進退極まったとき。頼りになるのは仲間だ。上辺だけじゃない、本物の仲間だけだぞ」

 ゴオオオオォォォォーーーーッッ!

 「とりあえず1回死んでやり直してこい」

 ひょい

 堀の中で見上げるオールバカの上から真っ赤に燃える火の玉を落としたんだ。

 ブワアアァァァァァッ!

 瞬時に広がる火の海。

 「「「ギャァァ‥」」」




























 「「「あれ??」」」

 ザアアアアアァァァァァーーッッッ!

 「「「うわあぁぁっっ」」」

 オールバカの頭上からヒール水をかけたんだ。もちろん消火もできる。脚の裏の火傷から落ちたときの打撲や骨折も治るよ。

 「おい、5人組お前らも中に入れ」

 「「「サーイエスサー!」」」

 ドボンっ!






 「まだどっか痛い奴はいるか?」

 「「「いません!」」」

 「よし。これに懲りたらまじめに努力する人間になれよ」

 「「「はいっ!」」」

 「そのまま少し待てろ。乾かしてやる」

 ブオオオォォォーー





 「アリサちゃん‥‥私も1回くらい団長からどらいやあしてもらいたかったな」

 「えへへ‥‥」



 


 「『団長と闘ろう』第1戦め終了でーす!10分間の休憩のあとに第2戦めに入りますよー!」



























 「団長、早く早く。焼きそばパンとツクネパンを作るっよ」

 「くっ子狸め‥‥」










 別れの挨拶はもちろんサラさんとも済ましたよ。狂犬団員以外では1番親しく毎日のように会っていたサラさん。(サラ・テンプル)さん。

 「アレク君帰ったらお爺ちゃんによろしくね」

 「うん」

 テンプル先生(ベルナルド・テンプル)先生はこの何年かの間で知り合った人の中で俺が1番影響を受けたエルフさんだ。

 「ウェンディも元気でね」

 「アレクとシルフィもね!」

 「いつか、何年かしたらだけどさ、俺サラさんとテンプル先生と3人で中原を旅してまわりたいな」

 「フフフ。じゃあそのときまで青雲館で待ってるわね」

 「うん!」



――――――――――


 いつもご覧いただき、ありがとうございます!
 「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
 どうかおひとつ、ポチッとお願いします!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家
ファンタジー
 科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。  実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。  無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。  辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。

異世界召喚されました……断る!

K1-M
ファンタジー
【第3巻 令和3年12月31日】 【第2巻 令和3年 8月25日】 【書籍化 令和3年 3月25日】 会社を辞めて絶賛無職中のおっさん。気が付いたら知らない空間に。空間の主、女神の説明によると、とある異世界の国の召喚魔法によりおっさんが喚ばれてしまったとの事。お約束通りチートをもらって若返ったおっさんの冒険が今始ま『断るっ!』 ※ステータスの毎回表記は序盤のみです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜

大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。 広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。 ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。 彼の名はレッド=カーマイン。 最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。 ※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...