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第2章 幼年編
604 蜘蛛の糸
しおりを挟むダンジョンの通路内に子犬サイズの蜘蛛が溢れ出したんだ。このままではあっという間に乱戦模様になりそうだったんだ。
「下から柱を発現します!近くの仲間と固まって!」
「「わかった!」」
「「了解!」」
遅滞なく。すぐに互いが背中合わせに集まった騎士団員さんたち。
俺が発現しようとしている土魔法に一切の疑問を浮かべることなしにね。
「早く俺様を助けろー!」
約1人ひっくり返りながら叫び続けるバリーさんを除いてだけど。
「カウント5からいきます!」
「5・4・3・2・1
いきます!」
「土遁、円柱隆起!」
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
数人ずつ集まる騎士団員さんを乗せて。直径2メルほど円柱が3メルほど隆起する。
キザエモンと第2分隊。それにリアカーはもう少し大きな円柱を隆起。単独のバリーさんは小さな円柱が隆起。
斥候、前衛、中衛、後衛も。みんなをそれぞれ円柱で隆起させたんだ。
「うおおおぉぉぉーーっ!なんだこりゃぁぁぁ!どうなってやがるぅぅぅ!」
ジタバタしたら落ちるって!あ~あ、やっぱ1人だけ騒いでるな、この人。
「このまま。絶対下には降りないでください!」
「じゃあおっさん、ちょっと待っててくれよ」
「あ、ああ‥‥」
「行くよシルフィ!」
シュタッッッ。
「がってんだ!
あっ、間違えた!これじゃあ小狸みたいな言い方だわ!」
仲間はみんな円柱の上。今なら下の俺が攻撃魔法を発現しても誰も傷つかない。
ここはシルフィの力を借りて、面制圧の風魔法の一択だな。
「シルフィお願い!」
「ええ。いいわよ!」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
「「エアカッター!」」
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ザシュッッ!
ダンジョン通路一面に蜘蛛の残骸が広がっていったんだ。
あとに生き残るのは自動車サイズの蜘蛛の親玉1体だけ。
「アレク関、横綱だけ残してくれたでごわすな!ごっつあんです」
「えっ!?
あっ、うん‥‥」
シュタッッ。
ダダダダダダダッッ!
通路中に広がる蜘蛛の残骸を踏み潰しながら。キザエモンの巨体が蜘蛛の親玉に向かって突っ込んでいった。
「足速っ!?」
体型に似ず、足もめちゃくちゃ速いなキザエモンは。
ダダダダダダダッッ!
自動車サイズの親玉蜘蛛にすればびっくりだろうな。いつのまにか手下どもが全滅してるんだもん。
てか、親玉蜘蛛
も手脚切られてて動けないみたいなんだけど。
ダンンッッッッ!
蜘蛛に急接近したキザエモンが大きくジャンプして振りかぶったんだ。あのイボイボ棍棒を握りしめてね。
ガアアァァーーーーーンッッ!!
ゴボッッッ!
ゴボッて不思議な爆裂音を立てて蜘蛛の親玉の頭部は地中深くまで陥没したよ。
それはあっけないくらいの即死状態だった。
「すげぇーー!さすが怪力だなキザエモン!」
「ごっつあんです!」
わははははは
がははははは
離れてるから、お互いハイタッチするみたく高く手を挙げたんだ。
「そうだ!キザエモン、ちょっと手伝ってよ」
「何をするでごわすか?」
「この蜘蛛の腹にある糸が欲しいんだ。だからお腹だけリアカーに積んでくれる?」
「いいでごわすが‥‥?」
大蜘蛛のお腹だけを解体する俺を、不思議そうな顔をして見守るキザエモンだったよ。
この親玉の蜘蛛の糸は高純度のミスリルを含んだ糸だと思うんだよね。
「早く助けろーー!」
後ろでバリーさんが叫んでるよ。
あっ!みんなを円柱から降ろさなきゃ。
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
ズズズーーッッ!
「小童、お主魔力は大丈夫なのか?」
「うん。このくらいぜんぜん平気だよ」
「‥‥」
「「「‥‥」」」
おっさんも騎士団員さんたちも、なぜかみんなが沈黙してた。
そこに。
「「メイズ団長!」」
斥候の2人が声を上げたんだ。
総数で300体ほどの子蜘蛛と親蜘蛛を倒した先に。
ミイラのように糸でぐるぐる巻きになって天井から吊るされてる「なにか」が無数にあったんだ。
1番手前。まだ新しそうなミイラ包み。その下には片脚の戦闘靴が1足……。
ん?これってもしかして‥‥絶対そうだ!
狂犬団員の片脚だ。
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