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第2章 幼年編
624 みんな大集合
しおりを挟む「放送部のみなさん。よろしくお願いしますよ」
「「「わかりました。学園長先生!」」」
▼
「学園内にいる狂犬団員に連絡します。学園内にいる狂犬団員に連絡します‥‥」
俺が魔法軍本部にいるとき。俺が作った糸電話の進化形上位機種、学園内放送システム(名前だけはカッコいい糸電話)が学園放送を始めたんだって。
狂犬団の顧問でもある学園長先生が率先。
学内にいる学園生(といってもほぼ狂犬団部員だけど)をみんな引き連れて魔法軍本部向かってくれたんだって。
「急ぐっすよ!儲けるチャンスっすよ!ありったけのパン、肉串‥‥父ちゃんから酒も買ってヒッヒッヒッヒッ‥‥」
「ドン様、トン様行きますよ」
「「おお」」
「「コウメ行くぞー」」
「はーい」
「ヒッヒッヒッヒッ‥‥」
「僕も一緒に行くっす!」
(((ハチ、どこから現れた!?)))
「「ほらフリージアいくよ」」
「待って先輩ちゃん!」
「楽しみですなぁメイズ団長」
「そうだねジャック副長」
金髪碧眼190セルテ。細身長身のスマートな体格はいかにもカッコいい帝都騎士団の頂点に立つ男の姿だ。
腰に下げているレイピアも映えるメイズ騎士団長さん。
そんなメイズ騎士団長を先頭に、ジャック副騎士団長以下、非番の騎士団員が大挙して魔法軍本部に向かったんだって。
もちろんフリージアを含めた第2分隊の面々も。
「ランディ行くぞ!」
「はい、サム師匠」
それは陸軍本部でも。
200セルテ弱。スキンヘッドの筋骨隆々の体格。背負った両手剣が小さく見えるほどの大男が陸軍大将のサムさん。
「今日はそのまんまラーメン屋にでも行くかランディ」
「やった!師匠のおごりっすか。ごちそうさまです」
「バカ。ここはアレクに奢らせるんだよ。そうすりゃおめー、タダ酒も飲めるってなもんだ」
「サム師匠‥‥大人なのに‥‥」
「ベック、リリアーナ。浮かれすぎだ。君たちは陸にあがったときこそ、悠然と構えなさい。古来より大海に出る海の男というものはだね‥‥」
「(あんたがいけないのよベック!)」
「(あぁーまた講義が始まったよリリアーナ‥‥)」
2.0メルの長身。軍服の上からでもわかる筋骨隆々、鋼の肉体を仕込んで。小麦色に日焼けした肌に金髪の短髪。鋭い眼差しはいかにも歴戦の海の男を思わせるイーゼル・フォンバート艦長さん。
艦長以下、海軍水兵の見習いたちを引き連れて魔法軍本部に向かったんだって。
「ローズゆっくり
歩け。いい歳をしてお前はなにを浮かれておる」
「だってアレク坊の魔法を見られるだよ。老師もワクワクするだろ」
「まぁ‥‥たしかにの」
「まあまあご両人」
「ペイズリー!お主も浮かれておるだろ!」
「そうよ!」
「ははは。たしかに‥‥」
コウメの爺ちゃん。ロイズ帝国で永く知の頂に立ち続ける老師ことジン・マッカーシーさん。
ペイズリーさんはおやじの陸の片腕で、イーゼルさんが海の片腕なんだよね。
フリージアの祖母であり、帝都初の女性騎士団長だったローズの婆ちゃん。
おやじの片腕だった前騎士団長のペイズリーさんとジンさんを先頭に。賢人会の爺ちゃん婆ちゃんたちも魔法軍本部に向かってたんだ。
「ほら早う行くぞタムラ」
180セルテ。グレーの長髪を背中で結った冒険者のタムラさん。
白金(プラチナ)級冒険者は言うまでもなく帝国随一の実力者なんだ。
迷彩服に半月のように反り返った剣を帯びて。まるで駱駝に乗った中東の戦士みたいな形は変わらないよ。
「わかった、わかったテーラーのおやじ。めんどくせぇが、アレクの坊主の魔法には興味があるからな」
「そうじゃろ、そうじゃろ」
帝都冒険者ギルドからも多くの者が2人の後に続く。
「テーラーのおやじよ。あとでどっか連れてってくれるんだろうな」
「まったくお前というやつは‥‥」
「おやっさん、あのバカは次から次へとやってくれますなあ。
しかもおやっさんの家に住みこんでクックック‥‥」
「そうだろ。あのくそ変態ガキめ!」
「フン。何を言っておるか。お前たち次男も3男も若いころは同じどころかもっと酷かったわ。阿呆め!
それに比べればアレク君はかわいいもんじゃ」
「「くっ‥‥」」
3代に渡るロイズ帝国皇帝も続く。
―――――――――――――――
わいわい
ざわざわ
わいわい
「なんだか修練場が賑やかだよな」
「「「だな」」」
「あれじゃねぇか。ルシウスのおっさんの退官式のなんかじゃねぇか?」
「そうかもー。てか私どうでもいいしー」
「それより遅くね?あのガキども」
「裏から逃げたんじゃねぇか」
「俺ら魔法軍のルーキーにビビってか」
「「「ワハハハハ」」」
「「違いねぇー!」」
「なあ。ところでガキの妹ってそんなにかわいかったのかよ?」
「ああ。めちゃくちゃかわいかったぞ!」
「じゃあ俺、その妹さんに嫌われないようにあんまり弱いもんイジメには参加しねぇからな」
「お前なぁー」
ワハハハハ
フフフフフ
わはははは
「待たせたなヘタレ君たち」
「「「待ちくたびれたぞガキ!」」」
「「「遅いぞくそガキ!」」」
「おっ、人数増えてんじゃん。早く修練場いこうぜ」
「アンタねー、私たちから逃げなかっただけ褒めてあげるわ!」
「「そうだそうだ!」」
「はいはい。ほら行くぞヘタレ君たち」
「「えっ?!」」
「「なに?!」」
「「「‥‥」」」
わいわい
ザワザワ
わいわい
ガヤガヤ
魔法軍修練場には満員の観客がいたんだ。
「「アレク~!」」
「「団長~!」」
「「アレク君ー!」」
「えっ!?マジかよ‥‥」
それもこの1年で俺が知りあいになった、たくさんの人たちが観に来てたんだ。
なんで?
「(おいおい、なんでこんなにたくさんの人がいるんだよ?!)」
「(皇帝陛下もいるわ!)」
「(陛下の隣見てみろよ。前皇帝と前々皇帝もいるぞ!)」
「(そっか。わかったぞ!ルシウスのおっさんが辞めるからなんかの式典があるんだよ)」
「(じゃあ俺らはその前座かよ)」
「「「(違いない!)」」」
「(てことは私たちが目立てば、このあとひく手数多ってやつじゃね?)」
「(俺、かわいい子が多い騎士団長に移りたかったんだよね)」
「(私ももっと楽できる部署がいいわ)」
「(魔法軍ってイマイチ地味なんだよな)」
「「「(だよなぁ)」」」
「(じゃあさ、あの学園生のガキには俺らの生け贄になってもらおうぜ)」
「「「(賛成!)」」」
「おっさん、拡声魔法器貸して」
「わかった」
「(アレクよ。くれぐれも怪我をさすでないぞ。あんな馬鹿どもでも魔法軍期待の若手なんじゃからな)」
「(もちろんわかってるよ)」
魔法軍の修練場で13人の魔法士と向かい合う俺。
ルールを拡声魔法で告げたんだ。
「お前らヘタレ君たちはどんな魔法を使ってもいいぞ。仮に手足が無くなっても文句は言わないよ」
「「クックック。バカかガキ」」
「俺は土魔法しか使わないからな」
「「頭おかしいのか!土魔法で何ができるんだよ!」」
「「「なめすぎだ!」」」
「いいか最初の10数えるまでは俺からは一切手出しはしない。ただこの修練場の中を逃げまわるだけだ」
「「「なめてんのか!ガキ!」」」
「ああ。なめてるよ。
いいか、次の10。
俺からは防御魔法のみ発現するからな。お前らはこの20の間で何とかしろよ」
「「ガキ、てめーマジで殺すぞ!」」
「「瞬殺だ!」」
「「帝国魔法軍をなめるんじゃないわよ!」」
「この20の時間が終わったら‥‥お前らに地獄をみせてやるよ。
土魔法がどんだけ怖いかっていうこともな」
わーわーわー
ワーワーワー
わーわーわー
魔法軍修練場には座れないくらい観客席が埋まっていたんだ。
「焼きそばパンいかーすかー?」
「肉串いかーすかー?」
「ビールいかーすかー?」
「肉串10本ちょーだい」
「ビール2つー!」
怖いわハチ!お前の嗅覚の鋭さは!
「じゃあルシウスのおっさん、合図よろしくー」
「お兄ちゃんぜったいやりすぎちゃダメだからね!師匠に迷惑かけたらダメだよ!」
「ワハハハハ。アリサちゃんまぁ観ていようかの」
「はい師匠」
アリサとルシウスのおっさんとの師弟関係は自然に結ばれてたんだ。
「団長ー久しぶりにやってくださーい!」
キース君たちもいるな。
「アレクーがんばれよー!」
「「アレクー鼻血だすなよー!」」
ワハハハハハ
わははははは
ガハハハハハ
ドッと受けてやがる!誰だ、そんなひどいこと言うやつは!?
あっ!おやじと3男ゴリラだ!くそっ!
「「「アレクちゃーん!」」」
フリージアの妹や青雲館の子ども、引率よサラさんたちもいる。
「アレク坊ー!」
なんで賢人会の爺ちゃん婆ちゃんまでいるんだよ!
「アレクーゴリラ3兄弟も観てるぞー」
あっ!長男ゴリラだ。次男ゴリラと3男ゴリラは長男に頭叩かれてやんの。
「アリサちゃん」
「はい師匠」
「よう見てみい。これがこの1年でアレクが築いた絆の証じゃよ」
コクコク
「この絆はアリサちゃんにも結ばれておるからの」
「はい師匠!」
――――――――――
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