アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

586 逆襲

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 「これからカラス君に手伝ってもらう前に‥‥」

 そう言ったジンさんが、テーブルの上に何かが覆いかぶさる布を取ったんだ。

 そこにはカラスが3羽横たわっていた。
 あれ?眼が抉れてない?なんかかわいそうだな。

 「メヒコ君が闘う前。カラスが3羽どこからともなく飛んできての。嘴をカチカチカチッとやったんじゃな。して、メヒコ君が豹変した‥‥つまりこのカラスが何者かの指示を受けとるわけじゃ」

 「「「‥‥」」」

 「老師コイツらは死んでるのかい?」

 オヤジが尋ねたんだ。

 「いや。死んではおらんよ。急速に冷やしたからの。
 つまりは仮死状態じゃな」

 「てことは?」

 「そうじゃ」

 「温かくして目を覚ませば飛んで戻る‥‥」

 「「「!!」」」

 室内にいる14,5人の目の色が変わったんだ。

 「それとの。このカラスたちを眠らせてわかったことがある」

 「「「?」」」

 「この3羽の眼を見てみい」

 「眼がない?」

 「眼が窪んでるよな」

 「「そうだな」」

 「「たしかに」」

 「皆の言うとおりじゃよ。このカラスの眼は抉れておる。わしが取ったからの」

 「まさか?!義眼かよ‥‥」

 思わず声に出したんだ。

 「そうじゃアレク君。カラスの眼は義眼じゃったよ。しかも眼の裏に細かな魔法陣が仕込んであったからの」

 「「「てことは、悪魔はどこかで‥‥」」」

 「「「武闘祭を‥‥」」」

 「「「観ていたのか!」」」


 「ポテチ食べながら観てたのよ」

 シルフィが俺だけにわかるように言ったんだ。
 でもこの時代にカメラ機能か。技術、文明を勝手に進めるのには抵抗があるけど。
 やっぱ興味はあるな。離れた家族とも連絡がとれるといいし。


 連絡手段

 そういや学園ダンジョンで使った糸電話。それの応用も考えてたんだよね。魔獣の糸の代わりにミスリルとかの金属を使えばいいんじゃないかって。
 うん、どっかで実験してみようっと。


 「して‥‥このカラスたちは無理矢理眼を抉られたからの。回復魔法ですぐに元にもどるよ。安心して良いぞカラス君」

 「はい」

 「カラス君にカラス。まったく言いにくいのぉ。わはははは」






 「さて。それでは本題にはいるぞ」

 室内に緊張がはしった。

 「回復させて目を覚ましたカラスたちはすぐに巣に向かって飛ぶ。あとは単純じゃの」

 「「追いかける!」」
 「「見つける!」」 
 「「倒す!」」

 みんなの意見は同じだよな。

 「そうじゃ。あとカラス君にはティムしているカラスを使って帝都上空からも探ってもらうからの」

 カラス(人)がカラス(鳥)を使って帝都を上から監視をするそうなんだ。

 「ジン、ちょっといい?」

 「なんじゃシルフィちゃん」

 「カラスを追っていくのは全員でもいいわ。
 でもね、もしも眷属じゃなくって悪魔が居たら‥‥正直言ってこの中で闘れるのは5人くらいよ」

 「ふむ。やはりの‥‥」

 「それと絶対にアレクを連れて行かないと、下手すりゃ全滅するわよ」

 「「「老師?」」」

 「ひょっとしてアレクの精霊と話してるのか?」

 勘の鋭いオヤジならではだな。

 「そうじゃよ。この中でわしよりも悪魔との闘いに唯一経験があるのはアレク君に憑いておる精霊だけじゃなからの」

 「‥‥そうか。それでその精霊はなんと?」

 「カラスを追うのはいい。ただ追った先に眷属でない悪魔がいれば‥‥闘えるのはこの中で5人だけだと」

 「「「そんなことあるもんか!」」」

 「「「俺たちをなんだと思っている!」」」

 「「「ふざけるな!」」」

 たちまち怒号が飛び交ったよ。だけど‥‥

 「「だろうな」」

 オヤジと現皇帝の2人が言ったんだ。

 「いいか。悪魔は直接の武力で闘うんじゃないんだぞ。圧倒的な魔力で仕掛けてくるんだぞ」

 現皇帝の3男が言ったよ。続いてオヤジも言ったんだ。

 「ここにいる馬鹿アレクが魔法を使えば‥‥俺やアーサーでさえよくて相打ちなんだぞ。それがわからない奴は‥‥死ぬぞ」

 「「「ま、まさか‥‥」」」

 「それが現実だ。そして悪魔はアレクより強い魔法を発現するぞ」

 「「「‥‥」」」

 オヤジが言ってるのは雷魔法のことだよな。でも、雷魔法よりもヤバい魔法がある。

 「皆の衆よいの。では作戦を伝えるぞ」

 逆襲が始まるんだな。でも、大丈夫かな?そんな簡単じゃないって思うんだけど……。


――――――――――


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