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第2章 幼年編
593 リゾートを作ろう
しおりを挟む【 青雲館食堂にて 】
それは狂犬団成人組がダンジョン探索に出る前のことだった。
冒険者ギルドからのリクエストは騎士団のポーターとして蒼のダンジョンに潜る4名。
いつものように冒険者ギルドの顧問から内々に連絡をもらう狂犬団成人組。
「それじゃあくじ引きするぞ。当たりは4つ。今回ポーターで同行できるのは4人だ」
「当たりますように‥‥」
「「当たれ当たれ当たれ‥‥」」
「おっ!当たりだ!」
「「やったぜ!」」
「俺もだ!」
「よし。今回ポーターで蒼のダンジョンに潜れるのは俺キースと、カール、メンディー、ケントの4人だ」
「かーっ、羨ましいぜ。ポーターするだけで1日10,000Gだろ」
「おおよ。さすが帝都騎士団さんだよな」
「「「羨まし過ぎる!」」」
わはははは
ワハハハハ
わはははは
―――――――――――――――
「団長、午後からアーサー陛下から招集ですよ。
団長また変態なことやったんですか?」
なにその白い目は!
おギンがなんとも言えない目つきで言ったんだ。
「またってなんだよ!またって!」
「だって団長、武闘祭のとき、騎士団のフリージアさんやアブルサムのビリージーンさん見て鼻を膨らませていたじゃない?
噂だとまた鼻血も噴いて倒れたって?」
「だからなんでまたなんだよ!」
「まただからまたなのよ!」
「え~っ!?」
俺帝国に来てからはほとんど鼻血出してないはずだよな?(ゼロとは言わないけど)
「もう!なんでもいいからお昼から一緒に行きますからね!わかった?」
「は、はい」
おギンと2人かぁ。なんか久しぶりだよ。
おギンもジーンと同じでエロかわいいんだよね。3男ゴリラのとことに行くのはどうでもいいけど、おギンと2人かぁ。えへへ。
これってデートじゃね?
「「団長俺も行きます」」
「お兄ちゃん私も行く」
「僕も行きます」
「コウメが行くなら僕も行くっす」
ケッ!つまんねぇ!結局みんなして。いつもと同じじゃん。
▼
「おー来たか子猿。ん?子猿仲間もいっぱい連れてきやがって。
お前ら遊びに来たのかよ!」
わはははは
フフフフフ
ワハハハハ
知らない人たちが大笑いしてたよ。
てか大人がたくさん働く宮殿内の執務室にいたよ3男ゴリラが。
和気藹々としたいい空気感の職場だな。
「宮殿にまで遊びに来るとは子猿仲間もいい根性してやがるなワハハハハハ」
おめーが呼んだんだろうが。てかゴリラの3男と遊ぶよりマシだわ!
「お前‥‥少しは皇帝を敬えよ!オラオラオラ!」
「痛い痛い痛い!頭ぐりぐりしないで!」
宮殿の執務室。3男ゴリラの周りにはたくさんの文官さんがいたんだ。
「いいかアレク。国も基本的には狂犬団と変わらねぇぞ。周りに優秀な奴らがいれば国ってもんも回ってくもんだ。上に立つ者はお飾りであればあるほどいいんだぞ。
お飾りだからたとえ急に居なくなっても国は回るだろ」
そのとおりだよ。
来春、俺がいなくなっても狂犬団は回るし、青雲館も回る。購買そのパンもラーメン屋もそうだ。
3男ゴリラのくせにめちゃくちゃいいこと言うじゃねか。
ミシミシミシッ‥‥
「痛い痛い痛い!頭がミシミシ言ってるよ!」
「そんじゃな、こないだ言ってた褒美をやる」
「おい。例の持ってきてくれ」
「はい陛下」
そう言ってきれいなお姉さんが地図を持ってきたんだ。
それは学園のある帝都から東へ20キロくらい離れた丘のある土地だった。緑豊かで夏は涼しいんだって。冬はそれなりに寒いらしいけど。
広さもかなりあるな。東京ドーム換算で10個分は余裕だよ。
「ここからここまではお前にやる。あとでミカサ商会にでも来てもらって登記をうちの担当者とすすめろ」
「あざーす」
「それとな、ここの奥。お前にやった土地の数倍はある。お前にやることはできねぇが、なんかやるなら格安に貸しといてやる」
「なんかって何やってもいいの?」
3男ゴリラがニヤッと笑ったんだ。
「好きにしろ。それとな、どうせお前金はあるから要らんだろ」
「うん」
「だけどな、長男ゴリラが賢人会に声かけて金が集まったからな。これを使って好きになんかやれ」
「長男ゴリラ?金?」
「ああ。すげぇぞ。ヒソヒソ〇〇○○万Gだ」
「「「マジか‥‥」」」
ヒッヒッヒッヒッ‥‥
みんな息を飲んでたよ。約1名、小狸だけは笑ってたけど。
これで残りの3ヶ月弱。やることが決まったよ。
「アリサ、これから毎日火魔法を使ってもらうぞ」
「うん。何をするのお兄ちゃん?」
「帝都からその土地まで。俺が煉瓦を発現するからアリサが煉瓦を焼いて固くしていってくれ。これで馬車道ができる」
煉瓦道っていい感じなんだよね。雨が降れば地中に水が染みこむから環境にも優しい。だいたい水分を含んだ煉瓦道は涼しいしね。
「トン学内の狂犬団をまとめろ。とくに卒業後も働きたい学園生は参加するようにな」
「はい団長」
「ドンは学外組をまとめるのと大人たちとの折衝だ」
「はい団長」
「ハチは金関係全般を頼むぞ」
「がってんだ」
「おギンは俺について記録をとってくれ」
「はい団長」
「コウメは保健関係全般を頼むぞ。なんせ爺ちゃん婆ちゃんに住んでもらうんだからな」
「はい団長」
「「「でもいったい何を?」」」
「これが完成したら帝都中が驚くリゾート地になるぞ」
「「「りぞおと?」」」
「学園生は春休み、夏休み、冬休みに部活動で泊まれる施設。もちろん休養日前や夏休みに家族で泊まったっていい」
「「「すごい‥‥」」」
「それとな、歳とったら最後はここでゆっくり過ごすんだよ。もちろん俺たちも」
「そんでもって働く人もここに住むから丸ごと帝都を、小さなやつをここに作る。それがリゾート計画なんだよ」
「「「なんかすげえ‥‥」」」
「だろ。当たり前だけど人族、獣人族、ドワーフ、エルフの区別は一切しない。だいたいする奴は入れさせないけどな。
爺ちゃん婆ちゃんたちには老人ホームを作り、ここで働く人の子どもには幼年学校はもちろん教会も作る。
それから中には温泉、プール、農園から植物園から酪農もやる。食堂だってラーメン屋からお菓子屋まで全部やる。
帝都との移動には誰もが乗れる定期バスも運行させる」
「「「ばす?」」」
「ああ。誰でも乗れる馬車のことだよ」
そんな理想郷の話をしたんだ。本当はヴィンサンダー領でやりたかったこと……。
「詳しくは明日みんなを集めて話すな」
「「「はい団長!」」」
――――――――――
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